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キンコン西野が語る「大吉先生の男前エピソード」

このnoteは2020年6月3日のvoicyの音源、『西野亮廣ブログ』の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供:「歌舞伎町からコミュニケーションの革命を!」ホストの学校校長 まりも さん


どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「キンコン西野が語る『大吉先生の男前エピソード』」
というテーマでお話しします。

たいしてメディアでは見かけないので、多くの方はキンコン西野の普段の活動なんて知らないでしょうし、また知っていたとしても、活動内容も多岐に渡るので、いかがわしいですよね?

「○○屋さんをやってます!」と一つに絞ってくれたら分かりやすいのに、どうやら何か色んなものに手をつけていて、また、その先々で、結果が出ているのか出ていないのか、よく分からない。。

これらの疑問について御説明させていただくと…

『結果』に関しては、「出ているものもあるし、出ていないものもある」といったところです。

そして、たしかに「西野亮廣」が前面に出るよう活動は最近はあまりしていないのですが、面白いことは毎日結構やらせてもらっています。

そりゃ大変なことも多いですし、まだまだ「成功」と呼べるようなレベルには届いていませんが、挑戦する人間として、いい感じの毎日を送らせてもらっているなぁというのが正直なところです。

さて。

ここまで、「自分一人の足で歩いてきたか?」というと、勿論そんなわけがなくて、たくさん応援・協力をいただいて今に至ります。

そして今日は、先輩芸人でもあり、僕の人生のターニングポイントで背中を押してくださった『博多華丸・大吉』の大吉先生のお話をさせていただこうかと思っています。

結構、男前エピソードです。

知識不足による暴徒化


僕が初めて、ニューヨークで個展を開催した時のことです。
実は初めての海外個展は、開催費用をクラウドファンディングで集めたんですね。

…この話をするには、時代背景から御説明した方がいいと思うのですが、今から7年半前。
2013年1月のことです。

その当時、「クラウドファンディング」というものが、どういう扱いを受けていたか? 
また、「クラウドファンディングをする人」がどういう扱いを受けていたか?

その当時、浴びせられた言葉で一番多かったのが「ネット乞食」です。

日本中が「クラウドファンディング」を知らなかったんです。

んでもって、これは国民性だと思いますが、とにかく日本人は、自分の知らないものを面白がろうとしない。
自分が知らないものが目の前に出てきたら、内容を咀嚼する前に、とりあえず叩く。
「人と違う」ということを、とにかく叩く。
「クールだね」みたいな文化があまりなかったりします。

当然、当時の「クラウドファンディング」もその槍玉に挙げられて、それこそ僕の後輩なんて、「式に参加できる」というリターンを用意して、クラウドファンディングで結婚式の開催費用を募ったところ、「結婚式で金を集めるなんて、最低だ!」「自分の金でやれ!」みたいな批判が1000件ぐらいきたんです。

それに関しては、

「じゃあ、お前らが結婚式を開催する時は、祝儀を受け取るなよ」

と返したら、ものの見事に全員黙りました。

批判していた1000人は、そこでようやく「ああ、そうか。祝儀の受け取りをオンラインでやっているだけか」と理解したわけですが、こんな簡単なことも分からなくなるぐらい、皆、知らないものが目の前に表れると、すぐに頭に血が登り、思考力を失い、そして批判をする。

当然、「ニューヨークで個展を開催したい」というクラウドファンディングなんて袋叩きです。

今、誹謗中傷が話題になってますが、やはり当時も毎日、「死ね」や「消えろ」といったコメントが200件〜300件届くんです。

当然、炎上しているわけですが、テレビの人もラジオの人も「クラウドファンディング」のことを分かっていないから、これを「炎上商法」として扱う始末。

「西野はワザと炎上させている」みたいな(笑)

いや、炎上させているのは、皆さんの方で、僕、そんな変なことしてないんですよ。
僕がやっているのは「クラウドファンディング」なんで。

クラウドファンディングもクラウドファンディングで、僕がやっているのは「購入型のクラウドファンディング」で…つまり、

・500円支援してくださったら、ポストカード3種類お送りします。
・2000円支援してくださったら、絵本にサインを入れて、お送りします。

…という『予約販売』です。

これに対して「乞食だ〜」「死ね〜」と言われるわけですが、「たぶん、これを否定したら、皆さんが普段やられていることを含め、全ての経済活動が成り立たないと思うのですが…」と説明しても、皆、怒り狂っているので、言葉が耳に届かない。
「知識不足による暴徒化」です。

