日本のリーダーは今、何をすべきか? by キンコン西野
このnoteは2020年3月31日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供: 人生を耕すクレイジー・ファーマー うめちゃんさん
どうも。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。
今日はですね、
「日本のリーダーは今、何をすべきか?」
というテーマでお話します。
日本でいま起こっている問題
僕は、吉本興業の芸人をやっている傍ら株式会社NISHINOという会社の人間です。この会社の仕事内容は、エンタメが中心ですが、多岐に渡り、活動場所も国内外を問いません。
会議案件だと、今は、ブロードウェイミュージカル『えんとつ町のプペル』の準備をしたり、ラオスに小学校作ったり、その後の展開であったり、ちょっと面白い場所での個展を進めたりしています。
それから、オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』というものも運営しており、そちらの方でも、海外在住のサロメンバーとのやりとりを盛んに行っております。
ですから、会社の人間や、うちのサロンメンバーは、普通よりも若干海外が近くにあると言えるでしょう。
それで、ニューヨークのスタッフさん、ドイツやフィリピンのサロンメンバーさんと連日やりとりをさせていただいていると、彼らと日本人のコロナに対する危機感の違いには愕然とします。
地域によっては、本当に生きるか死ぬかの所もあるのですが、一方で日本は、お花見に行っていたりする。これは、なかなかヤバイなと感じています。
そんな中、昨日、東京都知事が緊急会見を開き、「カラオケとがバーに行くのはなるべく控えてね」と呼びかけていて、なかなかズッコケました。
そんなことは、もうみんな分かっているんです。
もちろん、カラオケやバーを経営している人たちも分かっています。お店を閉じられるものなら、休めるものなら、みんな休みたいですよ。でも、店を閉じてしまったら、自分たちが経済的に追い込まれて死んでしまうので、閉じることができないのです。
これはもう散々議論されてきたことなのですが、自粛の要請と、自粛によって経済的に追い込まれてしまう人たちのケアはセットであるべきです。
ケアとは、具体的に言うと、給付です。その期間のお金をどうやって用意するかということです。
しかしどうしても、この後者の給付などは追いつかない。
もちろん、都知事や首相が、ここを考えていないはずがありません。
ここで、政治家が「現金をポンと出せ!」などと言って、国民の票を稼ぐことは簡単です。多くの国民は、国の予算が潤沢にあると思っているので、
「そうだそうだ!」となり、「言ってくれた!俺たちのヒーローだ!」となるでしょう。
そりゃね、「日本中のお店に毎月100万円給付します」と言えた方がいいことは百も承知です。でも、分かっているのに言っていないということは、できない理由があるわけです。
1店舗で100万円だったら10万店舗で1000億円です。その毎月1000億円の予算をどこから引っ張ってくるのかという問題があります。
引っ張って来られたとして、1000億円を毎月動かしたら、そのしわ寄せは、別に行くわけなので、簡単に決定できることではないのです。
お店への毎月100万円の給付は、簡単に決定できることではない。しかし、事態は一刻を争っています。
この時、「リーダーは何をすべきか?」という話が、今日の本題です。
リーダーがやるべきことは『コンサル』だ
まず、公的な予算を引っ張ってくるのに時間がかかるのであれば、今すぐできるお金の工面をするべきです。それはつまり、バーがバー営業しなくても、カラオケがカラオケ営業しなくても、当面は稼げる方法をお伝えすることです。
僕らのオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』は、連日それをやっています。
例えば、先日、僕らがやっている都内某所にあるスナック『キャンディ』のママから、「当面の間、お店の営業を停止した方がいいですかね?」と相談を受けました。そりゃそうだろうということで、「すぐに停止しよう」と言って、とりあえず2週間、店を閉じることを要請しました。
ただ、通常営業をやめることと、売り上げが落ちることは、イコールではありません。通常営業をやめたことによって新たに発生する価値があるからです。
