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世界の道徳 〜外国人は何故すぐに裁判を起こすのか?〜【キンコン西野】

このnoteは2024年7月12日のvoicyの音源、『CHIMNEY TOWN 公式BLOG』の内容をもとに作成したものです。


 
 

芸人は『おもろいからええやろ』で何でもオッケーにしすぎ

 
せっかくニューヨークにいるので、今日は“海外ならでは”の話をしたいと思います。
 
「日本と海外の道徳の違い」についてです。
 
年間(最低でも)2ヶ月はニューヨークにおりまして、その中でも「ブロードウェイ」というかなり特殊な環境で活動しているのですが、程度の差はあれど、一応、「ほとんどの海外」は、これからお話するルールでまわっていると思うので(少なくとも僕が知る海外は全てこのルール)、これからグローバルを意識せずにはいられない僕たち日本人はこのことは踏まえておいた方がイイと思います。
 
最近、中山功太と原田専門家さんという二人から立て続けに甘噛みされ、それぞれ対応させていただきました。
 
まず、功太に関してはキチンと謝罪があったので、これ以上、僕が功太個人に何か言うことはありませんし、今も昔も功太のことは好きなので、次、共演する機会があれば、バカ話に終始したいと思っています。
 
原田専門家さんに対しては、正直「潔くないなぁ」と思っているし、被害者がいるニュースを自分の宣伝に使う神経はまったく評価できないですが、一方で、わざわざ陣内智則さんが代わりに謝罪してくださって、(優しくて大人な陣内さんに対して)もうメチャクチャ申し訳ない気持ちになったので、ここも、これ以上何かを言うことはありません。
 
二件とも僕の中ではノーサイドなので、ファンの皆様もこれ以上個人を追及することは控えていただきたいです。
 
なので、ここからは個人の話ではなくて、「セーフorアウトの線引き」ついての話になるのですが、まず、今回の二件は、「個人と法人」そして「国内と海外」のルールが、それぞれの立場で違っていることが原因だと思っています。
 
以前もお伝えしたとおり、まず僕個人がイジられる分には肛門まで献上するレベルで「どうぞどうぞ」なのですが、メディアを使って会社の業務に対して明らかに嘘が混じったネガキャンは、シンプルに「業務妨害」なのでこれはアウトです。
 
「西野がラーメン屋をやっているらしい」とイジるのはオッケーですが、「西野の会社がやってるラーメン屋にはヒ素が入ってるらしい」はガチガチにアウト。
 
これに対して、お笑い畑の人間(および、そのファン)は、「お笑いなんだから、お笑いで返せよ」「ガチで返すなよ」と言ったりしますが、それはお笑い畑だけの道徳で社会的にはアウトなんです。
 
これについて堀江貴文さんがFacebookで「芸人は『おもろいからええやろ』で何でもオッケーにしすぎ」と投稿されていたのですが、これは社会的に言うと完全に堀江さんが正解です。
 
会社の業績が下がるというのは、「たくさんの社員(その家族)の安全・安心が奪われる」ということで、それは「シャレでした」で済まされることではありません。
 
きっと僕も過去に知らず知らずのうちに、その類いの暴力を働いてきたハズで、ここは自戒を込めて、お笑い畑の人間は(お笑いファンの皆様も)気をつけたいところです。
 
 

「経歴に黒い点を落とす重み」が日本と海外で全然違う

 
次に、「国内と海外」の道徳の違いについて。
 
社員が犯罪を働いたことと、業務委託の「外部の人間」が犯罪を働いたことは全然違って…まず世間一般的には業務委託先の人間が犯罪をした時に謝罪する会社はあんまり無いと思います。
 
理由は「そこで謝っていたらキリがないから」です。
 
たとえば、皆さんのオフィスにリースで契約しているコピー機があったとして、そのコピー機の会社の人間が万引きで捕まった時に、おそらく皆さんは世間に対して謝罪しないでしょう。
 
少し極端な例ですが、つまり、そういうことです。
 
それでも僕が説明をして謝罪をした理由は先日の放送を聴いてください。
 
なので、そこを混同してしまうのはいささか問題があって、お客さんが混同してしまうようなミスリードをするのは大きな問題だったので、今回は「そこは違うよ」と訂正させていただきました。
 
ちなみに、どこかのスポーツ新聞が「キンコン西野の会社スタッフが逮捕」という見出しで記事を出して、そのスポーツ新聞としては何かを言われても「キンコン西野の会社のスタッフ逮捕」の後に「キンコン西野が外部委託している会社のスタッフ逮捕」と正しく書いているのでオッケーでしょ? これは途中で切り取られただけです……という言い分で逃げようと思っていると思うのですが、これは前半だけを切り取られることが明らかに分かった上でつけているタイトルなので、すぐに会社から抗議文をお送りして、そこで誠実な対応をしなければ、記者を特定して裁判をする準備を既につけています。
 
…という話をすると、日本だと「すぐに裁判しすぎじゃない?」「神経質すぎない?」「気が短くない?」「余裕がないの?」という声が返ってくるのですが、ここが実に日本的なところだと思います。
 
海外で活動してみると分かるのですが、国も文化も別々の人達(得体の知れない人達)が集まってきているので、「経歴」がメチャクチャ大事なんです。
 
そこに少しでも黒い部分があると、情状酌量の余地などなく、一気に活動が止められてしまいます。
 
「アメリカは裁判社会」とよく聞くと思うのですが、あれは何も「このチャンスに金をとってやろう」というわけではなくて(そういう人もいますが…)、知らない者同士で集まる街で生きる為に(自分の信用スコアを守る為に)必要な手立てなんです。
 
なので、裁判が本当に身近にある。
 
日本だと向こう三軒両隣が全員知り合いだから、「経歴を守る」というところになかなか目が向きにくいので、ついつい「これは、シャレじゃーん」をやっちゃうのですが、海外だとそれは許されない。
 
「いや、お前のバックボーンは知りません。とにかく経歴に黒い部分があるのでアウト」と一刀両断です。
 
特に既に動き出している海外のプロジェクトが、お笑い畑の人間の「おもろいからオッケーでしょ」によって止められてしまった時のアメリカの損害賠償の取り方はエグくて、場合によっては一生働いても返せないぐらいの額を請求されちゃうので、ここは本当に気をつけた方がイイと思います。
 
僕は日本人なので「そのへんで止めておきなさいよ」と警告を出しますが、普通、こんなのありません。
 
いきなりバーンとやられちゃいます。
 
ジャニーズの問題が大きく取り上げられた時に、最初の方は日本の方は「ジャニーズ」の名前を存続できると思っていた人も多いと思うのですが、あれ、海外の道徳観を持っている人達からすると、一歩目から完全にアウトだったんです。
 
経歴に黒い点を落とす重みが日本国内と海外で全然違うんです。
 
つまるところ、堀江貴文さんの「芸人は『おもろいからええやろ』で何でもオッケーにしすぎ」に尽きるのですが、グローバル対応するつもりであれば、ここの道徳観は、そろそろアップデートしておいた方が良さそうです。
 
 

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