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オンラインサロンを4年間やってみて、分かったコト by キンコン西野

このnoteは2019年1月23日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供: 日永正彦さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「オンラインサロンを4年間やってみて分かったコト」
というテーマでお話したいと思います。

昨日たまたま過去の記事を読んでいたら、僕がオンラインサロンを立ち上げたのは、2016年1月だということがわかりました。なので、もう結構時間が経っていて、ちょうど4年になります。そこで、4年間サロンを運営してみて、いろいろ分かってきたことがあるので、今日はそのことについてお話ししたいと思います。

オンラインサロン運営の辛い点


まずは、オンラインサロン運営の辛い点についてです。これはいくつかありますが、その内のひとつが『安定がない』ということです。

サロンは不労所得のように捉えられがちですが、そんなことはなくて、そもそも挑戦するメンバーの挑戦を見届けること、そしてそれを応援することをおもしろがるメンバーの待ち合わせ場所になるためには、オーナー自身が誰よりも挑戦をし続けなければいけません。サロン内に投下するネタ、僕の場合だったら毎朝の記事の内容に、それを反映していかなければいけません。

挑戦するということは、常に変化させ続けなきゃいけないので、ルーティンのお仕事はできないということになります。具体的に言うと、基本的に僕はレギュラー番組のオファーはお断りしています。足を運ぶ場所や会う人が固定されてしまうと、入ってくる情報もだいたい固定されてしまうので、そうなるとサロンの運営は非常に難しくなると言えます。

ルーティンの仕事を断ると、レギュラー番組の本数やテレビへの露出度をステータスとする人からは、オワコン扱いされることがありますが、これは圧倒的な結果を示せば、「西野はテレビから干されたと思っていたけど、どうやらあいつオワコンじゃなさそうだぞ」と言うところに持って行けるので、大きな問題ではありません。

ただ少なくとも 、ルーティンの仕事を増やして安心を得ることができないということです。止まったら倒れてしまうので、自転車のように走り続けなければなりません。この点は、僕は1mmも辛くないですが、これを辛いと感じる人はいると思います。


次に、一般的にこれは誰しも辛いだろうなと考えられる点は、会員数が減ったからといって、サロンオーナーがサロンに投下する時間を減らせるわけではないということです。

サロンメンバーは、月額いくらかを払っているわけで、その金額分の対価を求めています。僕のサロンは月額1000円ですが、メンバーはその1000円の対価を求めているので、たとえサロンメンバーが10人であろうが、1000人だろうが内容のクオリティは変えることができないのです。

もし会員数が減ったからといって、そこに投下する時間を10分の1にしようものなら、必ずクレームが発生します。ここは結構地獄だと思います。

しかし、多くの人は始めることよりも終わらせること、撤退することのほうが苦手なので、ここでズルズルと自分の時間を削られて過ごしてしまい、時給20円みたいなことになってしまうということです。

おそらく、今あるオンラインサロンの9割以上は、この落とし穴に落ちています。「あれ、自分はなにやってるんだろう」というところに落ちていて、辞めどころを失っている。辞めるに辞めれなくなっているということですね。ここはオンラインサロン運営で、一番辛いところかもしれないです。

オンラインサロン運営の良い点

次に、実際にサロンを運営してみて感じた良い点についてお話しします。これに関しては、『期間』よりも『規模』によって、大きな効果が生まれていると言えます。

まず、サロンオーナーによって運営方針が違っているので、「これが正しい」というやり方があるわけではないのですが、僕は、サロンの売り上げはサロンメンバーに還元するようにしています。

これはあくまで、僕が好きでやっていることなので、他のサロンオーナーさんに「お前も西野みたいにしろ」と言うのは控えていただきたいです。基本的に、オンラインサロンの運営というのは仕事で、仕事で得たお金の使い方は他人が口を挟むことではないので、そこは控えていただきたいと思っております。僕には家族もいないし、貯金も作りたくないし、性欲以外の欲が全くないので、サロンの売り上げをサロンに使うことを趣味としているということです。

そうすると、当然サロンが大きくなればなるほど、サロンメンバーに見せられるエンタメが大きくなり、挑戦の規模を大きくすることができます。サロン内のことなのでここでは詳しく言えませんが、「え、それ買っちゃうの」というようなものを買ってしまったり、最近だと、大きな挑戦するサロンメンバーに月50万円のベーシックインカムを導入したり、またサロンメンバーの会社に出資したりしています。

こういうことは、100人のサロンではできなかったことです。今(2020年1月現在)、会員数が3万5000人になって、その分だけの活動費予算が用意できるようになったからこそ、先ほど述べたサロンメンバーのフォローなどもできるようになったというわけです。

つまり、規模が大きくなればなるほど、できることも大きくなる。
当たり前のことですが、これがオンラインサロンの良い点のひとつです。


あともう1点は、サロン会員数が増えるとコミュニティが薄まると言われていましたが、それは嘘だったということが分かりました。

むしろ、人数が増えたことによって、サロンメンバー同士のコミュニケーションは活発になっています。例えば、舞台『えんとつ町のプペル』の終演後に、舞台を見に行ったメンバー同士で感想を話し合う飲み会が開催されていたりします。

これは、コミュニティ内にある程度の人数がいないと成立しないことです。仮に、サロンメンバーが100人だとすると、全国にその100人が分散しているので、単純計算すると各都道府県には2人ずつしかいないことになります。そのうち『◯月◯日の神戸公演』に行く人数を考えると、飲み会などを開催するほどの人は集まりません。サロンメンバーの人数が多いからこそ、そういった飲み会のようなコミュニケーションが生まれるということです。

他にも同じようなケースが数多くありますが、いずれにせよ、人数が増えたことによって生まれるコミュニケーションが多いということが分かりました。

そして、最後のひとつは、アンチが叩いてくれることで、ライバルが現れにくいことが挙げられます。オンラインサロンは閉じた空間なので、よく「宗教だ」と批判されます。実はそれは、すでにサロンをやっている方からすると、すごく都合のいいことで、叩かれれば叩かれるほど参入障壁が高くなる、つまりオンラインサロンをやろうという人が増えにくいので、その世界でぶっちぎりやすいと言えます。

タレントの場合でいうと、日本のタレントさんの99.9%は広告費で生きているので、企画書を通さなければいけないし、クライアントさんや所属事務所に気に入られるような活動しなければいけません。しかし、オンラインサロンやっていると、そういう制約を一切無視できるので、圧倒的に差別化を図ることができます。

もしアンチが騒がなくなって、国民全員が「オンラインサロンという選択肢もありだよね」という風潮になり、サロンオーナーが増えてしまうと、差別化を図ることが難しくなるので、僕にとっては今のところはとても良い状況です。もっとも、僕はサロン始める人が10万人、100万人になろうが腕力でねじ伏せるということを決めているので、サロンオーナーが減ろうが増えようがどちらだって構わないのですが。

「競合が増えたら取り分が減る」というどこの市場にも見られるようなことが、オンラインサロン業界でも起こり得ます。ただ、今のところはアンチが騒いでくれているおかげで、そこにブレーキがかかっているという状態です。

ざっと駆け足で説明させていただきましたが、オンラインサロンをやってみてわかったことは、以上のようなことです。

ということで
「オンラインサロンを4年間やってみて分かったコト」
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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