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インターネットというマイノリティー byキンコン西野

このnoteは2020年10月9日のvoicyの音源の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供:昨年に西野さんのコンサルを受けた鎌倉で100歳まで現役美容師 うるまです その節はありがとうございました うるまゆうすけ さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「インターネットというマイノリティー」
というテーマでお話しします。

インターネットで起きてることなんて、誰も知らない

学生の頃って、自分の半径50mが世界の全てだったじゃないですか。

怖い先輩に目をつけられた日には、世界の終わりのように思い、震えながら登校していました。

だけど、いざ学校を卒業して大人になってみると、そんなに嫌なら別に学校に行かなくてもいいんじゃないという選択肢が見えてきます。

世界が広がって選択肢が広がったわけですね。

この光景は、大人の世界でもよく見かけます。
それこそ、会社に勤めながら会社の愚痴を言い続けてる人だとか。

ブラック企業に勤めて疲弊し続けている人を指して、「そんなに嫌なら会社を辞めて起業すればいい」という意見があったりしますが、それは起業した世界を知っている人の意見。

会社勤めしかしたことない人からすると、その人の半径50mが世界の全てで、飲み友達に起業家なんていないから「会社を辞めたら人生が終わる。起業なんてもってのほか」と信じているし、「それはホリエモンだからできるんだ」とか言ってしまう。

「嫌なら辞めればいい」という意見に関しては、ここで僕の意見を言ってしまうと、今日の話がブレてしまうので差し控えさせていただきますが、一つ確かなこととしては、結局、僕らは大人になっても自分の半径50mを世界だと信じてしまうということです。

ここに関しては、異論はないと思います。

これまで、学校とか会社という物理空間の中で生活していたものですから、「君が住んでいる場所は世界の一部に過ぎないよ」と言われても確かに納得はいきます。

「僕が働いているのは兵庫県の何とかという会社で、そういえば僕東京行ったことないしなぁ」みたいな感じで、自分が働いている空間が世界の一部にしか過ぎないと言われても納得はいきます。

厄介なのは「インターネット」で、こればかりは本当に世界と、分かりやすく言うと地球全土と繋がっているといえば繋がっているんですね。

それこそ、ピコ太郎がジャスティンビーバーにリツイートされて、そのまま地球全土に飛び出している瞬間を僕らは見てしまっています。

なので、インターネットは世界と繋がっていると思うし、「ここが世界の全てだ」と僕は思ってしまいます。

ところがそんなことはなく、インターネットで得られる情報は自分の関心ごとやその周辺に付随した情報のみで、まもなく、スマホからあなたに向けて発信される情報はあなたに最適化されるものになります。

あなたに知識がなければ、あなたのスマホは何も知らないということになります。

よく言いますが、オンラインサロンなんて田舎にいけばいくほど、地方に行けば行くほど新興宗教のように扱われます。数年前のクラウドファンディングがそうであったように。

身近にクラウドファンディングをやったことのある人がいない人のスマホには、クラウドファンディングに関する正しい情報が入っていないので、クラウドファンディングは、「お金が絡んでいるよく分からない怪しい何か」という位置付けになってしまいます。

僕は、オンラインとオフラインの両方の世界で生きてるんですね。

両方の世界で生きていると見えてくるのは、インターネットのマイノリティーっぷりです。

大阪にある劇場「なんばグランド花月」には、全国から団体さんが観光しにくるんですよ。800キャパぐらいで、1日3回転ぐらい。老若男女、全ての層が揃っている奇跡みたいな劇場なのですが。

そこで漫才をしていると、よく分かるんです。
ネットの「炎上」なんて誰も知らないって。

「今僕むちゃくちゃネットで炎上してまーす」といったことをネタにしたところで、800人のお客さんは「へぇーそうなんや」みたいな。

ネットをやっている人からすれば全員知っているようなことをイジったところで、所詮、テレビが取り上げなければ誰も知らないことなのです。

この感覚をちょっと、大事にしたほうがいいなと思っています。

それこそ、SNSで袋叩きに合っている方は、思いつめる前にどうか田舎に行ってください。

あれは何だったんだと思うぐらい誰も何も知りません。

田舎ですれ違う人は、普通に「こんにちはー」って言ってきます。自分がボコボコに殴られてる人間だってことなんて、誰も知りません。

田舎にお引っ越しすることが面倒であれば東京のままでもいいので、全然違うコミュニティに移動してみてください。

あなたが炎上してることなんて、誰も知りません。

自分のタイムラインは罵詈雑言の雨あられですごいことなっていても、そんなこと他所のコミュニティーは誰も知らないのです。

芸能界で生きているタレントさんがレギュラー番組が大幅に減った時に「世界の終わり」みたいな顔をしている現場を何度も目撃したことが僕はあります。

もう20年もやっていると、レギュラー番組が終わって、何かもう「死んだ」みたいな顔している人を現場で結構見るのです。

ちなみに言えば、僕も、オリラジの中田君も、今はレギュラー番組なんて持っていないし、持ちたいとも思っていません。オファーがきたら「ちょっとごめんなさい」「スケジュールが」と言って基本的には断ります。

だけど、それによって発信力が減ったわけでも、ファンの方が減ったわけでも、収入が減ったわけでもありません。

むしろ、テレビをやっていた頃よりも、全てが何倍も増えています。

あなたの半径50mが世界ではないという話です。

ということが分かっている僕でも、実は見誤っていたことがありました。

あれは、香川で講演会をした時です。

僕は、僕の講演会が開催できる権利を解放していて、僕の会社や吉本興業が主催したものではなく、一般の方が主催しているんですね。

なので、集客から運営方法まで、回によってまちまちなのです。上手に運用される方もいれば、そうでない方もいるということになります。香川の講演会は、『生一本(きいっぽん)』という地元の焼肉屋さんが旗を振って運営してくださいました。

が、講演会の日が迫ってきても、なかなかネットで講演会の情報が回ってきませんでした。

その割には、「1000人キャパの会場を押さえている」と言うものですから、「あーなるほどなるほどネットが苦手な人が、風呂敷広げすぎて回収できなくなったパターンかな」などと思いつつ、当日会場入りしてみると、会場には、入りきれないほどの人が押し寄せていたのです。                                                     
もちろん有料イベントで、チケットは完売です。
香川の講演会は本当にすごい熱気で、講演会終わりに、主催者さんに、「どうやって集客したんですか?」と聞いたところ、「ポスターです」と返ってきました。

その時、やはり思いました。
ポスターすごい。
ネットだったら絶対にリーチできないような層にまで届いているのです。

何なら、自分がリーチできない層が、「マジョリティ」だということもあるのです。どうですか?これだけスマホを触っていると、僕らは、ポスターやチラシの力を甘く見積っていないでしょうか?何か、「昔の宣伝方法でしょ」ぐらいに思ってしまっていましたが。

全然、そんなことはありません。
地域によっては、YouTubeで100万回再生されるよりも、街に数箇所貼られるポスターの方がはるかに広告効果があるのです。

今僕は、Twitterの固定ツイートで、誰でもが、映画『えんとつ町のプペル』のポスターデータを無料ダウンロードできるようにして、プリントアウトしてもらって、会社や店や学校に貼っていただいています。

そこに力を注いでる理由は、そんなところにあります。昨日もたくさんのポスターを貼ってくださいました。本当にありがとうございます。

結論としては、「ネットの無敵感」というのは虚構で、ネットに強い人ほど陥りがちな部分でありますので、気をつけてくださいということでございました。


今日は【インターネットというマイノリティー】について、お話しさせていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。

※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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