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キンコン西野がオススメする「仕事の選び方」

このnoteは2020年2月18日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:植森江助さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「キンコン西野がオススメする仕事の選び方」
というテーマでお話ししたいと思います。

昨日、うちの会社の次期インターン生との飲み会がありました。やりたいことがあるけれどまだやれていなかったり、そもそもやりたいことがまだなかったりなど、まだまだ不安定な彼らにはちょっと色気があって、応援したいなあと思いました。

エンターテイメントを生業としているうちの会社は、おそらくかなり刺激的です。ただ、他を知らないとその価値はわからないと思うので、うちの会社は社員の独立を応援しているし、出戻りも歓迎しています。

昨日は、インターン生たちとそのような話になりました。

これから就職を始める人、はたまた転職をする人、年齢に関係なく、「つぎ何の仕事しようかな」と考えてる人は少なくないと思うので、今日はそういった方に向けて、仕事を選ぶときに参考にしていただきたい事をお話ししたいと思います。

今は『起業』よりも『企業』だ

なんとなく僕の肌感としてあるのは、今は『起業』よりも『企業』の時代だということです。要するに、業を起こすか、業に寄生するかです。これからの時代は、『起こす業』と書く『起業』よりも、『寄生する業』と書く『企業』の方が主流になると感じています。

これはあくまで僕ならこうするという考えで、一概には言えるものではありません。もし今がインターネット黎明期であれば、業を起こすことの取り分が大きいので、僕は迷わず起業して世界戦に打って出ていたでしょう。

しかし現状は、頑張れば頑張るほど、GoogleやAmazonといった、いわゆる『GAFA』のような巨人に養分を吸い取られてしまうので、中国みたいに国家として仕掛けない限り、勝負するのはなかなか厳しいように感じられます。

そんな中、僕の周りで世界戦に打って出ているビジネスマンが何をしているかというと、日本の文化に寄生しています。例えば、堀江さんだったらホリエモンだったら和牛、けんすうさんだったら漫画などです。

彼らは日本文化に寄生していて、みんなが憧れる『0→1』はやっていません。あれだけインターネットでブイブイ言わせていたホリエモンが、今や和牛に熱を入れているというのは結構象徴的な出来事だと思います。

やっぱり、先人が築いた文化や時間は買収することができません。非常に優秀な刀なのであれば、それを使わない手はないということです。

あと、僕が『業を起こす』ことにあまり興味が無いもうひとつ理由は、世の中の問題はほとんど解決したからとも言えます。

つまり、サービスというものを成り立たせるためには、そこに困っている人がいなくてはいけません。しかし、今はもう「家で本が買いたい」と思えばAmazonがいるし、「調べものをしたいけれど、図書館行くのが面倒だなあ」と思えばGoogleがあるし、「旅先で安く泊まりたい」、もしくは「自分の家に稼がせたい」と思えばAirbnbがあります。

要するに、困っている人があまりいない時代に入ったということです。そして、そのような時代における斬新なサービスは、そういったみんなが困っている問題から外れていないといけないことになります。

なので、今は新しいサービスを作っても「確かに斬新で面白いけれど、あまり必要ではないよね」というところに落ち着きがちです。「確かにそのアプリは便利で新しいけれど、使う人は少ないよね」というコンパクトな仕上がりになってしまいます。

そうなると、あとはもう娯楽に張るくらいしかないでしょう。僕が大学生なら、業は起こさずに、伝統工芸の職人さんのところに弟子入りしたりするかもしれないです。そうやって、伝統に寄生して世界戦に打って出ると思います。何かに寄生して、利用できるものは利用するという戦略ですね。

『グローバル×ニッチ』を狙え

そして、これらを踏まえて、次の仕事を選ぶときのひとつのコンパスにして
いただきたいのが、『ローカル』『グローバル』『ニッチ』『メジャー』という指標です。

手元に紙とペンがあれば、縦軸と横軸を引いて4象限を書いてみてください。紙とペンがない人は頭の中に書いてください。

4象限というのは、『+』の記号です。縦軸の上側に『メジャー』、下に『ニッチ』と書いてください。さらに、横軸の左には『ローカル』、右は『グローバル』と書いてください。上に行けば行くほど有名で、右に行けば行くほど世界、という4象限です。

その上で、今あなたがやろうとしている仕事が、この4象限のどこにあるのかを考えましょう。例えば、お惣菜屋さんなら『ローカル』で『ニッチ』なので左下、テレビなら『ローカル』で『メジャー』なので左上です。

『ローカル』というのは『地方』『田舎』という意味なので、日本も『ローカル』です。一方で、スポーツや食や漫画というのは、『グローバル』で『メジャー』なので右上です。

ここで押さえておかなければいけないポイントは2つあります。

まず『ローカル』、左半分はそもそも日本の人口が減っているので、総じて斜陽産業です。売上は下がっていく一方のものです。

こうなると右半分を狙うべきですが、『メジャー』、つまり上半分というのは競争率が高いです。右上にあるスポーツや食というのは、競争率が半端なく高いので、今から勝ちにいくことは不可能ではないですが、極めて難しいでしょう。

そうなると、狙い目は右下です。左上のテレビが『ローカル×メジャー』ならば、右下は『グローバル×ニッチ』です。『ニッチ』と呼ばれるだけあって、ここに本腰を入れている人は少ないですが、グローバル規模になると「塵も積もればなんとやら」で、合計がバカにできない数字になります。

代表的なものとしては、小室哲哉さんと坂本龍一さんの話があります。当時、ミリオンセラーを連発していた小室哲哉さんの音楽に対して、坂本龍一さんの音楽はそこまでヒットしていないイメージがありましたが、実は坂本龍一さんの音楽はめちゃくちゃ売れていたんです。世界各国のニッチを抑えていたので、足し算するととんでもない数になっていました。

まさに、『グローバル×ニッチ』の典型例と言えるでしょう。

僕が日本でやってるのはその領域です。絵本は、5000部や1万部が売れればヒット言われる世界なので、参加人口は少ないです。

「ITサービスで一発当てるぞ!」と言うギラギラ大学生を時々見かけますが、「絵本をやるぞ!」というギラギラ大学生はあまり見かけません。どちらかというと、物静かな人が細々とやってるイメージです。

しかし、絵本は文字が少ないので翻訳のハードルが極めて低く、海外に進出しやすいんです。事実、『えんとつ町のプペル』もフランスで3000冊、コロンビアで2000冊、韓国で3000冊と言った調子で、各国で売られています。ビックヒットではないですが、塵積もでバカにできません。

なので、今から狙うのならば4象限の右下『グローバル×ニッチ』がお勧めです。もちろん「それでも俺はテレビをやるんだ」と『メジャー』を狙いにいく心意気は素晴らしいし、否定されるものでは決してないと思います。

ただ、様々な活動を展開していく上で、4象限のどこに自分が属しているか、そして属しているところが抱えている問題はそれぞれ何なのかは、知っておいた方が良いでしょう。

というわけで、
「キンコン西野がオススメする仕事の選び方」
というテーマでお話しさせていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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