これは日本では、よく見られる光景ですが、今、考えると信じられないでしょ?(笑)

だって、今回のコロナで、日本中がクラウドファンディングをしてるんだもん。

でも、そういう時代があったんです。
当然、西野本人は叩かれるし、西野のことを応援する人も叩かれます。

「ニューヨークで個展を開催したい!」というクラウドファンディング立ち上げ初日も猛烈に燃えたんですけど、そんな中、大吉先生から連絡をいただいたんです。

あの日の大吉先生

当時、大吉先生とは、まだ一緒にご飯に行かせていただくような関係じゃなかったし、お仕事で御一緒させていただく機会もほとんどありませんでした。
まだ、かなり「遠い先輩」だったんですね。

その大吉先生から突然連絡をいただいて、こっちは「え? あの大吉先生?」となるわけですよ。
「あの大吉先生が、僕に何の用だろう?」と。

話を聞くと、そのクラウドファンディングのことです。
そこには、一番高額の『30万円』のリターンで「西野がオリジナルの絵を描いて、お贈りします」というのがあったんです。
値段も値段ですし、たぶん「売れたらラッキー」ぐらいの感じで用意していたリターンです。

大吉先生が、そのリターンのことに触れられて、一言、

「30万円のリターン。僕が買わせてもらうね」

こっちからすると、「ええ?」ですよ。
だって、当時、大吉先生と西野は、まだ「お互い存在は知っている」ぐらいの距離ですよ。
その人が「買うね」と。

僕もビックリしちゃって、自分で販売しておきながら、「え? これ、買うんですか?」と、つい言っちゃったんです(笑)。

でも、大吉先生は冷静で「いや、たぶん、そんな驚くことじゃなくて、西野君の絵を30万円で買えるチャンスは、これが最後で、まもなくキミは世間に見つかって、キミの絵は買えなくなるから、得をしているのは僕の方です」

抱かれたい!

何、それ!?
まだ、僕は、絵本作家として走り出したものの、ヒット作にも恵まれず、「落ちぶれた芸人」として扱われている時ですよ。
「えんとつ町のプペル」が出る4年前の話です。
あと、大吉先生も、当時は、まだ、そんなに売れてなくて、お金に余裕なんて無かったハズです。

そんな中、「西野君の絵を30万円で買えるチャンスは、これが最後で、まもなくキミは世間に見つかって、キミの絵は買えなくなる」ってよ!

全身震えましたよ、私は。
めちゃくちゃカッコ良かった。

でも、実際、数年後にそうなったんです。

「そうなった」というより、「そうなるように持っていった」んです。

そうしないと、「あの日あの時の大吉先生の言葉が間違いだった」ということになっちゃうじゃないですか?
その未来だけは迎えちゃダメですよね。
まだ何者でもない自分に賭けてくれた人を、結果で否定するようなことだけはしちゃいけない。

だからもう、死にものぐるいで、その言葉に追いついたんです。
「後輩を育てるってこういうことか」ということを、その時に知りました。

今はもう僕のオリジナルの絵は販売しておりません。

翻って考えると、自分が後輩を育てる時は、「期待してあげないと育たない」ということですね。
その子はまだ「情熱」ぐらいしか持ち合わせていないので、大いに期待して、『急成長をして結果を出さないと裏切り者になってしまう環境』を与えた方が手取り早いなぁと。

今、自分が後輩を育てる立場になって、あらためて、あの日の大吉先生の立ち振る舞いに学ばされます。

考えてみると、ロザンの菅さんにしたって、タモリさんにしたって、立川志の輔師匠にしたって、お世話になった先輩方は、皆さん、僕に対して、実力不相応の過度な期待をしてくださいました。

先輩になってみると分かるのですが、「期待をする」というのはリスクなんですね。
ハズレることがあるから(笑)
それでも、期待しないと始まらない。
このことは先輩として忘れないようにしておきたいなぁと思いました。

なんか、大吉先生の株が上がってしまうのがシャクなので、最後に一つだけお伝えしておきます。

大吉先生は酔っ払ったらカラオケで、ドリカムの「大阪ラバー」を熱唱されるのですが、めっちゃキモイです。

ドリカムの全ての魅力を殺しています。

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というわけで、
「キンコン西野が語る『大吉先生の男前エピソード』」
というテーマでお話しさせていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。

※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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