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「目先の数字」を追うな。「人」を追え。 by キンコン西野

このnoteは2020年4月16日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供: レタス農家の高坂重勝(たかさかしげかつ)さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「『目先の数字』を追うな。『人』を追え。」
というテーマでお話しします。

パートナーの人柄を見極めろ

今日は、人のぬくもりなどの視点は一度置いておいて、「損得の話」をします。

僕が会社の経営者として、リーダーとして、また、表現者として、めちゃくちゃ尊敬しているFR2というアパレルブランドの代表の石川涼さんが、昨日、すごく面白いツイートをしていました。

「コロナ騒動になった瞬間に全ての店舗の家賃交渉に入ったけど交渉に応じてくれないとこはすぐ解約届け出してます。どちみち今の価格はおろか、安くなっても後から入るとこないですよ大家さん。」

このツイートは、リトマス紙として、めちゃくちゃ面白いなと思いました。

一部には、これに対して、「こんな困ってるときぐらいケチるなよ、大家。こういう時こそ助けが必要だろう」という、大家さんの人格を非難するような意見もあるかもしれません。

でも、今回は、そのような「人格」はどうだっていいです。

今回議論したいのは、「人としてどうなの?」というような部分ではなく、「経営者としてどうなの?」という部分です。
売上のことを考えるのであれば、なおのこと、ここは交渉に応じた方がいいと思います。

要は、「損切り・損得の話」です。

コロナというのは、この先どのくらい続くでしょうか。
2年とか、どれだけ楽観的に見積もっても1年くらいは、何かしら影響は続くでしょうし、下手すれば、第二波第三波が来るかもしれません。今はそういうタイミングですよね。

まず、ここで考えるべきなのは、すぐに次の入居者が決まる確率です。
すぐに決まれば、大家さんの勝ちですが、半年決まらなければ負けです。

これは、おそらく簡単には決まらないと思います。なぜなら、FR2がお店を出しているところは、だいたい観光地だからです。

観光地は、今、なかなか人が来ていないので、そこに店を出そうと思う人はあまり居ないでしょう。ですから、簡単には次の入居者が決まらないと思うのです。

つまり、家賃を半額にしてでも残っておいてもらった方が良かったという結果になる確率が極めて高いのです。

ここまでの駆け引きというのは、いたってシンプルな数学なので、まあ誰でも考えられると思います。

さて、ここからです。
経営者なら、ここで見るべきなのは、お相手のビジネスパートナーの人柄で、「その人が、恩を恩として受け取る人物かどうか」というところです。

そして、今回の相手とは、その辺のおっさんじゃなくて、FR 2の石川涼さんですよ!

彼なら、まず間違いなく恩を感じてくれるし、恩を受け取りっぱなしという状態を嫌うので、間違いなく後に4〜5倍ぐらいにして返してくるに決まっています。
彼の性格を知っている人は知っているでしょう。
涼さんは僕以上にカッコつけなので。ヤリチンだし。

ですから、利益を考えるならなおのこと、後に回収した方が大きい。恩みたいなものを育ててしまって、後で刈り取った方が大きいのです。

この涼さんのツイート見たときに、「もう僕が家賃出します!」と、わけの分からないカットインをしたかったくらいです。
「ここで涼さんに恩を売っておいた方がいい」と、本気で思いました。

石川涼に恩を売れるチャンスなんて、そうそう巡って来ないし、僕が大家さんだったら 、FR2側から家賃交渉が来る前に、自分から「こういう時なので、向こう3カ月の家賃いらないです。」と絶対に言います。

その方が売上が伸びるからです。そして、最終的に自分の取り分も大きくなる。

今、ずっと「人としての話」ではなく、「経営者としての話」をしています。

目先の「数字」を追うばかりに、かなり大きな魚を、その先に控えている大きな利益を逃している。今回は、それをすごく思ったツイートでした。

今、「人を助ける」ことの価値

今回のコロナ騒動の中で、この大家さんの一件だけではなく、同じような「実店舗の家賃問題」というものが、いろいろなところで起きています。

そういった様々な動きを見ていて思うのは、結構な数の人がコロナ時代の「人助けの価値」を安く見積もりすぎているということです。

この時代に、人を助けるということの価値です。

「人助けの価値」というのは、当然、時代や情勢、状況によって変わってきます。今このタイミングで差し伸べる手は、3カ月前と比べものにならないぐらい大きい価値を持っています。

まず、経営者はそこを見るべきです。

今の「人助けの価値」。これがどれほどのもので、最終的にどのくらい育つのか。

経営者なら、今こそ人を助けるべきですし、しかも、今回はその相手がFR2の石川涼ですよ!「ああもったいない!!」と、本当に思いました。
ここの大家さんは、もうバカすぎます。
絶対に、交渉に応じて後で回収した方がいいと思いました。

話をまとめると、今の「人助けの価値」の大きさと、目の前にいるお相手の方の人柄。これらをきちんと見極めておいた方が絶対にいいです。

幸いにも、キングコング西野は、今困っていません。

そもそもアトリエに一人で篭って、ちまちまものを作るという引きこもりがメインのお仕事なので、外出自粛になっても、特に僕の活動が止まったりすることはあまりないからです。

でも、この先、西野が困っていたら、迷わずそこにつけ込んで、手を差し伸べた方がいいと思います。西野は10倍にして返すので。僕は皆さんが思っている以上にカッコつけなんですよ。すごくヤリチンだし。

その辺の西野の足元を見て、ご判断ください。
ここは、けっこう安く見積もらない方がいいでしょう。

安く見積もらない方がいいというのは、今の「人助けの価値」、要は「みんなが困っている時に人を助けるということ」についてです。
この大きさは、安く見積もらない方がいいというのが、今日のお話でした。

というわけで、
「『目先の数字』を追うな。『人』を追え。」
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


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