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四面楚歌の乗り越え方byキンコン西野

このnoteは2020年2月29日voicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:石原 貴司 さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今朝は、
四面楚歌の乗り越え方
というテーマでお話をしたいと思います。

革命を起こす時に避けて通れないこと

この話をする前にまず日本の現状を整理すると、シンプルに人口が減っている国に住んでいるということだと思うんですね。

で、こればっかりはどうしようもない。お仕事に置き換えるとお客さんの数が減っているということで。

なので当然、20年前と同じやり方をしたら売り上げが落ちる。新しい分野だとか新しい届け方に挑んでいかなくちゃいけないんです。

けれども、そうした時に大体上の世代が「そういうのは良くない」「この仕事はかくあるべし」みたいな圧力をかけてきますね。

過去の成功体験が大きければ大きいほど、その圧力が強くなる。

これはどの業界の若手も味わっていると思います。「イノベーションのジレンマ」という言い方をしたりもします。

毎日頑張ってみんなで階段を登っているんだけれども、地盤沈下しているっていうのが今の日本の現状だと思うんですね。

で、このままでいいわけがなくて、やっぱり仕掛けていかなくちゃいけない、開拓していかなくちゃいけない。

でもさっき言ったみたいに、それをやると必ず圧力がかけられてしまう。

僕でいうと、当時は「芸人のくせに絵本書き上がって」とか「芸人だったらひな壇にでろ」とか、そういったことを言われたし、

僕の相方の梶原君でいうと、「youtubeをやるなんて落ち目だな」「芸能人がyoutubeやるなんて」みたいなことを結構言われて、圧力をかけられたり叩かれたりしたんですね。

で、これが成功すると本当に綺麗に手の平返されて、圧力がかけられたこととか叩かれたことっていうのはもう無かったかのように振る舞われるんです。

まあ新しいことすると、そういったネガティブな力をかけられてしまう、魔女狩りにあういうことですね。

これは革命を起こす時の副作用みたいなもので、避けて通れないと思うんですね。

叩いてる側、圧力かけてる側には、シンプルに「俺のやり方を踏襲しないなんて許せない」って方もいれば、「自分の居場所が取られるかもしれない」という恐怖から圧力をかけている方もいらっしゃるので、

まあ魔女狩りにあうのは仕方がないと、割り切らなきゃいけないっていうところですね。

そこで今日は、この魔女狩りの乗り越え方についてお話ししたいんですけども、そういったものを乗り越える時に持っておかなくちゃいけないものは「強い気持ち」みたいなもんじゃないですね。

「強い気持ち」を持つな。「理屈」を持て。

強い気持ちで乗り越えようと思えば、批判が1件2件ならまだしも、10件20件100件200件1000件10000件続くとですね、結果が出て来ないとなおのこと、「あれ、これ自分のやり方が間違ってるのかな」と思い始めてくるんで。

つまり、強い気持ちで乗り切ろうと思っても、絶対に強い気持ちは折られてしまう。

ポジティブシンキングで乗り越えようとするのではなくて、持っておかなきゃいけないのは「理屈」です。ロジカルシンキングですね。

要は、四面楚歌の状態にある自分がいかに有利か、これを数式で説明しなきゃいけない。

「こんだけ四面楚歌の状態にありますけど、かくかくしかじかこうこうで、僕はどうやら勝つよね」っていう道筋が見えていないと、やられてしまうので。

じゃあ四面楚歌にある自分がいかに有利なのかっていうお話なんですけれども、この話をする上で一番わかりやすいのは、東京五輪のエンブレムの話だと思うんです。

これはよく喋っているので、聞いたことある人もいらっしゃるかもしれませんが、

東京五輪のエンブレムって一般公募だったんですよ。「国民の皆様考えてください」みたいな。

で、たくさん集まって最終4候補が残ったんですね。

A案が最終的に選ばれた、白黒のなんかガチャガチャっとしたやつですね。

で、BCD案がそれぞれどんなんだったかというと、もうちょっとカラフルで、動きがあって、それこそスポーツの祭典ぽいエンブレムだったんですね。

A案が白黒で、いわば「静」ですね。ちょっと落ち着いてるっていうかね。
BCD案は、いわば「動」ですね。

この4候補で最終選考が行われたんですけど、それぞれ選ばれる確率が均等に4分の1ずつだったかというと、そんなわけがなくて。

人があれを見たときに、まず白黒かカラフルかで見るんで、静か動かで見てしまうんで。

そうすると、Aが選ばれる確率っていうのは2分の1ですね。
で、 B C D が選ばれる確率って 2分の1 × 3分の1 = 6分の1 ですね。

あの座組で審査員の先生にお渡しした段階で、勝率はそれぞれ2分の1対 6分の1対 6分の1。

それはAが勝つよねっていう話です。

あれが八百長だったのかどうかはさておき、あの座組で渡せばAが勝つ。

僕がAを選ばせたかったらあれをやるなって思いました。

で、状態でいうとAは四面楚歌の状態ですね。
一つだけ違うやり方してるんだけど、勝率がわかってると。

もしこれが4候補でなくてもうちょっと多くて、カラフルで動きのあるデザインが、BからKまであったとしたら、Aが選ばれる確率は1/2なので、BからKが選ばれる確率は、2分の1×10分の1=20分の1ですね。

つまり、四面楚歌が強くなればなるほど、勝率がグッと上がるということです。

なので 、A の方にポジションを取っておいたほうがいいですよって話です。

で、これはすっごく叩かれるんですけれども、どんどん叩く人が増えれば増えるほど、勝率は上がっていくんで。

居心地は悪いんだけれども、勝率が上がってますよっていうことを、この理屈できちんと理解しておけば、叩かれている間、ヨシヨシって思えるんで。

逆に言うと、叩かれなくなった時がやばいですね。

今の話で言うと 、ABCD があったとして、 A も何か良いってA側の人数が増えてしまうと、Aの勝率は落ちちゃうんで。

なので基本的には、自分へのバッシングはシェアした方がいい。

「こっち来たら損しますよ」っていうのを、むちゃくちゃアピールした方が延命になる。勝率が高いままずーっと滑走していけるんで。

人として誤ったことだったら別なんだけど、挑戦する態度を表明して、それで起こるバッシングというのは、基本的には広めたほうが勝率が上がる。

で、魔女狩りにあうというのは、そんなに悪いもんじゃないんですよ。

この理屈を持っておく。これが、革命を起こす時の条件だと思います。

というわけで今日は
四面楚歌の乗り越え方
というテーマでお話しさせていただきました。

じゃあまたねー。


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