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【経営危機?】吉本芸人の交通費が全カット

このnoteは2019年12月4日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:イイヌマヒロカズ さん

おはようございます。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、
国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

さて、今日の内容はブログにも書こうと思うんですけど、
話したほうが早そうなので、音声のほうでお届けしたいと思います。

のちほどブログにも詳しく書きますので、
「文章で読みたいよ」
って方はそちらで読んでみてください。

というわけで、今日はですね、
「【経営危機?】吉本芸人の交通費が全カット」
という、ちょっとゾッとするテーマでお話したいと思います。

動揺する吉本芸人

ニュースになったんですよね。昨日か、おとといか。
よしもと芸人の交通費、仕事場に行くまでにかかるお金が
2020年の1月から全カットになるんじゃないか?
ってニュースがバーってまわって。

いろんな番組で、
邦正さんが「すごい困ってる」って言ったり、
もちろんギャグっぽくですけど
たむらけんじさんとかも「一揆をするぞ!竹やり持って行こうかと思ってます!」
みたいなことをおっしゃっていて、

いま、よしもと芸人たちが
どうなるの?ってザワザワしている、と。

基本ね、僕は
数年後に資産にならないような時事ネタは取り扱わない
って決めてるんですが、
このニュースに関しては改善次第で前に進めると思うので、
取り扱っていきたいと思います。

では、このニュースの解説と、解決方法についてお話していきます。

エージェント契約のシワ寄せ

そもそも交通費カットになった原因はなんなんだ?
というと、いろんなニュースでも話題になっていたし、
みなさんの知るところでもあると思うんですけど、
夏にあった闇営業の件が大きく影響していると思うんですね。

世間の方からの声だとか、芸人サイドの意見をくんで、
噂レベルですけど、
数万円以下の直営業は会社がパーセンテージを取らないって形でOKしてるはずなんですね。

たとえば、友達の結婚式の司会とか。

友達の結婚式の司会を3万円で依頼されたら、
それは若手芸人とかに「いってきて!」って会社は言っていると思うんですね。

でも、反社会組織がからんでいたら、また問題になってしまう
ということで、
直営業の内容を会社に逐一報告することを義務付けていると思います。

ここで、吉本興業はチェックのコストがかかるっていうことですね。

考えなきゃいけないのは、
吉本興業には1円も入らないのに、反社会組織チェックを行わなければいけないっていうことですね。

これを、芸人がよしとするか否か。
ってことが重要だと思っていて。

いま話したことはまだちゃんと確認がとれていないので、
噂レベルなのですが、
これがほんとだとしたら、僕は反対で。

この動きが活発化するほど、よしもと芸人の活動母体は疲弊するんで。
吉本興業が疲れてしまうんで。
長い目でみたときに、よしもと芸人的にはマイナスになる。

ですが、おそらく多くの芸人や世間は、自分の利益しかカウントしてない。

結婚式で3万円渡されて司会やってって頼まれた。
そこからお金とるなよ、って。会社もそれくらいは芸人に直接渡してやれよ。
って多くの芸人とか世間の人は
「それくらい目をつぶってやれよ」って思うと思うんですけど、
その裏で、吉本興業は反社会組織チェック代を払っている、と。

つまり、直営業やられるほど、吉本興業の出費が大きくなるということですね。

たぶん、ここまで考えていないですね。
吉本興業の経営者側のこと。
自分も吉本興業の経営の人間ではないですが。

ちょっとむずかしいんですね。
どういうお金が裏で発生しているか、とか
どういう人件費がかかっているか、って。

たぶん、テレビみてる人は想像するのがむずかしいと思うんですね。
なので、「もっと芸人ファーストであれよ!」みたいなことを言っちゃがちなんですが。

これは状態で言うと、船底に穴があいてるのに、そこの修理を後回しにして
「このディナーもっと安くなるだろう!」みたいなことをシェフに言ってる感じですね。
あってるのかなこの例え。

でも、そういう感じですね。
ディナーよりも何よりも、もっとやらなきゃいけないことが迫っていて、
ほったらかしにしていると最終的には沈むぞ
ってことですね。

これの最たる例が話題になりましたね。
エージェント契約ってやつですね。

よしもと芸人が生まれる劇場があるじゃないですか。
ほとんどの芸人は劇場で訓練して世に出ているんですけど。

この劇場は、基本的に赤字なんですね。

若手芸人が、たとえばチケット代2000円で劇場を満席にしようが、
そこの家賃だとか、スタッフさんの人件費、経費みたいなものを引いていくと、
劇場は基本的に赤字である、と。

