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「依存症」という病気について【キンコン西野】

このnoteは2024年4月2日のvoicyの音源、『CHIMNEY TOWN 公式BLOG』の内容をもとに作成したものです。


 
 

コマ撮り短編映画『ボトルジョージ』に対する思い

 
今朝、Xにコマ撮り短編映画『ボトルジョージ』に対する思いを投稿したのですが、まずは、そちらの投稿を読み上げます。
 
 
【サンフランシスコ国際映画祭ノミネート作品】
 
「依存症」と向き合う家族を描いた『ボトルジョージ』というコマ撮り短編映画を作りました。
 
依存症は「自己責任論(意志が弱い)」で片付けられることが多いですが、れっきとした脳の病気です。
 
僕自身、アルコールや薬物やギャンブルで人生を台無しにした有名人を見て、「バカだな。しっかりしろよ。周りの人達のことを考えろよ」と思ったことが過去にありました。
 
ひどい勉強不足でした。ごめんなさい。
 
 
依存症に対しての見え方が変わったのは、数年前のこと。
 
僕の大切な友人がこの病気に苦しめられ、壊れていく姿を近くで見たのですが、そこにあったのは、たった一つのキッカケで病が完治へと向かうストーリーではなく、
抜け出そうとしても、何度も何度も暗い穴に引きずり込まれてしまう蟻地獄のような時間でした。
 
友人が最悪の選択だけはしないように、ときどき外食に誘ったりもしましたが、友人にとっては、その時間が「気晴らしになった」ということでもなかったように思います。
 
「明日から頑張ってみるわ」という展開にはなりませんでした。
 
「依存症」は、本人はおろか、近くで支えている人間も、どうしてあげればいいのか分からなくて(通院はしていました)、してやれることは「時間をかけて付き合っていくこと」ぐらい。
 
「大丈夫。大丈夫」と声をかけながら。
 
 
堤監督もお知り合いに「依存症」の方がいて、その苦しみを近く見てこられたので、「とってつけたようなエンディングではなくて、賛否は承知の上で、僕達が目の当たりにした依存症を正直に描きましょう」と二人で話し合いました。
 
コマ撮り短編映画『ボトルジョージ』には、そんな背景がありました。
 
この物語がたくさんの人に届き、そして「依存症」について考えるキッカケになることを心から願っています。
 
スタッフの皆で丁寧に丁寧に作りました。
 
2024年は世界中の映画祭にエントリーします。
 
応援よろしくお願いします。
 
 
西野亮廣(キングコング)
 
 

 
 

本人の意思の問題じゃなく、治療が必要な「病気」なんです

 
まぁ、ここに書いたことが全てなのですが、もう少しだけ補足させてください。
 
その当時勉強した知識なので、少し浮ついた説明になってしまうかもしれませんが…「依存症」というものは、くれぐれも本人の意思の問題じゃなくて、治療が必要な「病気」なんですね。
 
厳密に言うと「脳の病気」で、余分に報酬(ドーパミン)を与えてしまうのだったか、余分に報酬を求めてしまうのだったか、どっちか忘れましたが、脳の報酬系のバグなんですって。
 
で、これに対しては無視できないデータが出ていて、幼少期に鬱を経験した子と、そうでない子の、その後の「アルコール依存症」になる確率が全然違っていて、幼少期に鬱を経験した子の方が断然アルコール依存症になりやすいそうです。
 
あと、ネズミの実験もしていて、ネズミは基本的には集団で行動していますが、その集団の中から一匹だけ隔離して、「集団で暮らすネズミ」と「一匹で孤独に暮らすネズミ」を分け、それぞれにアルコールを飲ませたところ、「一匹で孤独に暮らすネズミ」の方が断然、脳に快楽物質が出た(幸福度が高かった)そうです。
 
ここから言えることは、たとえば同じだけお酒を呑んだとしても、「依存症」になる人と、ならない人がいて、それは幼少期の経験や環境も一つの要因になっている…ということです。
 
つまるところ、「依存症」を性格の問題(「気持ちが弱い」)としてしまっていたら、いつまでたっても世の中から「依存症」は無くならない。
 
「依存症」は脳の病気で、そして、その病気は今に始まったことじゃなくて、「発症したのが今」というだけの話で、ずっと昔から始まっている場合がある。
 
家庭環境が崩壊していたり、学校でイジメられたり…子供の頃の、そういった時間が要因になっている場合があるので、「あいつは意志が弱い!」「自己管理がなっていない!」という言葉を浴びせるのは大きな間違いであり、暴力であることを僕らは自覚しなくちゃいけないと思います。
 
実際、僕の友人が依存症になった時に、そういった言葉が飛んできたのですが、本当にやめて欲しかったです。
 
それは、最悪の選択の後押しとなるので。
 
抱えているのは、「心を入れ替えて頑張ります」という問題じゃなくて、「今すぐにはどうにもならない」という問題で、コマ撮り短編映画『ボトルジョージ』を作る時に、そこに嘘があってはいけない(お客さんを盛り上げる為のストーリーを用意してはいけない)ということを強く強く意識しましたし、堤監督や、松本プロデューサーと、そこに関しては何度も何度も話し合いました。
 
ボトルジョージが、「依存症」について考えるキッカケになることを願っています。
 
 

【※お知らせ】ワールドプレミア(世界初上映)がございます

 
4月27日にサンフランシスコで『ボトルジョージ』のワールドプレミア(世界初上映)がございます。
 
お近くにお住まいの方は是非ご参加ください。
 
詳細はコチラ

https://sffilm.org/event/shorts-5-family-films-2024/
 
 

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