失敗を恐れているキミへbyキンコン西野
このnoteは2020年2月17日voicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:魚野みほ さん
どうも。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。
今日は
失敗を恐れているキミへ
というテーマでお話ししたいと思います。
このままだと不要な人材になる
昨日、狭山っていうところで1400人くらいのいつもよりちょっと大きめの講演会があったんですね。
その中で「失敗することが怖くてなかなか踏み出せない人はどうすればいいのか?」っていう質問をいただきました。
これに関しては、多くの方が同じように悩んでいると思うので講演会の中でお答えした内容をここでも共有したいと思います。
まず、失敗を恐れてる人っていうのは「失敗したら損するかもしれないから動けない」っていう損得で物事を見ている。
そういう人の背中を押すには、郷にいれば郷に従い、損得でお話しした方がいいと思います。
つまり、「失敗した方が得をするよ」っていう説明ができればこの問題はクリアですよね。
この説明をする上で、山口周さんの『ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式 』という本がオススメです。
その本の中では「役に立つもの」と「意味があるもの」について言及されています。
たとえば、コンビニの商品を「役に立つもの」と「意味があるもの」で分けて考えてみてください。
ハサミやホッチキスは「役に立つもの」ですよね。
一方、タバコなんかは「意味があるもの」ですよね。
「俺はガツンとくるタバコが好きだ」とか「僕は当時あこがれの先輩が吸ってたこのタバコが好き」といった風に、役に立つかどうかでタバコを選んでいるわけではないので。
では次に、店に並んでいる商品の種類の数を見ていただきたい。
タバコの棚にはたくさんの種類が並んでいるのに対して、ハサミとかホッチキスはそれぞれ1種類しか並んでいない。
これはすなわち「役に立つものはひとつでいい」っていう結論です。
2番目に切れ味の鋭いハサミとか、2番目に留められるホッチキスなど要らないんですね。
googleでも、2番目に検索できるgoogleとかいらないじゃないですか。
やっぱり一番検索しやすいものを選びますね。
つまり、役に立つものは一つでいい。1番だけでいいっていう結論ですね。
で、「人間」もこの感じにすっごく似ていて。
これまで計算の速さを売りにしてた人は、電卓が生まれた瞬間に一気に必要とされなくなった。
知識の量を売りにしていた人は、googleができた瞬間に一気に必要とされなくなった。物知りの最高峰はgoogleなので。
それこそ今ですと、「こういう場合はこう」とか「こういうときはこうすればいいんだ」っていうパターン認識でブイブイいわせている人というのは、今後、AIの台頭で一気に必要とされなくなると思います。
つまり、正解を出し続ける役に立つ人は今後どんどん価値が薄れる。
これ、なかなか受け入れがたい現実ですよね。
学校では今日も明日も相変わらず、役に立つ人になる訓練がされているし。
役に立つ人っていうのは、今後どんどん価値が落ちていくと考えておいた方がいいと思います。
受け入れ難いかもしれないですけど、そこは文部省の方も学校の先生方もきちんと勉強しなくちゃいけません。
AIが台頭する時代に重宝される人材とは何かっていう課題から目を背けちゃいけない。
特に日本の場合は、数年後に大人になる子供たちが背負わなきゃいけない負担は、どんどん大きくなるので。
稼げない大人を量産している余裕はもうないんですね。
人の価値がどこに発生しているのかを、逐一軌道修正しながら教育を進めなきゃいけないと思います。
今言っているのは、役に立つ人やものがいらないという話ではなくて「一番役に立つ人、一番役に立つもの以外はいらない」という話ですね。
なので、一番役に立つ人になっちゃえばいいんですけど、さすがにちょっと難しいですよね。
やっぱりAIってめちゃくちゃ賢くて、確実に正解だしてくるので。
それに勝つって難しいですよね。
電卓よりも早く計算するのって難しいじゃないですか。 googleよりも物知りになるなんて難しいじゃないですか。
こうなってくると、役に立つ人ではなくて「意味がある人」を目指す必要が出てくる。
たとえば、あいつポンコツだけど憎めないんだなーっていう人ですね。
車でいうとランボルギーニみたいな。
どうやら扉が縦に開くらしいと。これ役に立つかどうかはわからないけど、かっこいいから選ばれている。
役に立つ人のセールスポイントって機能性ですよね。
じゃあ、意味がある人のセールスポイントは何になるのか?ということを考えなきゃいけない。
そのうちの1つが「ストーリー」ですね。
今ご自身が応援している人を頭の中に一人思い浮かべてほしいんですけど、おそらく今思い浮かべたその人よりも、その業界で能力的に長けている人はいるはずです。
でも、あなたは能力的に長けている他の人よりもその人を応援していると。
その応援理由のひとつに、その人の苦労や挫折、悩み、その人が歯を食いしばって踏ん張った瞬間などを見てきたからっていうのがあると思います。
つまり、あなたがその人を選んだ理由の一つに、その人の「ストーリー」というものが含まれていると。
その人が、順風満帆で何の悩みも挫折も苦労もなく今まで来ていたら、もしかしたらあなたはその人を応援していなかったかもしれない。
で、「ストーリー」っていうのは浮き沈みが非常に重要だということですね。
浮き沈みがあったから、あなたはその人を応援してるっていうことですね。成功したり、失敗したりすることっていうのは、非常に重要なんです。
オンラインサロンが結構わかりやすくて、毎日入会者と退会者が数字で出るんですけど、僕のビジネスがうまくいってるときって別に入会者は増えないんですよ。
うまくいこうが失敗しようが、挑戦しているときは入会者が増えて退会者が減るんですよ。
つまり、「来週どうなるか」を見せ続けることがサロンオーナーには必要であるということですね。
この浮き沈みが非常に重要です。
浮き沈みがなくなってしまった瞬間にサロンとかは退会者がバーって増えちゃうし、入会者はどんどん減っちゃう。
応援する必要がなくなってくるので。
結論としては、『失敗があるからストーリーが生まれて、意味のある人になれる』っていう話ですね。
挑戦すればストーリーは生まれますが、挑戦しなければストーリーは生まれない。
ストーリーが生まれない限り、現代においては最も致死率が高い「役に立つ人」の競技に参加し続けなきゃいけなくなる。
つまり、AIとかと戦わなきゃいけないっていう超ハードな戦いに挑まなきゃいけないということですね。
人生の選択を迫られた時に、「成功するか失敗するか」で判断するのではなくて「ストーリーが生まれるかストーリーが生まれないか」で判断した方がいいと思います。
右に進んだらストーリーが生まれるのか、ストーリーは生まれないのか。
左に進んだら失敗するかもしれないけど、ストーリーが生まれるよねとか。
そういう、ストーリーが生まれるかストーリーが生まれないかで判断していったほうがいいと思います。
そう考えると、挑戦しない手はないっていう話です。
頑張ってください。応援しております。
キングコング西野亮廣でした。それではまた明日。
※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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