どんだけ埋まろうが、
チケット2000円とか3000円でまわすような劇場って、
基本的に赤字経営なんですね。

じゃあ、この赤字はどうしてるかっていうと、
売れてる先輩の利益で穴埋めされてる。

吉本興業からしたら、劇場から次の才能がでてくるので。

ダウンタウンさんは二丁目劇場からでてきて、
そのあと吉本興業だとか、世間のみなさまにすごい大きな利益をもたらしてくれたんですけど、そもそもをたどると、劇場出身である、と。

で、この二丁目劇場って劇場は、どうやってまわっていたかっていうと、
ダウンタウンさんの売上でまわっていたのではなくて、
ダウンタウンさんの先輩の、売れてる先輩の売上が劇場に入って、
それでなんとかまわって、ダウンタウンっていうスターが生まれた。

じゃあ、次は、
ダウンタウンの売上で、ナインティナインっていうスターが生まれた。
このサイクルなんですね。
売れてる芸人さんが、次の若手の養育費みたいなものを払ってる状態ですね。

ここで、売れてる先輩が
「エージェント契約だ!」「俺の売上は俺のものだ!」
となると、劇場にまわすお金が減ってしまうから、
首が締まるのは若手芸人。

売れてる先輩がエージェント契約したら、売れてる先輩はいいんですよ。
売上ぜんぶ自分のところに入るから。

だけど、次の才能が生まれにくくなる。
次の才能にかけるコストが減る。

吉本興業はずっとこの歴史でまわってきているんですね。

かく言う僕も、そんなこと言っておきながら、
こんな騒動が起きるとっくの昔から、
エージェント契約に近い形なんです。

僕は、吉本興業所属、みたいなことを言ってますが
『株式会社NISHINO』って会社で活動しているんですね。

絵本の個展だとか、オンラインサロンの運営は
『株式会社NISHINO』扱いなんですよ。

そのほかにも、いまは、
美術館建設したり、小学校作ったり、
僕の活動の9割くらいは『株式会社NISHINO』扱いになる、と。

まもなく広告代理店業も活発になりそうな雰囲気もあります。

このへんはオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』をのぞいてみてください。

で、「なんだお前、エージェント契約じゃないか」
「えらそうなこと言っておきながら自分の取りぶん自分で取ってるじゃないか」
ってツッコミ飛んできそうですけど、そうなんですよ。

僕、自分の取りぶん自分でとってます。ずっと昔からね。

ただ、自分は劇場生まれの人間なので、そこにはやっぱ還元したくて。

昔言ったんですよ。
オンラインサロンを立ち上げるときに、吉本興業に言ったんですよ。
4、5年くらい前ですけど。

「オンラインサロンやるけど、一緒にやらない?」
って言ったんですけど、その当時、よしもと社員全員、オンラインサロン知らなくて。

「ちょっとめんどくさそうなんでいいです」
って断られて。

「僕とオンラインサロンやって、サロンの売上もらったほうがいいと思うけど」
みたいなこと言ったんですけど、
「ちょっとよくわからないんで勝手にやってください」
って言われたんで勝手にやって、いまに至るんです。

なので、オンラインサロンの売上をいまから吉本興業に入れる
っていうのはちょっとむずかしくなってる、と。

あれやこれや最初にぜんぶ話したけど、
ぜんぶ突っぱねられたから。まいったなーと思って。

でも、還元したい気持ちはあるんですね。

それで考えたときに、
吉本興業初のクラウドファンディング『シルクハット』
っていうプラットフォームを作って、
そのプラットフォームを運営、宣伝し、
わずかではありますが、プラットフォームの利益
っていう形で還元させてもらっている。

プラットフォームって、手数料がプラットフォーム側に取られるわけじゃないですか。
その手数料が吉本興業にはいるっていうサイクルを作ったっていうことですね。

これがキングコング西野の還元の仕方ですね。

クラウドファンディングを活用しろ

世間や多くの芸人は、会社の利益を後回し、
なんなら吉本興業を悪者として意見するので、
世間の声や、芸人の声をそのまま採用したら、
吉本興業の財政が疲弊するのは当たり前の話なんですね。

