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【キンコン西野の正論】子供を使って金稼ぎをすることについて

このnoteは2019年12月22日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:安田 智子 さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日はですね、
【キンコン西野の正論】子供を使って金稼ぎをすることについて
というテーマでお話したいと思います。

知らないことには口を挟まないほうがいいよ

youtubeでまわってきてシビアな内容だなぁと思った投稿があったんです。

TBSの番組で美川憲一さんとビッグダディの元嫁の美奈子さんが言い合いをする番組でね。

美川さんが美奈子さんの最近の活動に対して「ひとこと物申す!」みたいな感じだったんですね。

美奈子さんが何をしてたかっていうと、youtubeのスーパーチャットです。お子さんと一緒にyoutubeに出て投げ銭をもらうみたいなことをしていてですね。

美川さんから一言、二言あったわけですが、なかなか厳しめで。最初からちょっと変だったんですよね。「あんた金が欲しくてここに来たんでしょ?」みたいな。

でもさ、仕事ってそういうもんじゃないの?美川さんお仕事をボランティアでやっているんですか?って僕は思って、ツッコミどころも山ほどだったんですよ。

だけど、そんなこと言い出したら、ただのテレビの感想になってしまうから、そこに関してはちょっと置いておきますね。

こういうことを気をつけておいた方がいいですよってみなさんと共有できる部分だけ、お話したいと思います。

美川さんの言い分としては「子供を使って金儲けをしてるでしょあんた。そんなことするんじゃないわよ」ってyoutubeのスーパーチャットに対して言及されていたんですね。

それに対して美奈子さんが「美川さんもステージでおひねりとかもらってるんじゃないんですか?」って返してた。

僕は、もうここで勝負あったって思ったんです。

でも、美川さん的には「いえそれとこれとは別です。一緒にしないでください」と。

スーパーチャットとステージのおひねりのちがう部分を上げるとするのであれば、ふたつあります。

ひとつは、オンラインかオフラインか。

たぶん、美川さんがひっかかってるのはそっちじゃなくて「こっちはきちんと稽古を重ねてステージに立ってるプロだから」という境界線をお持ちだと思うんです。

しかしですね、こんなことを大先輩にいうのアレなんですが、お仕事は需要があって初めて成り立つわけで、そこでプロがどう思ってようが、お金を出すか出さないかの判断するのはお客さん。

だから、そこに関しては表現する側が口をはさんでいい場所ではない。

素人がお金を取ったらダメというルールであればテレビの世界はまわらないんですよ。テレビの世界なんて頻繁に素人が出ているじゃないですか。

視聴者が求めていれば、スポンサーさんは素人さんにお金を出して素人さんの出演費を出しているわけじゃないですか。それこそビッグダディなんてまさに。

ここでまず、美川さんの言い分は破綻している。

次に「子どもを使って金稼ぎをするな」っていう部分をすごく強調されていたんですが、そんなこと言い出したら、歌舞伎の世界とかどうなるんだろう。

海老蔵さんのところの娘さん、たしか8歳とかから市川ぼたんを襲名して舞台に立っていたよね。歌舞伎は大昔から一家総出の自営業。それはどうなるの?って話じゃないですか。

そこにはチケット代やらなんやらが発生しているわけだから。
子供を目当てに観劇しにくるお客さんもいらっしゃるわけだから。

「子供を使うな」「子供を働かすな」って言い出したら、世界中の子役はどうなるの?って話になってきますよね。

そういうことを美奈子さんが説明して「それを言い出したらおかしくないですか?」って言ったら、美川さんが「おだまり!」ってバンッと机をたたく。たぶん、ここがいちばんおもしろポイントだったと思うんですけど。

美川さんから「あんたこれどうなのよ」と聞いておいて美奈子さんが「こうだと思いますよ」って言ったら、美川さんの「おだまり!」というハメ技が炸裂。

もう「すげーパワハラだな」とか思ったんですが、なんかどうみたって100:0で美川さんが間違ってたんですよね。

喧嘩両成敗とは言いますが、めずらしく美川さんが100:0で間違ってるなーと思って。理屈でいうと、美川さんの言い分はすべて破綻しちゃってるんですけどね。

問題は、美川さんがなぜこんな地雷を踏んじゃって「芸能界のご意見番」の精度の低さを露呈しちゃったかというと、原因は知らないものを嫌うっていう人間の習性ですね。

この習性によって、いろんなところで自分の首をしめている人がいて、僕が
7、8年前にクラウドファンディングした時も「お客さんから金を巻き上げて
自分のやりたいことをやりやがって」「やりたいことがあったら自分の金でしろよ」みたいな声が同業者からあったんですよ。

当然、同業者がその声を上げたら、そのファンも一緒になって「そうだ!そうだ!」みたいに言ったわけですけど、それを言い出したらライブはどうなるんですか?って話で。

「あなたが今日やるライブはお客さんからお金をいただいて、そのお金で行っているんですよ」って説明したら「ううぅ」ってなっちゃう。もうそこで勝負ありなんですよ。

ライブとクラウドファンディングのリターンっていうのは、本質的には一緒なんで。

違うところを無理矢理あげるとするならば、チケットをチケットぴあで売っているか、クラウドファンディングのプラットフォームで売っているかっていうだけなんで。

本質的にやっていることは全く一緒で、お金をいただいて、そのお金でリターンを返すという。本質的には何も違わない。

でも、こういった批判が多々ある。

それらの原因は、先ほど申し上げましたが、知らないものを嫌う習性です。

嫌いな理由を因数分解していくと、嫌っているものを嫌っているケースは少なくて、嫌っている理由のほとんどが「知らないから」なんです。

youtubeのスーパーチャットという文化を見たことがなかったからビックリした。なんか下品だと思っちゃった。それで感情的に「うあー!」て言っちゃった。

でもよくよく考えたら、自分はおひねりもらって、お札もらって、笑顔で「どうもありがとう」とか言ったりしてる。お札で1万円の首飾りみたいなんもらってニヤニヤしてる。

これはありで、youtubeのスーパーチャットはダメって、おかしいですよね。本質は一緒なんだから。

一緒のことをやっているにも関わらず、自分の知らないものに対しては批判しちゃってる。冷静な判断ができていないということですね。

こういうことって、今後も起こりうるなと思ったんですよ。
なぜなら、時代がハイスピードでまわっているから。

世の中の情報をアップデートしない限り、知らないものだらけになってしまうじゃないですか。

だから、知らないものに口を挟むときは、論理的ではなくて感情的に動いてしまっているから必ずブーメランとして返ってくる。

なので、知らないものが目の前に現れたら「おだまり!」ってところだと思います。美川さんの言葉をお借りするならね。

知らないことに口を挟んでいいことはないと思うので、そこは気をつけてみてください。

というわけで、
【キンコン西野の正論】子供を使って金稼ぎをすることについて
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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