お金の話をしたら損をする国『ニッポン』【キンコン西野】

このnoteは2021年2月13日のvoicyの音源、『西野亮廣ブログ』の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供:元旦放送に続き二回目 にしむらなおや さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。


今日はちょっと踏み込んだ話をしたいのですが、本題に入る前にお知らせをさせてください。

現在、『映画 えんとつ町のプペル』の副音声上映の第二弾を実施中なのですが、こちらは、とにかく踏み込んだ話をしますし、とにかく最初から最後まで西野がず〜っと喋っておりますので、「すでに映画を何度も観て、ストーリーが完璧に入っていて、かつ、副音声第一弾を聴かれた方」にご案内させていただいています。

そして、これについて、「第1弾を聴きそびれました」とか「もう第一弾は聴けないんですか?」というご質問をたくさんいただいております。

たしかに「第二弾」という言い方だと、「第一弾」と入れ替わりで始まった感がありますが、ご安心ください。

第一弾も引き続き、お聴きいただけます。

「HELLO MOVIE」というアプリの中で、「第一弾」「第二弾」いずれも選べるようになっておりますので、まだ第一弾を体験されていない方は、是非、ご利用ください。
ご利用方法など、詳しくは『映画 えんとつ町のプペル』の公式ホームページでご確認ください。


(※こちら↓)


そんなこんなで今日の本題に入りたいと思います。

今朝、ちょっと面白い記事を見つけたんです。


▼『マスメディアで扱うキンコン西野氏のお金の話』

「マスメディアで扱うキンコン西野氏のお金の話」というタイトルの記事なのですが、要約すると…

「キンコン西野がテレビに出て、お金についてインタビューされた時に、いつも『月収○○円』と紹介されて、さらには、『オンラインサロンやクラウドファンディングを使って、湯水のようにお金を生んでいる』みたいな紹介されるけど、そういったお金を生み出すことに費やすコストのことが全然紹介されないよね」

……といった内容です。

その結果、「お客さんを騙くらかしてる」だの「詐欺」だの「宗教」といった扱いになっちゃうわけですが……これは、本当に痛感していて、どれだけ説明しても、全然伝わらないんです。

たとえば、「チケットぴあ」でチケットを売る行為は全員が全員、普通の経済活動として捉えていると思うのですが、
クラウドファンディングで(リターンとして)チケットを売ると、途端、「詐欺」だとか「信者ビジネス」と言っちゃう人がいる。

どちらも、オンラインでチケットを売っているわけで、「全く一緒だよ」と説明しても、「怪しい!」「お客さんを騙くらかしている!」となる。

他にも、

「メルマガを販売する」という行為は普通の経済活動として捉えていると思うのですが、「オンラインサロンで記事を販売する」となった瞬間に、「詐欺だ」「信者ビジネスだ」となっちゃったりする。

ちなみに、僕のオンラインサロンは毎日2000〜3000文字の記事を書いていて、月額980円なので、だいたい1記事「30円」です。

この説明をしても全然伝わらないどころか、このクラウドファンディングでいうところの「チケット」だとか、オンラインサロンでいうところの「記事」といった『リターン(商品)』の存在が、右の耳から入って、そのまま左の耳から出ていってしまって、「何もしていないのに、ただただお金を貰っているヤツ」にされてしまう。

過去、何度もチャレンジしましたが、何度、説明しても無理でした。

ただ、起業家さん達が集まるイベントに登壇させてもらって、そこで、「オンラインサロンでは、こういった活動をしていて、プロセスの部分を記事化して、活動予算を作っています」と話しても、「詐欺だー!」「宗教だー!」にはならない。

「なるほど、そういうやり方もあるのね」で議論が進むんです。

これに対して、テレビの視聴者さんが理解力がなくて、起業家さんが理解力があるのか?というと、実は、そうじゃないと思っていて……

これは昔、お話ししましたが、「敵意帰属バイアス」が働いているのだと思います。

「敵意帰属バイアス」というのは、「他者の言動の原因が、敵意や悪意によるものだと認識してしまう心理的傾向」のことです。

皆さんも過去に、何度説明しても伝わらなくて、そんなことは言っていないのに、そんなこととして捉えられて、めちゃくちゃキレられた経験ってあると思うのですが……あれです(笑)。

「西野はオンラインサロンという何か悪いシステムを使って、ラクをして金稼ぎをしている」と思っちゃっている時点で、説明をしても無駄で、もう、どんな言葉も悪く聞こえちゃう。

これ、「説明不足」や「理解不足」の問題じゃないんです。

よくあるのが、「お金を稼いでいる奴は、悪いことをしているに違いない」ですね。

お金持ちに対して、「あんな悪い人間になっちゃダメ」と思っている日本人って少なくないと思います。

そういう人に、「たとえば、あの人は、具体的に、どんな悪さをしたの?」と質問しても、そこで返ってくるのは、「ツッコミどころ満載の回答」か、もしくは「なんかよく分からないけど、なんか悪いことをしているんだよ」というメチャクチャな言い分です。

理屈を超えてしまっているので、議論ができず、いつまでたっても分かり合えない。

で、今回の記事を見て「ああ、これはまいった問題だなぁ」と思ったのが、「だったら、テレビでお金の話はできないじゃん」という結論に行き着いちゃうところです。

「クラウドファンディングは、こういう使い方ができますよ」という説明を評論家が話す分には許されるのですが、でも、それは伝え聞いた話を喋っているだけなので、どこか説得力に欠ける。

ならば、実際にクラウドファンディングを使っている人に、「私はこういう使い方をしています」と説明してもらいたいところですが、それをすると、「金儲けをしやがって」「詐欺師」「信者ビジネス」と言われてしまう。

テレビで実践を交えたお金の話をするメリットってあんまりないんですね。

「クラウドファンディングの話を聞かせてください」と言われて、皆様の選択肢が増えて、世の中が豊かになればいいなぁと思って、オファーを引き受けて、クラウドファンディングの話をしたら、「詐欺師!」と言われるんですよ?

こうなると、皆、避けちゃうと思うんです。

これが厄介だな、と思うのは、たとえば「テレビが情報源になっている人」もいるわけで、こうなると、情報格差はどんどん加速していく。

これは、ここ数年、本当に強く感じています。

皆、スマホを持っているのですが、スマホの中に入っている情報って、自分の生活に最適化されているから、当然、テレビが情報源になっている人のスマホには、それに見合った情報が詰まっているわけじゃないですか?

僕、よく、地方のスナックに行くのですが、そこで感じるのは、いわゆる積極的に情報を取りにいっているビジネスマン界隈の人達と、全然、正義が違うんです。
もう違う国の人達みたい。

「前まで、ここまで大きな違いがあったかなぁ?」と、最近、よく思うようになってきました。

その背景には、「敵意貴族バイアス」が面倒になって、「お金の話をしたら損をするから辞めておこう」と判断しちゃった人の存在があるんじゃないかなぁと今回思いました。

情報格差は、そのまま収入格差になるので、なんとかしたいところです。


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