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「オンライン」は実力を顕在化するbyキンコン西野

このnoteは2020年4月15日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:市川 智大 さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日はですね、
『オンライン』は実力を顕在化する
というテーマでお話したいと思います。

まともにやると負けるから○○を狙え。

僕はルーティーンワークとして、オンラインサロンメンバーさんの会社のコンサル、つまり相談を、週に数件させていただいています。

昨日も3件ほど、一昨日は4件、させていただきました。

ここ最近の相談は、やはり新型コロナウイルスの影響で「今この局面をどう乗り越えればいえばいいのか」という内容が多いです。

そこでよくあるのが、「オフラインの売り上げが見込めなくなったので、オンラインに切り替えようと思うんです」という判断です。

確かに今は、外出自粛で街には人がいませんから、オフラインの売上は期待できません。

こうなってくると、オンラインの方に収益を頼らなくてはいけなくなるのは当然です。

ただ一つ、絶対に受け止めておかなくてはならないのは、オンライン上に店を構えるということは、「全員と同じ商品棚に並ぶ」ということです。

「全員と同じ」というのは、つまり、「業界トップとも同じ」商品棚に並ぶということです。

地元で一番人気の店であったとしても、オンラインに切り替えた瞬間に、日本400位くらいになってしまいます。

そして、人は400番目のものを検索しません。

何でもいいのですが、みなさんが調べたいものがあってグーグルで検索するときに、400番目のものは検索しないでしょ。

例えば、オンライン学習塾について調べるとして、だいたい1番上か2番目か、頑張っても3番目くらいまでしか検索しませんよね。

だから、地元で一番ということで人を呼べていたとしても、オンラインになった瞬間に、日本400位とかになって、1回も検索されないということがありえます。

その瞬間、これまでターゲットに入っていた地元のお客さんは、オンライン上で一番人気の店に流れるわけで、これはけっこう残酷です。

オフラインでは、「家から近い」という物理的な距離によって集客ができていた側面があります。

つまり、厳しいもの言いになりますが、「これまではオフラインだったから実力不足をごまかすことができていた」という事実があるのです。

「オフラインだったから、三流でも生き延びられたんだよ」ということです。

ちょっと厳しいですが、これが現実です。

オンラインの世界では、業界トップまで全員が同じ商品棚に並ぶので、実力不足をごまかすことはできません。

お取り寄せの強豪があの有名店になり、学習塾の強豪がN校になり、経営セミナーの強豪が、ホリエモンとか落合陽一さんや、箕輪さんのオンラインサロンになり、という世界です。

勝つヤツがめちゃくちゃ勝って、99.9%の人間が負ける世界です。

ここは食料が豊富な島であることは確かなのですが、鬼が住んでいるということです。

これまでは、そんなことをあまり感じなかったかもしれませんが、実は同じ街にいる人たちは弱い人たちで、弱い相手としかやりあって来なかったのです。

弱い相手としかやりあってこなかったので、そこまで考えなくても、少しの実力を持ち合わせていれば、少しの努力をすれば、食ってこられたかもしれません。

しかし、オンラインの世界では、そうはいかない。

では、どうすればよいのでしょうか?

今すぐ実力を伸ばすということは、かなり難しいと思います。

今すぐ急に、「おしゃべり上手になってください」と言われても、
「ビジュアルを良くしてください」と言われても、
「面白くなってください」と言われても、難しいと思います。

そうなってくるとやはり、生き残り戦略というものが必要です。
生き延びるためには、武器が必要なのです。

ここで、今すぐできる事といえば、オンライン上の「ポジション取り」です。

そんなことは認めたくないと思いますが、オンラインの世界では「真っ向勝負したら絶対に負ける」という前提で仕事を設計した方がいいのです。

例えばそれは、具体的にはどういうことかというと、「キャラクターを掘り下げる」ということかもしれません。

昨日も紹介したのですが、最近だと、池田ハッピーバースデーさんというゴスペル歌手の方のやり方が参考になると思います。

彼はこういった活動を始めたばかりで、今、圧倒的に差が開いてるわけではないので、余計に参考になると思います。

この池田ハッピーバースデーさんという方は、ツイッターで動画を投稿して、毎日有名人の誕生日を勝手に祝っているんです。

具体的には、その日に誕生日を迎える有名人にちなんだオリジナルバースデーソングを歌っています。

オリジナルバースデーソングというのは、ベースは、Happy Birthday to You という、これなのですが、その先がそれぞれの人によって違います。

例えば、これが、上沼恵美子さんを祝う時は、

関西のなんとかの上でー
旦那さんをすごく大事にしていてー
地元に残っているのはこういう理由があってー
本当に地元のことをすごく愛していてー

と、もはや、メインのメロディからは、ずれまくっているのですが、いかに上沼恵美子さんが素晴らしいかということを一通り説明して、「そんなあなたに、Happy Birthday to You」というパターンに戻ってくる。

そういう、その人ならではの、変なオリジナルバースデーソングです。

それで、そのツイートを見た一般の方々が「これ、私の友達にも贈りたい!」などと言って、このオリジナルバースデイソングの友達バージョンを池田ハッピーバースデーさんに発注しているのです。

このオリジナルバースデーソングは、1曲1000円とか1500円くらいで、池田ハッピーバースデーのECショップで販売しています。

これが、今の戦い方の一つだなと思います。

もともと池田ハッピーバースデーさんはゴスペルの実力を持っているけど、彼が無計画に「私のゴスペルきいてください!」という感じでゴスペルを売っていたら、この流れになっていなかったと思うのです。

YouTubeでゴスペルを歌っているところを流したところで、なかなか検索しませんよね。だから、無計画に「ゴスペル」を売っていたら、この流れにはならなかった。

「ゴスペルのバースデーソング」を歌っているから、ここにお客さんが発生したのです。

ここで、捉えておくべきなのは、その瞬間「お客さんが解決したかった問題は何なのか」ということです。

その瞬間「お客さんが解決したかった問題」というのは、「ゴスペルを聞きたい」ではなくて、「お誕生日の友達を喜ばせたい」なんです。

彼はここをうまく突いて、結果、ゴスペルを届けることに成功しています。

厳密に言うと、ゴスペルに触れるきっかけづくりに成功している。
それによって、収入も発生しています。

この「お客さんが解決したかった問題」、つまり「お客さんが片付けた用事」を『ジョブ』といいます。

『ジョブ』から設計していくということについては、ちょっと踏み込んだ話になるので、また今度話します。

まずやった方がいいことは、『キャラクター作り』ですね。

オンラインの世界では、こういったひと工夫というか、ポジション取りが必要不可欠なので、ぜひ考えてみてください。

というわけで、
『オンライン』は実力を顕在化する
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。



※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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