見出し画像

現代は「ネガティブキャンペーン」が裏目にしか出ないbyキンコン西野

このnoteは2020年3月1日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:小谷真理 さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日はですね、
現在はネガティブキャンペーンが裏目にしか出ない
というテーマでお話したいと思います。

攻撃するなら、賢く攻撃しろ

人は様々な理由で人を嫌います。

生理的に受け付けない、嫉妬、場合によっては、自分の立場を脅かすかもしれない存在を許すわけにはいかないなどなど。

僕は時間にシビアというかせっかちなものですから、自分が何だか苦手そうな人を嫌いになるまでその人に時間を割かないし、割かなくてもいい環境でもあるので、今は嫌いな人というのは一人もいないんですね。

ただ、職場にそういう苦手な人や嫌いな人がいたら避けて通れなかったりするじゃないですか。

なので、嫌いな人に時間を割き続けている人がいても仕方がないと思うんです。

今日は、そういう事情があって嫌いな人がいる人を否定するわけではなくて、嫌いな有名人のネガティブキャンペーンは、まったくもって裏目に働くからやめておいたほうがいいよというお話をしたいと思います。

つまり、 ネガティブキャンペーンをする側に寄り添ってお話ししたいと思います。

まずは、嫌いな有名人のネガティブキャンペーンを始める前に 、15年前と今とで何が違うかを正確に把握した方がいいと思います。

15年前と違って、今は答え合わせができる時代なんです。

昔は、ネットに書き込むという行為はまだまだハードルが高くて、それこそ 2ちゃんねるなんてわざわざ開かなかったじゃないですか。

2チャンネル開いて、スレッドを探して、少し前からスレッドをさかのぼって、流れを読んで…っていう作業。

攻撃対象のことをよっぽど嫌いというか、よっぽど興味を持ってないとそこまでたどり着こうと思わないです。

悪口言うまでにすごい段階を踏まなきゃいけない。

そこにはそういう人しか集まってこないから、攻撃対象を陥れることができるのであれば、作り話であろうと何であろうとどんどん放り込んでよかったんです。

そこにいる人はその悪口を言うことが目的の人たちなので、ただ悪口が言えたらいいから、基本的には答え合わせをする必要はない。

当時っていうのはネガキャンが決まりまくる時代ですね。

この時代のネガキャンにはむちゃくちゃ大きい効果があったと思うんです。

でも、今はどうなっているかというと、発信のハードルがグンと下がって誰でも彼でも発信できるようになった 。

激しい憎悪みたいなものがなくてもレビューできるようになったし、なんなら一人一人がyoutubeチャンネルを持つ時代になった。

こうなってくると、捏造によるネガキャンが裏目に働き始める。

証拠を調べ上げられて答え合わせをされて、それが発信されてしまうからです。

これおもしろい一件だなぁと思ったのが、去年ですね。

僕、近畿大学の卒業式のスピーチをしたんです。

スピーチの内容としては、「過去なんて今の立ち振舞い次第でいくらでも変えられるのだから、理論上失敗なんてないので、挑戦してください」といったものです。

この言葉に説得力を持たせるために、僕がその場で、8000人の生徒が見ている前で「失敗」とされた過去を変えた瞬間を見せる。

それを見せたら「ああなるほどな」ってなるわけですね。

15分の持ち時間のうち前半10分を、失敗してそれを取り返してっていう繰り返しに使ったんですね。

そのなかの1つに、僕の登場シーンで拍手が実際は全然まばらじゃないんですけど、まばらっていうことにしてね。 

「とっても恥ずかしいからもう1回再登場するんで、いい感じの拍手ください」みたいに、登場をやり直したんですよ。

これは緊張ほぐしで、場を温めるための古典的な方法で。

古くはヒーローショーの冒頭とかで、司会のお姉さんが子どもたちにヒーローの名前を「何とかマーン」とか叫ばせて、それに対して「そんな小さい声じゃあ来てくれないよ。もう1回~」とかいうのあったじゃないですか。あれですね。

お笑いライブだったら前説と呼ばれる人たちが拍手の練習をしたり、お客さんと一緒に大声でイベントのタイトルを何回も叫んだりするものです。

ただ、近大の卒業式のスピーチって、登壇するまでにちょっとお固めの行事が1時間ぐらい続くんですね。卒業生含めかれこれ8000人のお客さんが1時間ほど一声も発してないんです。

ライブ用語でいうと客席が冷え切ってるっていう、なかなかシビアな状況です。

ここに出ていって笑いを誘うには、まずはほぐさないといけない。

ヒーローショーでいうところのお姉さんの仕事、お笑いライブで言うところの前説の方のお仕事を僕がやらなくちゃいけない。

で、やったんです。

そうすると、アンチと呼ばれる方々がその途中部分を切り取って「これはマインドコントロールだ」とか、「お客さんを洗脳している」みたいなツイートをブワーッと回して、一時ツイッター村はプチ炎上した。

で 、そこで「最低だ最低だ―」ってつぶやいた方々がもっと粗を探してやれとなってyoutubeのノーカット版をみるわけですが、そこで答え合わせがされてしまう。

イベントでよくあるただの掴みじゃんとなって、「そんなことよりも西野いい話ししてね?」ということになってくる。

その結果、その動画は750万回以上再生されてめちゃくちゃ高評価なんです。ツイッターの評価とyoutubeのコメント欄の評価全然違うんですね。

そのきっかけを作ってくれたのは他でもないアンチによるネガキャンなんですね。

あれがなかったらあのyoutubeはあそこまでバズってなかったです。

あのyoutubeを見て好きになりましたって言ってくださる方めちゃくちゃ多くて、あれでかなりファンが増えたんです。

答え合わせのハードルが高かった頃のネガキャンは効果があったんですが、 答え合わせのハードルが低くなってしまった時代のネガキャンは、確かなものでないと全く効果がない。

『切り取りハラスメント』で無理くり捻出した素材はむしろ裏目に働いて、「そんなことねーじゃん」っていう人を増やしてしまうし、「そんなことないですよ」というファンの結束力を高めてしまうし、さらにはそれを続けていると、強引にネガキャンしてる奴=ダサいになっちゃう。

だから、ちょっとだけいたずら心が働くことがあるんですけど、雑なネガキャンを見つけたら何も言わずにリツイートしちゃうんです。

答え合わせは世間がしてくれるから。

これは政治とかがわかりやすいかもしれないですね。

僕は別にどこの政党を支持してるとかないですよ。
ただ、おそらく多くの国民の声というのはこれだと思います。

与党を応援しているわけではないけれども、野次しか飛ばせない野党は支持できないから、与党を支持するしかないっていうところだと思うんですね。

つまり野党が無理くり捻出したネガキャンによって自らの支持者を減らしているっていう状態ですね。

こういうことがネットでも起きているのが今なので、無理くり捻出したネガキャンっていうのは裏目に出るから控えておいた方がいいと思うし、パンチを出すんであれば、きちんと証拠を完全におさえて一発で仕留められるパンチを打った方がいい。

そんなことよりも何よりも、自分の時間は自分が好きな人や自分に使ってあげた方がいいと思うよ。

というわけで
現代はネガティブキャンペーンが裏目にしか出ない
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
んでもって、ビジネス書に掲載するレベルのコラムを毎朝投稿しています。
興味がある方はコチラ↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?