今回のタクシー代のカットも、その流れだと思います。

もちろんタクシー代のレシートとか集めて整理するのは人件費にかかるのでね。

これに関して言うと、僕はね、
この流れを聞いていただくとわかると思うんですけど、
まさかね、「吉本興業ふざけんなよ!」って思えないんですよね。

だって、みんなでこの状況を作ったんじゃん
って思うんですよ。

みんなって芸人だけじゃなくて、
世間のみんなでこの状況を作ったじゃないですか。

べつに吉本興業の経営のことは考えずに
「利益よこせ!」とか「直営業認めてやれよ!」とか、
じゃあ、吉本協業はどこで利益をだすの?って。

利益をどんどん渡してしまうと、
当然、活動母体の活動資金はなくなるわけだから。

じゃあ、タクシー代くらいはカットさせていただいていいですか?
って当然の流れなんですね。

みんなで作った状況なのに、
その責任を、顔がみえない吉本興業って枠の責任にしてしまうのって
どうなのかなぁ、と思うんですよ。

僕はそういう建設的でない議論が好きではないので、
こういう感じになったからには、それを改善しなきゃいけない。
じゃあ、どうやって改善したらいいのかな?って考えたいんですね。

シンプルに
吉本興業の新しい収益源をつくる
ってことだと思うんです。

結論から申し上げると、
吉本興業は経営危機ではない。

危ないところをひとつあげるとすれば、
よしもと社員が、吉本興業のポテンシャルを低く見積もりすぎていて、
その機能をうまく使えていない。

ざっくり言うとですね、
むちゃくちゃザツに言うと、

お金にできることがたくさんあるのに、お金にしていない。

っていう点が多々ある。

じゃあどうすればいいんだ!西野、いい加減、具体策だせよ!
って話になると思うので、

僕からの提案なんですが、
こういうときは一か八かの勝負したらダメで、

たとえば、
よしもと芸人が各々のグッズが売れるECサイトを立ち上げて、
そのECサイトの手数料をもらっちゃえばいいじゃん
ってこともかんがえられるんですが、

ECサイトを立ち上げようと思ったら、
開発資金、運転資金がかかってしまう、と。
軌道にのるまで、たぶん、2年くらいはかかると思います。

そうすると、予算が圧迫してしまうので、
タイミングはいまじゃない、と。

じゃあ、どうすればいいのかと言うと、
リスクがゼロで、基本プラスしか生まれないものをやる。
手堅いことをやるってことですね。

ほんとに生々しい経営の話になってきてるからアレなんだけど、
ここをみんなで考えられるようになったほうがおもしろくなると思うんで、
話しますね。

リスクがゼロで、基本プラスしか生まれないものをやる、と。

そんなものあるっけ?って思うじゃないですか。
それがあるのが吉本興業で、それが使えてないのが吉本興業の社員ですね。

確実にあるな、と思うのが、
さっき言ったプラットフォーム『シルクハット』を吉本社員が全員勉強する。
およびよしもと芸人が全員勉強する。

これは、僕が社長だったら義務付けます。

で、使い方はあるんすよ。

たとえばね、
若手芸人って毎日、単独ライブがどこかで行われてるんですね。
毎日ですよ。

毎日、単独ライブが開かれて、
毎日、そこでグッズが売られてるんですよ。

日本のどっかで。

グッズって、いまの売り方はけっこう取りこぼしが多くて。
というのも、当日にならないと売れる数がわからないんですよ。
なので、在庫がむっちゃ余るリスクがありますね。
作りすぎてしまうリスクがある。

