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人は何故ゴミのように捨てられる「長文」を書いてしまうのか? by キンコン西野

このnoteは2020年5月18日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:美少女イラストで世界に幸せを届けたいじょ子 さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「人は何故ゴミのように捨てられる『長文』を書いてしまうのか?」
というテーマでお話しします。

「長文」と「ボケ」を生まれる原因


少し刺激的なタイトルではあるのですが、なぜみんなが読まれもしない『長文』を書いてしまうのかということについて、掘り下げて考えていきます。

この話は以前もさせてもらったのですが、とかく、その人に許されている
「プレゼン時間」というものがあります。


ダウンタウンの松本さんが、前置きから丁寧に始められても、「まあこれには面白いオチが待ってるんだな」と思えるから、待てるじゃないですか。

それは、松本さんがこれまで積み重ねて来られた信用がそうさせているわけで、例えば、よくわからないおっさんが、自分の授業のプレゼンをする時に、「僕の生まれはですね」と、生い立ちから話を始めたら、僕らは10秒ですぐシャットアウトするはずです。

それは、そのおっさんが聞き手の信用をまだ勝ち得てない、よくわからない
おっさんだからというところです。内容は関係ありません。

また、よくブログやクラファンの文章で見かける全く知らないど素人のボケ、ボケのようなものは、そもそもクオリティが低いのもありますが、クオリティの問題を差し引いても、痛々しくて見ていられません。

電車に乗っている隣の知らないおっさんが、こっちを笑わせようとしてボケてきたら、それはもう面白いどころか、恐怖でしかない。
その瞬間、席を立つじゃないですか。

彼らがやっていることは、「お前の今の心境とか、お前の時間なんてどうだっていいから、とにかく俺の話と、俺が思いついた渾身のギャグを全部聞け」です。
そんな盗賊みたいなやつの話を誰が聞くんでしょう。

でも、百発百中で事故る長ったらしいプレゼン、いわゆる長文とボケはよく見かけるでしょう。
皆さんのタイムラインにもよく流れてきているはずです。

ブログを開けば「長!、こいつの文章!」、「この掴みのボケ、何?」というものをよく見かけるじゃないですか。
毎回毎回、全員爆死しているのに、毎回見かけます。

これに対して、僕は以前、「せっかくの挑戦をたったそんなことで終わらせてしまうのはもったいないから、長文と、なんかよくわからないボケみたいなやつは、本当にやめた方がいいよ」

「今の君には今の君に許されているプレゼン時間があって、今の君に許されているふざけてもいい領域というものがあって、そこと照らし合わせながらプレゼンするべきだ」ということを、僕のサロンメンバーさんにも結構言ってきました。

しかし、僕のサロンメンバーさんですら、なくなる気配がなかったんです。

つまりそれは、僕の指摘が芯を食っていないということで、僕は僕で、もっと伝え方を考えなければいけません。

成功している人のどこを真似するのか


そこで昨日、サロンメンバーさんにちょっといろいろとヒアリングしてみました。すると、面白い答えが返ってきて、メンバーさんが言うには、「西野さんが何度も何度も指摘されているのは知っていて、その都度、『ほんとそうだよな。そういうやついるよな。そういうやつの文章なんて、絶対誰も読まないし、そういうやつのボケなんて、寒すぎて痛々しくて全く笑えないのにあいつら何で分からないんだろう』と思う」

ただ、自分が文章を書くとき、自分がプレゼンするときになると、それをやってしまうということ。
掴みで一発ボケを挟んで、アイドリングトークのようなことをして、そしていよいよ本題に入る。

この地獄パターンをやってしまうんです。
これすごくないですか?

ああやったら死ぬなということはもう分かっているのに、自分の番になると、それを一切忘れて確実に死にに行っている。

「なに、その能力?!」と思いました。
そもそもなんで、一旦頭に入れたものを抜群のタイミングで忘れることができるのかと。

それで、こういう人たちにどう伝えれば伝わるのかを考えました。

なぜなら、その人の挑戦がうまく行ったほうがいいし、その人が守りたいものが守れたらいいじゃないですか。じゃあどう伝えれば伝わるのか。どう伝えれば、その人がもう事故を起こさずに済むのか。

そこで、「お前は本当にバカだ。なんでそんな当たり前のことがわからないんだ」と否定するのではなくて、彼らを一度肯定してみようと考えました。

つまり、その人は頑張っていると認識するということです。その上で、「こういう頑張り方をしたらもっといいかも」という角度から攻めてみようと思いました。

そして、地獄みたいなボケと、お経みたいな長文を書く人の気持ちになって、憑依してみました。
すると、「その人がメッセージを伝えたいと思ったときに、参考している人は誰なのか」という問題に行き着きます。
やはりみんな成功例のテンプレートが欲しいわけです。

誰を参考しているのかという答えは、「メッセージを伝えることに成功している人」です。

メッセージを伝えるのが上手い人は、「掴みのボケ」を入れてくるんです。
メッセージを伝えるのが上手い人は、本題に入る前に「アイドリングトーク」を挟んで、聞く体制を作ってから本題に入っているんです。

これをテンプレートに真似をして、5分くらいの文章を仕上げてしまう。でも、違うんです。成功してる人の真似をすることは正しいでしょう。
ただ、「成功している人のどこを真似するか」ということは大事です。

多くの人がテンプレートとして使っている成功者の文章は、その成功者が自分の城で出している時の文章ですね。

そこにいる人全員が、その人の文書を待ち望んでいる空間で出している文章です。そんなものは参考になるはずがありません。

例えば、あなたが好きなタレントさんがテレビに出た時に、5分間ひとりしゃべりしているところを見たことありますか。ないですよね。持ち時間は、せいぜい15秒か20秒です。

なぜなら、テレビはそのタレントの城じゃないからです。皆が皆、そのタレントを待っているという空間ではないからです。

あのタレントも、あの芸人も、あのアイドルも、あのアーティストも、あれだけ影響力を兼ね備えた人たちでも、あれだけメッセージを届けることに成功している人たちでも、自分の城じゃない場所に出て行った時の持ち時間は、15秒や20秒くらいなんです。

多くの人が真似しなければいけないのはそちらです。

あなたが好きなあの人が、城の外に出た時の振る舞いです。

だって、あなたがプレゼンをする場所はあなたの城じゃないから。
成功者の真似をするという大枠は間違っていないし、あなたは努力もしていると思います。

だけど、最後の最後の最後の枝分かれの部分。城の中にいる時の成功者を真似してしまっているのがちょっと失敗でした。
そこを真似するのではなくて、その人が外に出ているときの立ち振舞いを真似しないといけません。

という説明で、伝わりましたでしょうか。これでも伝わらなかったら、また別の方法を考えます。とりあえず、これが今の僕の精一杯です。今日はもう熱く語っております。

あなたの挑戦を応援しているし、あなたの挑戦が上手くいくことを僕は願っているので、一度参考にしてみてください。

というわけで、
「人は何故ゴミのように捨てられる『長文』を書いてしまうのか?」
というテーマでお話させていただきました。

成功者が城にいるときの発信方法をテンプレートにしているからだということが、今日の結論でございます。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。

※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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