見出し画像

『タダ病』のあなたが知った方がイイ「お金を払うメリット」 by キンコン西野

このnoteは2019年12月4日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:garaman さん

おはようございます。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日はですね、
「『タダ病』のあなたが知った方がイイ「お金を払うメリット」」
と題して、voicyのコメント欄に届いたコメントにお返事をしたいと思います。

人は自分の判断を肯定しようとする

いそのぽにょさん
という方からのコメントです。ありがとうございます。

前回の放送は身につまされるお話でした。私は石橋を叩くからです。
うまみとかは特に興味がないのですが、借金がこわいので、
お金がかかることは基本しません。
でも、損をしている感は自分でも気づいています。
....(略)

(※前回の記事はコチラ↓)

このコメントをまとめると、

借金はしたくない。
大きな取り分はいらないけど、大儲けもしたくない。
損をしていることは薄々気づいている。
ということですね。

これ、いそのぽにょさんが正直に話してくださっているだけで、
大多数の方の意見なんじゃないですかね。

みんなやっぱ大成功したいとは思っていないかもしれないけど、
損するのはイヤだって。

だけど、それこそホリエモンとかとどんどん差が開いていってるな
っていうのは薄々気がついてる。
でも、借金はしたくない。

みたいなのは、すごく正直な意見だと思うんですね。

このコメントに対して僕がお返事する上で、
時間を割くわけですから、
いそのさんが前に進んだほうがいいと思うんですね。

話を前に進める上で、
いそのぽにょさんが意識を向けたほうがいいのは、
お金を払わないことでどんな損をしているのか?
っていう部分を明確にすることだと思います。

ここを明確にしないと前に進めないと思う。

「なんとなく損してる感はあります」
とありますが、どんな損をしているのか?
ハッキリさせたほうがいい。

僕の学生時代の話になるんですけど、
当時、90年代後半だったので、CDがよく売れてたんですね。

学生時代だからお金に余裕はなかったんだけど、
アルバムとかけっこう買ってたんですよ。
『ブランキージェットシティー』とかが好きだったので。
あと『ミッシェルガンエレファント』とか。
『ドラゴンアッシュ』とか。『エレファントカシマシ』とか。

すごい人気あるグループがたくさんいて、
そのアルバムを買ってたんですね。

アルバムだと3000円くらいかなぁ。
けっこう大金ですよね。3000円って。
一生懸命、貯金して、大金払ってアルバム買うわけですけど。

アルバム聴いてるとね、
リード曲とよばれるメインの曲がいいのはわかってるんですよ。
それはだって、テレビとかで流れているし、
「あの曲いいな〜」ってわかってるんですけど。

なんか、6曲目とかに入ってる
「これどうなの!?」って感じのマイナーな曲があったりする。
「すごい盛り上がりもないまま曲終わっちゃったな」みたいな。

そういう曲ってあるじゃないですか。
アルバム12曲くらいあるうちの、3曲、4曲くらいは。

でもやっぱり3000円って大金を払っちゃったもんだから、
マイナー曲であろうとなんども聴くんですね。元を取ろうと。

そうするうちに、そのマイナー曲がいちばん好きになったりする。

当時、僕たちは、
噛めば噛むほどおいしくなるマイナー曲のことを
「スルメ曲」って言ったりしたかな。

その「スルメ曲」っていうのに、
アルバムを買うと出くわすことがある。
そういう経験って毎回したんですね。

で、いま、音楽無料で聴けるじゃないですか。
YouTubeとかに上がってたりしますよね。

「スルメ曲」であろうと無料である、と。

お金を払っていたら、
「元を取りたい」とか、
「お金を払った自分が間違いではない」
と言い聞かせたくて、
なんどもなんどもマイナー曲を聞いたんだけど、

無料だと、1回きりでいい。
イマイチな曲を「もう1回聴こう」って噛む理由がないんですね。
その曲が「スルメ曲」であろうと、「スルメ曲」であることに気づかない。

これが、無料の取りこぼしてるところですね。

書籍もまったく同じで、
立ち読みしてたら「おもしろくないな」と思った瞬間に閉じちゃうけど、
買っちゃったら、元を取りたくて、自分は間違いじゃない
って思いたくて、おもしろくなくても、もうちょっと読んでみよう
ってなってページを読み進めた先に
「ヤバイ展開になってきたな」って、
その本のほんとうのおもしさにたどり着くことがある。

これは、買ったからですよね。

話をまとめると、
お金で僕らはなにを買っているか?
というとですね、

商品、および、作品
のほかにですね、
自分の吸収力とか、ねばり、を買ってる。

お金を払わないと、
吸収率やねばりがない状態で情報を飲み込むことになるから。

たとえば、ビジネス書の場合だったら、
勉強効率がわるい。

時間を割いているわりには、
お金を払っている人に比べたら、身になっていない
ってことが結構あるんですね。

やっぱり僕たちは、元を取ろうとするし、
やっぱり僕たちは、自分の判断は間違ってなかった
って思いたい気持ちがある。

そのエネルギーは思いのほか強いし、自分のためになる。

このエネルギーをうむきっかけは
買った
っていうことです。

だから僕は、なにかを買うときは
元を取りたい、自分は間違いじゃない
っていう気持ちを買った、としています。

なので、たとえばね、
仕事できる人ほど買いたがるんですよ。

理由はふたつあって。

ひとつは、買うことでその人を支援する。

演劇招待されたら、
「チケットは買わせてください」
っていう人って、買うことで相手の活動を支援したい。
っていうのがひとつですね。

で、もうひとつは、買うことで元を取りたい。
吸収率をあげたい。

僕けっこうやるんですよね。
「この演劇どうなんだろう?」
って舞台をよく観に行くんですね。

おおよそ外れだろうな、
ってなんとなくポスターとかみたらわかるじゃないですか。
ああいう演劇をお金払って観に行くんですね。

そのときはお金と時間を自分から払って行ってるから。
自分から払いに行ってるので。
「この演劇は何がダメなんだろう?」とか、
「この劇団がお客さんをよべない原因はどこにあるんだろう?」っていうことを、
すごい前のめりで考えるんです。

つまり、お金払った元を取ろうとする。
ここのよさがありますよね。

なので、僕はなんでもかんでも買え!とか思わないんですが、
買わないことによって取りこぼしてる部分はありますよ。

っていう話が、
今回のコメントに対する答えです。

というわけで、今日はですね
「『タダ病』のあなたが知った方がイイ「お金を払うメリット」」
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※キングコング西野亮廣が毎朝、最新エンタメビジネスに関するコラムを配信しています↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?