ティシャツ100枚作ったけど、20枚しか売れなかったじゃないか
ってことがザラにあるんですね。

本来は黒字にするためのものだったのに、赤字にしてしまう。
これはけっこうある。

言ってしまったら、
これがみんなこわいから、売上数の予想が立たないから、
大きく数を作らないんですよ。

お客さんが200人いるんだけど、
ティシャツ売れ残ったらいやだから30枚くらいしか作らない、と。
でも、もしかしたら70人欲しい人がいるかもしれないのよ。

だけど、30枚しか作らずに完売って形にして、
黒字にのせる、と。

でもやっぱりここって数を作らないと一個あたりの単価が高くなるんですよ。
つまり、利益が低くなっちゃう。

ティシャツ2000円で100枚作ってたら原価はもっと安くなるかもしれないのに、
30枚しか作らなかったら原価高くなって、売上のほとんど原価じゃん?みたいな。

じゃあ、これを改善するためにはどうすればいいかと言うと
事前に売れる枚数がおおよそわかっていたらいい。

200人くるライブで150人がティシャツをほしがっている
ってデータが事前にわかっていたらいいわけじゃないですか。
150枚つくればいいんで。

それをクラウドファンディングでやってみてはどうですか?
って話です。

若手芸人が
「こんどの単独ライブ、盛り上げたい」
ってクラウドファンディングを立ち上げて、そのリターンにティシャツをだす
ってことですね。
予約販売サイトとしてクラウドファンディングを使う。

その時点で、単独ライブの1ヶ月位前にティシャツを予約販売で売っておいて、
配送すると送料かかってしまうから、当日に購入履歴をみせてもらって、その場でティシャツ手渡し
っていうことですね。

メリットはいくつかあって、
まずは、在庫リスクを考えなくていい。
なので、思い切って枚数を増やせる。

ふたつめのメリットとしては、
単独ライブにくる理由が増える。
グッズを買ってしまって当日受け渡しだから。

単独ライブに行く理由が、
単独ライブみたい、と、
グッズを受け取りたい、って理由が増えるからですね。

みっつめのメリットは、
クラウドファンディング上で企画を立ち上げることで、
単独ライブの告知ができる。

いずれにせよ、ぜんぶ売上が上がる。

単独ライブの集客も増えるし、
グッズの売上もあがる。

これに関しては、
立ち上げリスクゼロで、プラスにしかならない。

これを全芸人がやってしまえば、
芸人側はメリットがあって、

グッズの売上。
これもグッズを自分で作ってしまえたらよかったんだけど、
作る権利を会社側にあずけてしまっていたから、
グッズを売るモチベーションがあんまりなかったんだけど、

自分でクラウドファンディング立ち上げて、自分でグッズを作る
っていう風にして事前に作る数がわかっていれば、
グッズの売上の、吉本興業に払う売上は、手数料だけでいいんで。

つまり、ティシャツを作れば作るほど、
芸人の財布は豊かになるし、吉本興業の利益も増える。

これをやればいいだけですね。

全然余裕だよ

話をまとめますね。

結論、経営危機でもなんでもない、と。
単純に、吉本興業がもっているポテンシャルを使いきれていない
だけである。

これに関してのひとつの解決策として、
よしもと芸人、よしもと社員全員がクラウドファンディングを知り、
予約販売サイトとして活用するということですね。

これやるだけで、
交通費全カットくらいは取り下げることは余裕だと思います。

このあとマネージャーには伝えておきます。僕のほうから。
ちゃんと勉強しなって。

これはだいぶ商売してたしわ寄せ、弊害だと思いますね。
テレビ局とか、吉本芸人におんぶに抱っこでいけたので。これまでは。

だけど、いまはそういう時代じゃない。

社員がちゃんと勉強しなきゃいけないし、
社員がちゃんと仕掛けるようにならなきゃいけないし、
社員ひとりひとりが経営脳をもっておかなきゃいけない。

ここはすごく大事なことだと思うので

20年も吉本興業にお世話になっていると、
会社愛みたいなものは芽生えてきて、応援したいのでね。

一緒になって吉本興業を叩くってことは絶対したくなくて、
前に進める会社だと思うので、引き続き応援していきたいと思います。
なんらかの形で具体的に応援するシステムを裏ではコソコソ進めたいと思います。

というわけで、
「【経営危機?】吉本芸人の交通費が全カット」
というテーマでお話させていただきました。

『西野亮廣エンタメ研究所』
というオンラインサロンの公式チャンネルが立ち上がっております。
voicyっていう音声メディアの音声をアップしてるだけの、
いまのところ違法チャンネルっぽく見えるんですが、
公式チャンネルでございます。
こちらのリンクから、よかったらチャンネル登録お願いします。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。

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