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もしもキミが面白いことをやりたいのなら… byキンコン西野

このnoteは2020年9月21日のvoicyの音源、『西野亮廣ブログ』の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供:西野さんのお金の使い方が大好き かがみ さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「もしもキミが面白いことをやりたいのなら…」
というテーマでお話しします。

僕には「自分は本当に恵まれていたんだなぁ」と思っていることが二つあります。

一つ目は高校を卒業して、すぐに梶原君に出会えたこと。

彼は「カジサック」として脚光を浴びるまで、かれこれ17〜8年ほど、ずっとグツグツとしていましたが(笑)、どっこい、最初会った時からブッちぎりに面白くて、それは明らかに持って生まれたもので、他の人が努力で再現できるものではありませんでした。

そういう人と出会えたのは運以外の何物でもなくて、僕が生まれてくるのが、あと一年早かったら、「キングコング」というコンビはなかった。
ここは本当に恵まれていたと思います。


そして、二つ目。
これが今日の本題になるわけですが…


NSCという養成所で梶原君と出会い、9月頃にコンビを組んで、トントン拍子で話が進んで、コンビ結成から1ヶ月半後には、『baseよしもと』という劇場のレギュラーメンバーに入らせてもらったんです。

つまり、高校卒業から半年後には、プロの舞台に立っていたんです。

 
中学でも、高校でも、NSCの中でも、ぶっちゃけ「たいした奴、いねぇなぁ」と思って調子に乗っていたのですが、劇場のレギュラーメンバーに入った瞬間に、まったく歯が立たないんです。やっぱ、プロは違った(笑)


しかも、レギュラーメンバーといっても、僕らが所属しているのは、個人で客席を埋めることができないから、10組でセット売りされていた、いわゆる「3軍」です。
にも関わらず、まったく歯が立たない。

 
その10組で、毎週新ネタをおろして、ゲームコーナーをやって、トークコーナーをやっていたのですが、毎週負けるんです。

僕らだけがブッちぎりに若くて、他の先輩方は最低でも、僕らよりも5年以上は先輩だったりしたのですが、それでも自分が5年後にあのレベルになっているのかどうか……毎日疑っていました。

しかも、それがまだ「3軍」ときたものですから、「どえらい世界に飛び込んでしまった」と。

その時、毎日切磋琢磨していた「3軍」のメンバーが誰かというと……ブラックマヨネーズさん、フットボールアワーさん、チュートリアルさん、ロザンさん、後に新喜劇の座長になるスッチーさん、レイザーラモンさん、笑い飯さん、麒麟さん、たまにNONSTYLE……というメンツです。
 

名前を聞いてお分かりだと思うのですが、「3軍」も何も、ただ才能が見つかってなかっただけの人達です。

 
見つかった瞬間に、皆、バンバン全国レベルで活躍し始めるんです。
メンバーの半分ぐらいがMー1チャンピオンです。


でも、当時は今、切磋琢磨している先輩方が、「日本屈指の才能」だということって分からないじゃないですか?

毎日、舞台袖で小杉さんとか後藤さんとかのツッコミを見て、「メチャクチャ面白いなぁ。これでも、3軍で、テレビの世界には、この人達より上がゴマンといるのかぁ」と思っていたんですけど……蓋を開けて見たら、いなかったんです。

忘れもしません。

230人キャパの決して大きくない劇場だったのですが、単独で客席を埋めることなんて、とてもできなかったんですけど、それでも、できるだけ長い時間ステージに立ちたいじゃないですか?

