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実験をする時間を作って、手札を増やそうbyキンコン西野

このnoteは2020年3月6日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供: 武藤 久由 さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

ご存知の方もいらっしゃるかとは思いますが、この音声はvoicyというラジオアプリにアップした後、うちのマネージャーが YouTube にコピー&ペーストする形を取らせてもらっています。

その YouTube チャンネルの開設から、3ヶ月くらい経ちました。

昨日、チャンネル登録者数が13万人を突破しました。(2020年6月現在は26.4万人)

これがどんな数字なのがちょっと怪しいところなんですけれども、とにかく13万人を突破しました。

で、今日はですね、
実験をする時間を作って、手札を増やそう
というテーマでお話したいと思います。

目先のお金と『データ』を天秤にかけたほうがいい

まさに、このvoicyのコピペをしている僕のYouTubeチャンネルは『実験』なんです。

以前もお話しさせていただいたんですが、今でも時々「西野さん、再生回数を伸ばしたかったらこうした方がいいですよ」とか「チャンネル登録者数を増やすためには、こうした方はいいですよ」といったアドバイスを頂戴するんです。

こういう声、たくさん届いてます。

ですが、そんなノウハウどうだっていいんです。

そう僕が言うと「いや、それは負け惜しみかなんかだ!意識してるに違いない」みたいなことを言われるんですが、本当にどうだっていいんです。

チャンネル登録者数とか、再生回数とか、本当にどうだっていい。

再生回数5でもいいし、再生回数100万でもいいし、別にどっちだっていい。

さらに、ノウハウなんてもっとどうだっていいです。

なぜなら、そのノウハウというのは、すでに結果が出ているものだから、その方法をなぞったところで『データ』が取れないんです。

ビジネスをされる方は、目先のお金と『データ』を天秤にかけたほうがいいと思うんです。

『データ』という言葉が難しかったら、「話のネタ」っていう言い方でもいいと思います。

たとえた方が分かりやすいですね。

道が二手に分かれているとします。

そこで「右に行ったら、時給1000円の仕事が転がっている町に確実に尽きますよ」というアドバイスをもらって、右に行っちゃうと僕の収入は時給1000円ですよね。

でも、その分かれ道をみんなが進まなかった左に進んで、その先にある「話のネタ」を拾ってくる。

それから引き返してきて、右に進んだ人に「話のネタ」を1時間3000円で話してあげる。

この場合、お金と『データ』は『データ』の方が高いですよね。

自分の時間を切り売りして働く以上、ここを考えなきゃいけない。

「ノウハウをなぞる」方が価値があるのか、「誰も調べようとしない『データを拾いに行く」方が価値があるのか。

で、僕の場合、Youtube を『実験』としている以上、徹底的に後者なんですね。

つまり、「誰も調べようとしない『データ』を拾いに行く」方が価値があると思っている人間です。

なので、僕の YouTube チャンネルでは、やらないと決めていることがいくつかあります。

代表的なものを上げると、

・運営に1秒も割かない。
・編集をしない。
・サムネイルで釣らない。
・コラボをしない。
・動画を作らない。

ざっくり、この5つくらいですね。

運営に1秒も割かないというのは、コピペなので。

編集もしないです。
僕が10分か喋ったものを、ノーカットで出しちゃっている。

サムネイルも、ありものの写真をただ貼ってるだけで、味気のないタイトルにしている。

「凄い魅力的なタイトルで、蓋開けてみたらいまひとつでした」というようなことがないように、タイトルで絶対に釣らない。

あと、コラボしない理由は、他のユーチューバーの人の人気を吸収するようなことを、一度しないでおく。

してる人を否定してるわけじゃないですよ。それをしないって言ってるだけの話です。

それから、動画を届けない。つまり、音声をやるということですね。

もう一度繰り返します。

・運営に1秒を割かない。
・編集をしない。
・サムネイルで釣らない。
・コラボしない。
・動画を届けない。

5つ言いましたが、これは何かというと、全部「答えが出ていること」なんです。

全部「こうすれば、数字的に結果がでますよ」という答えが出ていることです。

これをやるのは、ユーチューバーでいいと思います。

僕は、メイン収入をYouTubeに置こうとしてるわけじゃないので、やらなくていい。

僕のYouTubeの収益は、半分は吉本興業に入れて、残り半分は絵本などを買って、スラム街や被災地、海外の子どもたちに寄付しています。

だから、僕はYouTubeでは1円もいらない。

YouTube で欲しいのは『データ』です。

こうしたらうまくいった。こうしたら失敗した。という『データ』が手持ちのカードになる、戦に出た時の剣になるんです。

僕は、それが欲しい。

そして、それを時々オンラインサロンの中で提供したりします。

その瞬間、「ノウハウをなぞらなかったこと」は「ノウハウをなぞった」
以上の利益を生む
ことになるんです。

この辺の話は、以前、「シナジーマップを描いて、競合と差をつけろ」という回でお話ししたので、気になる方は聴いてみてください。

自分の時間の全てを「収益化」に使うな

で、今日の話のサビはここからです。

何が言いたいかというと、今は昔に比べて、どうやら未来予測が難しくなってきました。

なんとなく不景気の足音は聞こえているけれど、それによって何が起こるのかは分かっていない。

5Gで世界が劇的に変わると聞くけれど、具体的に何が大きく変わるのかはよく分からない。

もしかすると、半年後にとんでもない技術が発表されて、スマホや iPhone が出てきたときのように、世界の景色やルールを一変させるかもしれない。

今って、先が読めなさすぎるのです。

この「先が読めない時代」に、持っておいた方がいいのは、まちがいなく『手札』です。

別の言い方をすると、「選択肢の数」ですね。

イレギュラーな弾が飛んできても打ち返せるように、イレギュラーな球の打ち方を研究しておく必要がある。

そのためには日々の『実験』をくり返さないといけない、という話です。

そして、『実験』をくり返すための条件は、以下の2つです。

1つ目。
実験で収益化しようとしない。

2つ目。
実験が続けられるだけの収入を確保する。

この2つですね。

例えば、自分が働ける時間が、10時間あったとする。

ほとんどの人がこの10時間の全てを収益化しようとするのですが、やめた方がいい。

生活していくのに必要なお金が、8時間の労働で確保できるのであれば、残り時間2時間は、『実験』に使う。

その月の収入は、『実験』に使っちゃうと2割減るのですが、そこに費やすことで得た『選択肢』が、次の時代を生き延びる剣になるのであれば、それは安いもんです。

まとめますね。

1週間のうち3時間だけでもいい。『実験』をする時間を作ってみてください。

もう一度言いますが、その『実験』というのは、一切収益化しなくていい。1円にもならなくていい。

収益化しようとすると、必ずノウハウをなぞり出してしまいます。

それこそ、サムネイルをこうして、テロップはこういうふうに出して、というようなヒットの法則をなぞろうとします。

それでは、『データ』が取れないので意味がないです。

収益化しようとすると『実験』にならない。

『実験』の目的っていうのは『データ』を取ることだからです。

その『データ』というのが、ここからの予測不能な未来をうまいこと乗り切るための剣になるので、今はそっちを取りに行った方ががいいと思います。

というわけで、
実験をする時間を作って、手札を増やそう
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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