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自分の活動のポイントがどこに入っているのかを把握しろ by キンコン西野

このnoteは2019年1月31日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供: 柳沢功さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「自分の活動のポイントがどこに入るのかを把握しろ」
というテーマでお話します。

僕らがお仕事で頑張った結果というのは、だいたい数字で表れます。お給料だったり、お店をやられている方は売り上げだったり、作家さんであれば発行部数だったり、ユーチューバーさんなら再生回数やチャンネル登録者数だったり、テレビマンであれば視聴率といったところです。

僕らはその数字をコンパスに航海しているわけですが、ここで気を付けた方がいいことがあります。

もちろん、ビジネスをする人間ならば数字で結果を出さないといけないのですが、それに加えて踏まえておかなければいけないのは、試合時間です。例えば、20歳からから70歳まで働くとすると、僕らが参加している試合時間はおおよそ50年であると言えます。

もし試合時間が1、2年であれば、シンプルに数字を追ったもん勝ちです。ただ、くれぐれも僕らは50年間続く試合に参加している。そうなった時に、序盤に費やした5年が、10年後、20年後、30年後も無駄になっていない方がいいわけじゃないですか。

その時に目を向けないといけないのは、数字だけではなく、「自分たちの活動のポイントがどこに入っているか」ということです。

これが今日の本題です。

自分にポイントが入る仕事とは

例えば、1990年代を代表する人気番組で『マジカル頭脳パワー』という番組がありました。『マジカルバナナ』のようなゲームをやっていた番組です。視聴率はおそらく20%を簡単に越えていたと思います。これは、数字の面では完全にボロ勝ちです。おそらく僕ら世代の人間はみんな『マジカル頭脳パワー』を見ていたので、ほぼ全員が知っていると思います。

ただ、『マジカル頭脳パワー』や『マジカルバナナ』を知ったとしても、「その『マジカル頭脳パワー』に出ていたタレントは誰?」と聞かれたら、言葉に詰まる人が結構多いと思います。僕自身も、似たようなクイズ番組とごっちゃになっていて、すぐには思い浮かびません。

しかし、『マジカル頭脳パワー』には確実にタレントさんが出ていたわけじゃないすか。そのタレントさんは、時間を割いて汗を流されていたはずです。にもかかわらず、今になって残ってるのはタレントさんご自身ではなく、『マジカルバナナ』の企画です。

つまり、当時のタレントさんが頑張った分のポイントが、企画に入ってしまっていたということです。『マジカル頭脳パワー』という番組、もしくはその『マジカルバナナ』という企画にポイントが加算されていたということです。

当然、人気番組ですから、その人気相当のギャラはタレントさんのところに入っているわけですが、タレントさんの頑張りにより発生するポイントは、自分に入らずに企画に入ってしまっていました。

一方で、ダウンタウンなどは、常に自分にポイントが入る仕事を選び続けています。当時、ダウンタウンさんがやられていた『ごっつえぇ感じ』という番組の平均視聴率は、『マジカル頭脳パワー』よりもぐっと落ちる15、6パーセントぐらいでしたが、あの時おふたりが費やした時間や労力はすべておふたりに入っています。

「松ちゃんおもろい!浜ちゃんおもろい!」と、すべてあのおふたりにポイントが入っているんです。小さな積み重ねですが、これをずっと続けていくことで、自分にポイントを入れなかったタレントと、目先の数字よりも自分にポイントを入れることを選び続けたタレントとの間で、後々大きな差が開くことになります。

お仕事をする上では、これがすごく重要な点です。

僕のお友達で、幻冬舎の箕輪厚介さんという方がいらっしゃるのですが、彼は今、ビジネス書を作らせたら日本一売る編集者です。

ビジネス書を売るのが非常に得意なので、そのヒットのノウハウを転用すればダイエット本を作ることもできるのですが、彼はそれをやりません。なぜなら、ダイエット本が50万部ヒットしたとしても、「あの本売れたね」ということだけで終わってしまい、箕輪厚介には少しもポイントが入らないからです。

箕輪さんは、ビジネス書を作ることで、『挑戦する人を応援する人』というハッシュタグを手に入れ、彼の周りをそういう人たちが集まる場所にしています。彼は、自分をそういうポジションに持っていくことに全コストをかけているということです。

なので、彼にとってみれば、30万部売れるダイエット本よりも、3万部売れる動画クリエイターのビジネス書の方が、はるかに作る価値があるのです。

ここで多くの人は、目先の数字、例えば給料や視聴率、部数やチャンネル登録者数などに目を奪われて、自分にポイントが入っていないことに気がつきません。本の場合であれば、30万部売れるダイエット本を作ることを選んでしまいます。

目先の数字を追うのは本質的ではなくて、結構無駄だということです。

Youtubeを例に出すと、メントスコーラという人気動画があります。しかし、メントスコーラで100万回再生されたとしても、その動画を作った人にはポイントは入りません。みんなの目はメントスコーラというコンテンツ自体に向けているので、「メントスコーラおもろいね」とはなったとしても、「メントスコーラをやっているあの人おもしろいね」とはならないということです。

このように、ビジネスをやる上では、自分の活動がどこにポイントが入るかを考えることが非常に重要です。

西野の仕事の選び方

ちなみに僕は、どうせいつか寿命がきて死ぬので、西野亮廣という『人物』ではなく、100年後も残る『作品』にポイントが入るように活動しています。講演会、Voicy、Youtube、オンラインサロンなどのさまざまな活動をしていますが、それらすべてのポイントは『作品』に入るように設計しています。

代表的なものだと『えんとつ町のプペル』です。Voicyをやればやるほど、Youtubeをやればやるほど、オンラインサロンやればやるほど、講演会やればやるほど、『えんとつ町のプペル』の厚みがどんどん増していく。そこにポイントを入れ続けさえすれば、『えんとつ町のプペル』という作品は基本的に老いないので、長期にわたって活躍してくれるはずです。

つまり、僕の場合は、たとえ大金を積まれたとしても、作品にポイントが入らない仕事はやらないようにしています。

実はこう見えて、僕はいわゆる『企業案件』をいただくことが非常に多く、特に一般的なタレントさんと違って「この商品を宣伝してください」と言うよりも、「このCMを作ってください」と言うオファーをいただきます。そのため、かなりの大金を提示されることも多々ありますが、その仕事をしたところで作品にポイントが入らないのであれば、お引き受けしません。

なぜなら、手元に入るまとまったお金と、出ていく僕の時間をかけて天秤にかけたとき、このまとまったお金を取ることは、僕にとっては基本的には損失になるからです。

みなさんも、ご自身の活動がどこにポイントが入っているかを一度考えてみてください。

というわけで、
「自分の活動のポイントがどこに入るのかを把握しろ」
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。

※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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