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コミュニケーションの心得。『敵意帰属バイアス』を理解しろbyキンコン西野

このnoteは2019年12月19日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:白石 浩一さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日はですね、
コミュニケーションの心得。『敵意帰属バイアス』を理解しろ
というテーマでお話したいと思います。

説明をしてはいけないケース

僕はビジネス書を定期的に書いていて、こんなこと言うとアレなんですが意外と売れっ子なんですよ。

だいたいビジネス書を出すと、コンスタントに15万部とか20万とかトントントンと買っていただけるので、けっこうな頻度で「ビジネス書きませんか?」みたいなお話を出版社の方からいただくんです。

ただ、僕は毎朝、ビジネス書に書くような内容をオンラインサロンに投稿しているんですね。かなり本気で書いてる。

これに関しては、現在進行形で僕が携わっている最新のプロジェクトで直面した問題、その改善方法、次のプロジェクトで仕掛けようと思う事柄、仮説検証。

そういったことをリアルタイムでばーっと書いているから、オンラインサロンの投稿のほうがビジネス書より常に新しいんですね。ビジネス書はちょっと前にやったことのまとめなので、ぜんぶ事後報告。読者の方に届くまでタイムラグがある。

僕はそれに対して「おっせーなー」と思っちゃう性格なので、オンラインサロンで現在進行形でバーって届けるほうが気持ちいい。読み手にとってもそっちの情報のほうが新しいから価値あるだろうし。

なので、最近はビジネス書を書く欲があまりなくなったんですね。

ただ一方で、ずっとそういう活動を続けているうちに「普遍的なテーマ」があるなと思って。新しくも古くもならない「普遍的なテーマ」。

それは、リーダーですね。
リーダーとはどうあるべきか。なにを喋って、なにを喋らないか。

そういうことは、べつに時代が変わろうがあんまり変わらない。

僕はたくさんのプロジェクトやチームを抱えていて、たくさんのスタッフさんをまとめる立場にあるんですね。絵本チーム、映画チーム、舞台チーム。そのほかにもいろいろ。

そのときの立ち振る舞いを通じて、「これ失敗だなぁ」とか「これ意外とうまくいったなー」とか、ひとつずつちゃんとメモするようにしてるんですけど、このメモには価値があると思ったんですよ。

とくに、これからの時代は、ひとりひとりがリーダーになっていかなきゃいけないから。

自分で判断して、自分で仮説継承していかなきゃいけない時代になってきたから。

だから、「リーダーの本」はもしかしたらおもしろいかな?と思って、来年、リーダーに関する本を書こうかなーと思って、最近は、リーダーっていうことにアンテナ張ってます。

ここからが今日のテーマ
コミュニケーションの心得『敵意帰属バイアス』を理解しろの話です。

数年前、オンラインサロン上でメンバーとのやりとりの中でこういったことがあったんです。

北海道の釧路のほうで、僕の講演会をサロンメンバーが企画してくださったんですね。いろいろ用意してくださっている中で、講演会のポスターを作ってくださったんですけど、このポスターが僕の顔写真ではなくて、僕の顔写真をもとに書いたイラストだったんですよ。

「西野亮廣が釧路にやってくる。見にきませんか?」って伝えて集客しようと思ったら、当然、顔写真のほうがいいわけじゃないですか。なのに、その講演会のポスターはイラストだった。

ちょっと不思議に思って「ポスターをイラストにした意味はあるんですか?」って聞いたんですよ。そしたら、主催者の方なのか、イラストレーターさんの友達なのか、関係性はわからないけど「イラストをバカにしないでください!一生懸命書いてるんです!」って返ってきたんです。

僕、びっくりしちゃって。
べつにイラストをバカにしているわけではないのに。

伝え方が悪かったのかなーと思って「この場面でイラストを使用した意図はなんですか?」っていうことを改めて聞き直したんですよ。

そうすると、そのやりとりを見ていた第三者のサロンメンバーの方が「イラストレーターさんが地元の方なので、地元の応援の狙いもあったのではないでしょうか?」っていうコメントをくださったんです。

それを聞いて「あーなるほど」と。

地元のイラストレーターさんのイラストを使うことで、そのイラストレーターさんに仕事の依頼が入ったりすればいいっていう設計なのかなーって。そう言われて腑に落ちたんです。

なのに、さっきの「バカにしないで!」と言われた方から「このイラストは素敵です!〇〇さんは会社員をやりながらも空いている時間にイラスト頑張って書いてくれたんです!」ってまた追加で返信がきて。

もう、ラチが明かないですよ。

くれぐれも言っておくと、僕はイラストがダメって一言もいってないです。
でも伝わってないから、会話が平行線だなって。

このときに、 ビリギャルの坪田先生に教えてもらった『敵意帰属バイアス』を思い出しました。

『敵意帰属バイアス』っていうのは「他人の行為が悪意があるように感じてしまう」ということなんですけど。

たとえば、偶然足を踏まれたのに「わざと踏んだに違いない」と思ってしまうっていうことです。認知の歪みですね。

僕らはこれらをこちらの説明不足だとか、相手の理解力不足ではないということを理解しておく必要がある。

『敵意帰属バイアス』が働いている人には、説明すればするほど裏目に出ちゃうんです。

説明しても「あなたは間違ってますよ」とか「あなたは理解できていませんよ」と言われているように受け取ってしまって、バカにされていると思ってしまうから。しかも、その指摘が正しければ正しいほど傷が深くなる。

相手はアンチ活動しているわけではなくて「本気で攻撃された!」と思ってしまっているんですね。

『敵意帰属バイアス』が働いてしまった人への正しい対処法は『敵意帰属バイアス』が追加で発動するきっかけを与えない。つまり、声をかけないことです。

『敵意帰属バイアス』が発動する原因は、自信がないとか、見下されていることを極端に恐れるっていうところからきているので、再現性、常習性があるんですね。

べつのきっかけでまた発動してしまうことがある。

アンチ活動をしている人に多くみられるんですが、場合によっては『敵意帰属バイアス』が働いてしまう人が同じチームにいたりするんで。

その人を本気で助けようと思うのであれば、間違いを丁寧に指摘するのではなくて、自信をつけさせてあげるということが大事です。

遠回りに思えるかもしれないけど、ここから直していってあげないと問題は解決しない。改善に向かわないです。

というわけで、
コミュニケーションの心得『敵意帰属バイアス』を理解しろ
というテーマでお話させていただきました。

リーダーを務める人は気をつけたほうがいいことだと思います。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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