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支配力とは何か? by キンコン西野

このnoteは2020年3月11日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:重富 寛 さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「 支配力とは何か?」
というテーマでお話したいと思います。

無観客で黒字を出した(株)NISHINOの活動報告会

今日は、僕の日記的な内容になってしまうかもしれませんが、予めご了承ください。

昨日、ウチの会社、株式会社NISHINOの活動報告会がありました。この活動報告会というイベントは、サロンメンバーの株主総会みたいなもので、株式会社NISHINOの半年間の活動を振り返り、今後半年間のチャレンジを報告するものです。

そして、この活動報告会は、新入社員がすべて指揮を執って行います。内容はもちろんのこと、予算繰り、告知、集客、本番中の進行、全てを、新入社員とインターン生で行います。

この Voicy や Youtube でも言っていますが、ウチはエンターテインメントを生業としている会社ですので、お客様から頂く時間とお金の重み、そしてその重圧を、新入社員に覚えてもらうことが、今回のイベントの目的です。

加えて今回は、コロナウイルスが直撃し、せっかくチケットも売ったのですが、直前に無観客での開催が決定しました。チケットは全額返金です。

そこで西野から新入社員に出された宿題は、「無観客、チケット代返金は当然。ただし、お金の流れを止めるな」ということでした。

要するに、「チケット代を全額返金して無観客にした上で、別で売り上げをつくれ」と言う宿題です。

「徹底的に頭を使って、通常時の客割のときよりも売り上げを作ってみろ、そして手伝ってくださった外部のスタッフさんにギャランティーをお支払いしろ」ということです。これぐらいしてもらわないと話にならないので、「頑張って」と丸投げしてみました。

昨日は、その本番だったのですが、もう最高でした。

会場にはきちんと椅子を出して並べていたんです。
それは最高でした。すべて空席の状態を作ることによって、無観客というのが際立ちます。この絵は、今しか作れません。

取っ掛かりの演出としては大正解だったと言えるでしょう。

同時に、イベントの企画を進めながら、クラウドファンディングも使って、その結果、黒字に乗せたのも最高でした。通常の客有り時よりも売り上げを出したと言うのも大正解です。

そして、赤字だったのは僕だけでした。皆さんの打ち上げ代を僕が払わされたという点で、僕だけ赤字になったのですが、イベントとしてはちゃんと黒字に乗せたので最高でした。

肝心のイベントの中身ですが、彼らがこの半年で挑んだプロジェクトを映像まじりで振り返っていくのですが、そもそも、20歳そこそこの年齢で、国内外のプロジェクトを回しているのも素晴らしいです。小学校作ったり、エッフェル塔で個展したり、壱岐島に絵本をプレゼントしに行くなど、色々やっています。

そうして国内外のプロジェクトをあの年齢で回しているのも素晴らしいのですが、さらに、素晴らしかったのは振り返りトークです。VTRを受けて「ここをこの時こうやったんです」と話す振り返りのトークがあったのですが、そのトークが不安定で、今にももうコケそうで、なぜかそれが良かったんですよね。

応援しろを生み出す『支配力』

そして、ここからが今日の本題です。

よかったというのは、つまるところ、応援しろがあったということです。少しでも目を離すとコケそうなので。オープニングは、インターン生2人の小芝居からスタートするのですが、その小芝居がもう地獄的な仕上がりで、顔が赤くなるような小芝居をしていました。「おい大丈夫か」と思わされるのですが、それで目が話せないんです。

ピアノの発表会や、子供の発表会を見に行く時って、こんな感じなんだろうなぁと思いました。

ただ、それは決してバカにできるものではありません。作り手や表現者のそういった不安定さというのは、元々は、赤ちゃんなどが持っている『支配力』で、周りにいる人間を問答無用で巻き込んでしまいます。僕のような大人は、自立していくと同時に、こういった『支配力』を失っていくものなのです。

ところが、昨日の彼らにはそれがありました。

それは、今持っている能力以上の挑戦をしたからでしょう。『支配力』の正体とは、そういうことです。『支配力』というのは、今持っている能力以上の挑戦をすることによって手に入れることができます。

赤ちゃんで言うと、そのインターン生の小芝居はもう、首がすわってないぐらいの赤ちゃんでした。もう心配で仕方がなかった。でも最高でした。

そこで、昨日の彼らの活動報告を見て改めて思ったのは、その挑戦の規模はさておき、僕の挑戦よりも応援しろがあるということです。

人によって捉え方は様々でしょうが、少なくとも僕は「なんかこっちの方が面白いな」と捉える人は多いだろうと思いました。

実は、僕もこの先、とんでもない規模の挑戦を控えていたりするのですが、このチームの中で、後輩たちがこうして挑戦をして、天然で応援しろを作っているのは魅力的だし、その支配力をとても頼もしく感じました。

『ドラゴンボール』が『ドラゴンボールZ』 になって、『悟飯』が登場した時くらいの、ワクワク感がありました。「ああ、なんか出てきたなー」という気持ちです。

さらに、昨日の活動報告会の中で、新入社員の子たちやインターン生の子たちの、次のプロジェクトが発表されました。

今年5月に大阪で行う、数万人規模の個展の担当や(※コロナウイルスの感染防止のため延期)、コロナの影響でどうなるかわかりませんが、今年ニューヨークの『オフ・ブロードウェイ』に進出するプロジェクトの責任者をやることになっています。

また、これが実現できたら最高なのですが、フィリピンのスラム街のど真ん中で個展をするというプロジェクトを、スラム街の市長さんと組んでやっていこうとしています。

そういうことを、新入社員の子たちとかインターン生の子たちとかが旗を振ってやることが、昨日発表されました。

オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』は、今日からセカンドシーズンに入っています。僕には、「若手教育」「新人教育」という仕事がひとつ増えました。

僕なんかが教えられることはあまりないのですが、そういう役割が一つ増えて、僕は僕でぶっちぎっていかないといけないなと、背筋が伸びています。

オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎朝2000文字〜3000文字のエンタメビジネスを中心とする様々な記事を投稿しているのですが、おかげさまで、「上司はこうあるべきだ」、「上司として僕はこうやってみました」、「こうやったらちょっと苦戦しました」という、「上司のあり方」というカテゴリーも生まれました。

今後も、毎朝の2000~3000文字のコラムは、より濃くなっていくと思います。

いずれにしても、昨日は本当に素晴らしいイベント、そして『支配力』を見ました。

『支配力』という言葉こそきついですが、それは決して乱暴なものではなくて、勇気や優しさ、時折、弱さが入り混じった、エンターテインメントをする上でとてもとても必要な能力です。

長々と話しましたが、配信を見て下さった皆様、スタッフの皆様、そして最後まで暖かく見守ってくださったサロメンバーの皆様、昨日は改めて本当に、どうもありがとうございました。

今後も面白いエンターテイメントを届けられるように、頑張って行きたいと思います。

というわけで、
「 支配力とは何か?」
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。



※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
んでもって、ビジネス書に掲載するレベルのコラムを毎朝投稿しています。
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