ということで、劇場支配人に頼みこんで、3組でユニットライブをさせてもらったんです。

ブラックマヨネーズさんと、フットボールアワーさんと、キングコングでおこなった「ブラコングアワー」という恥ずかしいタイトルのユニットライブです。チケットは、確か、ギリギリ売り切れたと思います。


そこで、先輩方はドッカンドッカン、ウケるんですね。

で、僕らもなんとか食いついていって、どうにかウケるんですけど、それら、先輩方に誘導されたとおりに動いた結果もぎ取れた「笑い」で、全然、自分の力じゃないんです。

もう、嫌になるぐらい歯がたたなくて、打ち上げに行っても、レベルの違いをまざまざと見せつけられて、そこでも完敗。

小杉さんや後藤さんの喩えツッコミなんてブッちぎりに面白かったのですが、それでも皆、「しっかし、売れへんなぁ」と言ってるんです。


もう一度言いますが、「3軍」だと思っていた人達は、実はその才能が見つかっていなかっただけで、僕が最初に飛び込んだ世界は、「全国レベル」だったんです。そして、それが基準になった。

それって、本当に恵まれてるじゃないですか。

どの劇場にいっても、10組でセット売りされている3軍メンバーが「実は全国レベルだった」なんて、ことは絶対にない。

毎日、才能の違いを見せつけられて、毎日負けて負けて負けて、大急ぎで成長させてもらいました。

 
高校卒業して、19〜20歳って、多感な時期で、皆、コンパしたり、ナンパしたり、遊びたい盛りじゃないですか?
僕には、そういったものに参加する時間なんて一秒もないんです。

明日も、ブラックマヨネーズや、フットボールアワーや、チュートリアルや、ロザンや、スッチーや、レイザーラモンや、笑い飯や麒麟と、やり合わなきゃ行けなくて、そこで負けちゃうと、3軍から外されるんです。

その下には「3軍」の座を虎視眈々と狙う、千鳥や南海キャンディーズやダイアンやとろサーモンや中山コウタや友近が控えている。
少しでも隙を見せれば、食われます。


もし、僕なんぞに「才能」と呼べるものがあるとするのであれば、それはあの日の「環境」です。
あのデタラメすぎる「環境」がデフォルトになっていたのは本当に良かった。


今、ウチの新入社員やインターン生は、海外で個展を仕掛けたり、ブロードウェイに挑戦していたり、いきなり3000万円ぐらい渡されて、VRの開発をさせられたり……で、少しでもヘタをこいたら、夜中であろうが西野に呼び出されて、「お前、あれはダメだぞ」とか言われたりしているのですが、よくよく考えたら、彼らはまだ大学生なんですね。

たぶん、もう、学校の友達と喋っても、話が合わないハズです。

何をしていても、「そんなことよりも明日までに、これをやらないと…」という焦りが頭の中にずっとあるから、全力で楽しめない。

だって、少なくとも数万人が彼らの次の一手を待っているので。
そこの信用を失う怖さって半端ない。

大変な環境だとは思いますが、しかし、「急いで成長しなきゃ、くたばってしまう」というのは、やっぱり恵まれた環境だと思います。


人を伸ばすも殺すも「環境」なので、もし、今、この記事を読まれている方で「面白くなりたい」という人がいれば、そんな居心地の良いところで活動せずに、一度、(株)NISHINOに近寄ってみてください。

 
実力不足に絶望するだろうし、自分や自分のまわりの環境がいかに甘かったか?を目の当たりにするだろうし、嫉妬もたくさんすると思います。

でも、それが、その後の人生を左右する一番のギフトであることは間違いなくて、できるだけ早いタイミングで浴びた方がいいと思います。

あと、ついでに、これはオンラインサロン内の若手メンバーへの業務連絡になりますが、もし面白いことをしたければ、ちょっと気になるぐらいの結果を出してください。
そして、その結果を名刺がわりに、ウチの社員やインターン生に声をかけてください。

社員やインターン生からは「あの人、どうやら面白いっすよ」という報告を随時受けられるようにしておいて、社員やインターン生がオススメした人の活動は必ず観に行くことを約束するので、友達同士で傷を舐め合いながらチンタラやってないで、とっとと、ちょっと気になるぐらいの結果を出してください。


お待ちしております。

今日は【もしもキミが面白いことをやりたいのなら…】について、お話しさせていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。

※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
んでもって、ビジネス書に掲載するレベルのコラムを毎朝投稿しています。
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