スナック『キャンディ』というのは、僕の絵本『えんとつ町のプペル』の中に出てくるスナックという建て付けになっていて、内装もえんとつ町風に、とんでもなく凝っています。
(↑入会はこちら)
なので、よくよく考えてみると、「お酒や、つまみや、ママ」以外に、「空間そのもの」に価値があるのです。
そこで、利用人数を3人以下にして、スナック『キャンディ』をレンタルスペースとして丸1日貸し切れる券を1万円で販売したところ、2週間分が一瞬で完売しました。
ちなみに、3人以下にした理由は、おそらく狙ってる異性と2人で借りたい人が少なくないだろうなと思ったからです。ただ、公に2人以下としてしまうと、借りた時点で利用者が下心を突かれてしまうので、その言い訳作りとして3人以下ということにしました。
おそらく実際に3人で使う人はいないでしょう。大半は、1人か2人で使うと思うのですが、その3人以下で貸し切れる権利が、1万円にも関わらず2週間分が一瞬で完売しました。
今の『キャンディ』の例で使ったのは『知恵』で、公的な『予算』は1円も使っていません。お客さんがお店にお金を払っていて、経済活動はストップしていません。『キャンディ』のママは今月も食っていけます。
このように、スナック『キャンディ』は、コロナ期間中はスナックとしてではなく、レンタルスペースとして販売しました。
同じように、僕のオンラインサロンでは、「飲食店は、今、何を売れるのか?」、「理容室は、今、何を売れるのか?」、「お花屋さんは、今、何を売れるのか?」をハイスピードで展開していて、空論ではなく、片っ端から実行しています。
ちなみに、今挙げた3つのお店は、例えではなく、実際に議題に挙がったお店で、この3日ほどで各店舗100万円弱の売り上げを出しています。もう少し入ってるところもあるかもしれません。
みんな好き勝手言うのですが、予算には絶対に限界があります。ならば、リーダーができることは、『知恵出し』、つまり『コンサル』です。
「バーやカラオケに行かないで。」と呼びかける緊急会見をするのであれば、「バーやカラオケの別の売り方」、つまり「お金の作り方」を提案してあげた方が優しいですよね。
その会見を見ているバーの経営者や店主の人に向けて、「こういう価値がありますよ」、「こういう風に売ったら、1日これぐらいの売り上げをあげることができますよ」と提案をしてあげた方が、優しいです。
そして、その提案には、おそらく政治家さんの脳みそよりも経営者の脳みそが必要です。なので、イケてるベンチャー企業の代表か、僕みたいなやつをブレインに入れて『知恵』を借りるといいと思います。
彼らは、「いかに価値を創造するか」というなぞなぞを前にしている人たちです。そういう商いをしている人というのは、「これをやったら、ここで、これぐらいお金が発生するだろうなぁ…」とか、「人はこっちに流れるだろうな」といったように、お金にめちゃくちゃ強いでしょう。
もちろん、バーの人も、カラオケの人も商いをしている人はみんなこれをやっていますが、どちらかと言えば、よそ者の方が状況はよく見えています。
カラオケをやっている人はカラオケの別の使い方は見えておらず、バーをやってる人は、バーの別の使い方は見えなくなります。スナックをやっている人は、スナック『キャンディ』は「酒とつまみ」ではなく、「空間」を売った方がいいという、その発想には、なかなか行きつきません。
そういうことは、外野が一番見えるはずです。
ですから、外野のベンチャー企業の代表など、そういう人たちから『知恵』を借りるというのが一番いい方法だと言えるでしょう。
僕は、とりあえず4万2000人(※2020年3月時点)のサロンメンバーは全員助けるということを、決めています(※2020年6月時点では、6万5000人)。
そして、さっきまた面白い助け方を思いついたので、これから準備に入ります。これについては、明日か明後日のサロンの記事で発表したいと思います。
大変な日が続いておりますが、一緒に頑張っていきましょう。
というわけで、
「日本のリーダーは今、何をすべきか?」
というテーマでお話させていただきました。
それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。
※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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