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僕の絵本の印税はサロンメンバーにあげるbyキンコン西野

このnoteは2020年6月18日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:みわこちゃん結婚してくれてありがとうなるかわくろ さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「僕の絵本の印税はサロンメンバーにあげる」
というテーマでお話しします。

キンコン西野の大胆すぎる海外戦略

出版業界の方にとっても、世間的にも、ちょっとびっくりする話かもしれないですが、実際に僕のサロンの中で起きていることをお話ししたいと思います。

今年は映画『えんとつ町のプペル』が年末に公開されるのですが、この作品は海外展開も見越していて、現在その調整に当たっています。

海外案件で言うと、ラオスという国に小学校を作り、次は雇用をつくるぞという段階になっていたり、

コロナの影響で個展はストップしているのですが、ブロードウェイミュージカルの制作を着々と進めていたりします。

このように国内外で活動しており、海外でも色んなことをさせてもらっているんですね。

そんな中、今日お話しすることは、絵本の海外戦略についてのお話しです。

僕がテレビの世界から軸足を抜き絵本作家に転職した一番の理由は、「絵本」という表現が「万国共通のエンターテイメント」だったからなんですね。

僕は漫才もすっごく好きで劇場に出続けていて、今はコロナの影響で難しいのですが、デビューから20年くらい、毎月コンスタントに20ステージ程出ています。

ただ、劇場に出るのも、梶原君とうだ話するのもすごく好きなのですが、それらの活動の軸となっているのは日本語や日本語のテンポであり、ここを軸にしている限り、どれだけ面白いことをしようが海は超えられないんですね。

好き嫌いの話でなく物理的な問題なので、ここは受け止めなければなりません。

というわけで、漫才やバラエティで培った筋肉を「絵本」という翻訳のハードルが極めて低い表現に落とし込んで世界を狙うことにしたのが、25歳の時ですね。

現在も僕の絵本は数カ国で出版されているのですが、どういう形で海外で出版するまでに至ったかというと、その国の出版社さんから「ウチの国で出したい」と言っていただくパターンもあるのですが、それをスタンダードにしてしまうと、声が掛かるまで待たなければならないですよね。

僕としては待ってられないなーと思うので、絵本を持って飛行機に乗って、自分から売り込みに行くんですよ。

世界には有名な「国際ブックフェア」がいくつかあり、そこにブースを出展して売り込みを行っています。

「ブックフェア」とはいわば「見本市」みたいな感じですね。

世界中から人が集まり、世界中の出版社さんが版権を買い付けに来ているんですよ。あまり馴染みがないと思いますが、すごく大規模に開催されてて。

今はコロナの影響で延期もあるかと思いますが、何万人規模で人が押し寄せるイベントなんです。もしお近くでやられていたら、ちょっと覗いてみると面白いかもしれないです。

このブックフェアは、版権を買い付けに来られた海外の出版社さんが、まじまじと「自分の国で、自分の会社でこの本を出すか出さないか」を品定めされるんですね。

当然、ブックフェアに出展したからと言って必ず海外での出版が決まるとは限らず、決まらなかったときは出店にかかった費用(ブース代、交通費、宿泊費、お手伝いしてくださったスタッフさんのお給料)は全部出ていく一方になります。

これが結構ヒリヒリして面白いんです。

ブックフェアで出展しているブースに掛けられている費用を見てみると、どの国が海外展開に力を入れているかが分かったりしてブックフェアそのものが面白いんですよ。

例えば、韓国のブースはめちゃくちゃお金が掛かっていて、おそらくあれは出版社ではなく国からの援助金で作っているのだと思います。

僕はコロンビアでも絵本を出させてもらっているのですが、この件はイタリアのボローニャのブックフェアで商談が成立したんです。

変な感じですよね。コロンビアでの出版がイタリアで決まっているんですよ。

ブックフェアに出店して絵本の版権を売って、という感じでじわじわ海外に進出していたのですが、これだと次のブックフェアまでチャンスを待たなければならずスピード感が遅いですね。

それで、もう少し海外展開を加速させたいなぁと思い、出てきたのがオンラインサロン。

今現在のオンラインサロンには、6万6000人のサロンメンバーが在籍し、海外在住のメンバーもたくさんいるんですね。

前々から「海外在住組とも何らかの形でつながれないかなー」と思っていたのですが、海外の絵本の出版交渉をその国に住んでいるサロンメンバーさんにお願いしてみようと思ったんです。

そして、そこで出版が決まれば、その絵本の印税は交渉してくれたサロンメンバーさんと分配してみようと。

変な話ですよね。頑張って作った本の印税をお客さんにあげちゃうんです。これまでの常識を持っている方からすると最大のびっくりポイントですね。

印税あげるの?作家が印税を受け取らないってどういうこと?と。

でもね、それでいいんですよ。僕が絵本を出す目的は印税ではないので。

サロンメンバーさんの活動の後押しができればそれでいいし、サロンが盛り上がるのであれば、それでいいんですよ。

僕の絵本の場合は『幻冬舎』という会社と『吉本興業』という会社、この2つの会社に話を通さなければならないのですが、幻冬舎や吉本興業が「そんなことサロメバーにやらせちゃダメだ」とか言い出すのであれば僕は1秒で会社を辞めるので、幻冬舎も吉本興業も、今回のアクションに関しては口をはさんで来ないんですね。

口をはさんで来ないどころか、むしろ事故が起こらないようにフォローしてくださっています。これには感謝です。

まあ、そんなこんなで現在、サロンメンバーさんが各国の出版社に交渉してくれているのですが、既に数カ国で出版の話が決まっています。

一番早いところでは、オンラインサロンに投げて1週間後には、一つの国で出版が決まっています。

ブックフェアに出店して売り込みをしていた時とはスピードが桁違いなんですね。バンバン結果が出るんです。

特典ではないですが、海外で出版を決めてくれたサロンメンバーさんには飛行機に乗って個人的に会いに行くことはもう決めていて、サロンメンバーさんと公私混同で仕事を進めています。

改めて思うことは、「楽しい」 ということの強さですね。

仕事でやらされている人よりも「面白そうだからやります」とやっている人の方が圧倒的に仕事のパフォーマンスが高いんです。このことが立証されたので、今後もサロンメンバーさんと公私混同で進めるプロジェクトはこれ以外にも増えていくと思います。

ネットニュース的に今日のお話を途中の情報だけ切り取れば「本の印税はお客さんにあげる」という驚きのタイトルが付くと思うのですが、印税をサロンメンバーさんと分配していることにはそのような背景がありますよということが今日のお話でした。

というわけで、
「僕の絵本の印税はサロンメンバーにあげる」
というテーマでお話しさせていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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