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他人の不倫が許せない人たちについて考えてみた結果 by キンコン西野

このnoteは2019年1月25日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供: 小河健一さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「他人の不倫が許せない人たちについて考えてみた結果」
というテーマでお話したいと思います。

先に自分のスタンスを言っておくと、僕はそもそも自分がものすごくヤリチンということもあり、人様の色恋沙汰には一切興味がありません。これは昔からです。誰と誰が付き合おうが別れようが、赤の他人が浮気不倫しようが知ったこっちゃないし、そんなことに感情を割くほど暇ではありません。

僕自身女の子とエッチする時も、人妻には手を出しませんが、「まさか僕以外に男いるの?」などと質問しません。別にいてもいいし、少なくともこの場、この瞬間は僕と一緒にいようと思ってくれているのだから、野暮なことは聞かないようにしています。自分が七番目のセフレみたいな扱いになっていても別に構わないということです。

一応、僕はこのようなスタンスなのですが、世間はそうではなくて、赤の他人の不倫に目くじら立てて怒る人はいます。ワイドショーなんかは連日その調子です。

今日は、このことについて少しお話ししたいと思います。

他人の不倫を語る疑問


実はこれに関して、僕の疑問は3つあります。

まず一つ目は、ワイドショーで「許せません」「不倫された側の傷は計り知れない」と言うコメンテーターの方がいらっしゃいますが、そもそも不倫を番組で取り上げて、「この人は不倫された可哀想な人ですよ」と全国民に情報を拡散することによって、不倫された側の傷口を広げていることに関しては、もう目をつむるというルールなのでしょうか。

僕は、その辺のワイドショーのルールはよくわかりません。
つまり、ワイドショーが不倫のことを扱う時の登場人物は3人います。『不倫した人』、『不倫された人』、そして『不倫した人を攻撃し、不倫された人の傷口を広げることでお金を稼いでいる人』。この3人だと思われます。

このうち糾弾されるのは『不倫した人』だけになっていますが、その『不倫した人を攻撃して、不倫された人の傷口を広げることでお金を稼いでる人』の罪は、見逃すことになっていますよね。

言ってみれば、やっていることは写真週刊誌と変わらないわけです。ご本人はどういう気持ちでコメントをして、そして視聴者の方はどういう気持ちでコメントを受け取っているのかが、僕にはちょっとよくわからないです。

2つ目の疑問としては、これはもうベタベタでどシンプルな疑問ですが、「どうして赤の他人の不倫に怒ることができるの?」というところです。口にするのも嫌なのですが、「お前はマジで関係ないじゃん」じゃないですか。「誰と誰が不倫しようが、お前らに一切関係ないよ」というところなのですが、そこで切り捨ててしまうと話が終わってしまうので、どうして赤の他人の不倫に感情が動くのか考えてみました。

その理由をすべてあげるとキリがないのですが、思いつく限りで言うと、過去に浮気されて傷ついた自分を照らし合わせて、その時の怒りが少し乗っかっているパターンが1つがあります。

2つ目は、「ここで不倫した人に罰を与えておかないと、いつか自分もパートナーに不倫されるかもしれないから」と言う抑止力として処刑しておくということです。

また、3つ目は「羨ましい」というのもあるかもしれないです。「女優を2人もいきやがって」みたいな。そういう嫉妬みたいなものが怒りに変わっているパターンです。

他にも理由はあるのかもしれませんが、他人の不倫が許せない人たちが、他人の不倫が許せない代表的な理由は、おそらくこんなところだと思います。このことに関して、あーだこーだ意見するのも野暮なので、こういう理由で感情が動く人がいるということで整理しておきます。


他人の不倫に口を出す気持ちの正体

ただ、こんな風に他人の不倫が許せない人は、僕の周りには一人もいません。有名人の不倫に対して怒っている友人やスタッフなんて一人もいないんです。

僕の友人やスタッフの名誉のために言っておくと、ヤリチンなのはボクだけで、彼らはそんなことないんですよ。いわゆる『誠実』と呼ばれる人たちです。ただ、その『恋愛に誠実』と呼ばれる彼らでも、他人の不倫に対して怒ったりはしません。ニュースでタレントの〇〇が不倫と出ても、「あぁ、そう」以外の感想が出てこないのです。

そこで、3つ目の疑問がこれです。「Twitterのタイムラインに大量に発生している『他人の不倫に対して怒っちゃう人』はどこにいるの?」という疑問です。つまり、僕の友達やスタッフは「誰それさんが不倫しました」というニュース記事をわざわざ取り上げて、「あぁそう」とは言わないわけです。だから、興味がない人は可視化されていません。

現状では、怒っちゃう人しか可視化されていないので日本中が怒っているようにとられてしまうのだけれど、怒っちゃう人の比率はたかが知れているかもしれません。

ただ、それでも怒っちゃう人の数が目立っているのは確かなわけです。そうなると、シンプルに不倫の話題に参加している人の数が多い、言い変えれば、他人の不倫はトークテーマとして優秀であると言えます。

なぜなら、不倫の話題は自分のスタンスを表明できるし、知識の差が出ないので、アホの中学生から東大生、はてはじいちゃんばあちゃんまで幅広く参加ができる話題だからです。

基本的に、ディベートは勝敗がつくので、ディベートに弱い人は参加できません。しかし、『他人の不倫の是非』というテーマに関しては、『私が許せない理由』ということ自体が正解になったりするので、ディベートが弱い人でも参加できてしまいます。つまり、普段リングに上がれない人が、リングに上がることができるということです。

例えば、『ドコモが公開した6Gのコンセプトについての是非』というテーマ
だと、おそらく参加人数は「他人の不倫」というテーマに比べて、100万分の一ぐらいにぐっと減ってしまいます。しかも、必要な知識がない人が参加すると負けてしまうので、基本的に多くの人は参加しないのです。

この点はすごいなと思いました。僕は結構口が立つ方なのですが、他人の不倫は許せないで怒鳴り散らしている主婦を説き伏せる決定打が見当たりません。「こうでこうでこうだから、もうそんなこと言っちゃだめだよ」みたいな決定的なパンチが見当たらないのです。

そして今、こうして喋りながら、普段リングに上がれない人たちがリングに上がって、しかもディベートで強い人と対等にやりあえるエンタメは優秀だし、これは自分のやっているエンタメに転用できそうだなぁと思いました。

というわけで、
「他人の不倫が許せない人たちについて考えてみた結果」
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。

※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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