キンコン西野が地下に潜った9年間
このnoteは2020年10月3日のvoicyの音源、『西野亮廣ブログ』の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供:さわだとものり さん
どうも。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。
今日は、
「キンコン西野が地下に潜った9年間」
というテーマでお話しします。
昨日は、今年12月25日に公開されます映画『えんとつ町のプペル』に出てくる最重要キャラクターである「ブルーノ」のアフレコ収録がありました。
先に言っておくと、この「ブルーノ」というキャラクターは絵本版には出てこないんです。
なので、名前だけ聞いても誰もピンとこないと思うのですが……彼は『えんとつ町のプペル』の主人公である煙突掃除屋の少年「ルビッチ君の父親なんですね。
オリラジ藤森君がYouTubeにアップしてくれた「ラップでわかる『えんとつ町のプペル』」という動画があるのですが、あれって、事前に映画『えんとつ町のプペル』のシナリオ台本を藤森君に送って、それで曲を作ってもらったんです。
なので、曲はもちろん、歌詞も藤森君チームに丸投げしたわけですが、あの短い曲の中に、わざわざ尺を割いて、「ルビッチの父ブルーノも最高、夢追う価値を教えたヒーロー」という一節が入っています。
藤森君が、煙突掃除屋の「ルビッチ」とゴミ人間の「プペル」以外に唯一歌詞の中に入れてきた名前なのですが……実は『えんとつ町のプペル』というのは、この「ブルーノ」という男の物語なんです。
『えんとつ町のプペル』という物語を書きあげたのは今から9年前。
僕は彼の物語を届けたかったんです。
ただ「ブルーノ」の物語を描いてしまうと、どうしても長くなっちゃうので、絵本版では「ブルーノ」の出演パートを切って、「嘘つき呼ばわりされた父親」の一文で終わらせて、絵本『えんとつ町のプペル』というスピンオフ作品を世に出しました。
これ、サクッと言ってますが、もう苦渋の決断でして……今回こうして映画化が決まったから、「ブルーノ」を出すことができますが、映画化が決まってなかったら、一番伝えたい物語を世に出せないまま終わっていたんです。
「『ワンピース』を描いておいてルフィーが出てこない」みたいなことです。
なので、「まずは絵本をヒットさせてから、そして映画で…」という、とんでもない遠回りをして、ようやく、9年前に届けたかった物語を今回届けられるわけですが……昨日、その「ブルーノ」のアフレコ収録に立ち会って、ラストでブルーノが長台詞を畳み掛けるシーンで、「まだ終わってない、まわ終わってない」と何度も自分に言い聞かせながらも、「ここまで長かったなぁ」と思えて、なんか泣けてきちゃったんですよね。
一つの台詞を言うまでに、9年もかかっちゃった(笑)
9年って、長いじゃないですか?
小学1年生の子供が高校に入学するまでの時間ですから、もうメチャクチャ長いんです。
作品を観る人にしてみれば、こんな裏話関係ないんです。
「作品は面白かったか、否か」だけで議論すべきだと思います。
それこそ海外に行くと、「どんな背景を背負った人間が作ったか?」なんて1ミリも語られない部分なので、それでいい。
ただ、せっかくの機会ですし、この記事を読んでくださっている方だけでも、このことを知っておいてもらえたら。。
映画を観終わった後に「そうか。あの台詞を言うために、9年かかったのか」と思えたら、「自分も、もうちょっと頑張ろう」と思えるじゃないですか。
「桃栗3年柿8年」と言いますが、確かなものというのは、種を植えてから実がなるまでに、やっぱり時間がかかっちゃう。
逆を言うと、「コピー可能なものは、すぐに実がなる」というところで、しかしながら、それは誰でもコピーができて、量産されるものであるから、実がなったところで価値はない。
どっちを選ぶかはその人の自由ですが、僕個人的には、たやすくコピーされてしまうものに時間を割くのは、それこそ時間の無駄だ思っていて、今のような活動に至ります。
ノウハウで溢れかえった今だからこそ、「ノウハウが無い領域」の価値は高くなっていて……さすがノウハウが無いだけあって、しょっちゅう死にかけますが、それだけに、確かな手応えをもって「生きている」と思えるので結構オススメです。
昨日もお伝えしましたが、スケジュール表の12月25日には○を入れておいてください。
国中から叩かれた男が、命をかけて作った映画『えんとつ町のプペル』の公開初日です。
初日の夜に生配信をして、映画を観た人同士で、「あのシーンは、実は…」みたいな話をしたいので、12月25日は空けておいてくださいね😁
この挑戦が、誰かの応援歌になると嬉しいです。
今日は【キンコン西野が地下に潜った9年間】について、お話しさせていただきました。
それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。
※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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