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「売り方」に問題があるわけじゃないbyキンコン西野

このnoteは2020年6月24日のvoicyの音源、『西野亮廣ブログ』の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供:神棚コンシェルジュたけうちもとこ さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「『売り方』に問題があるわけじゃない」
というテーマでお話しします。

キミの能力不足が全ての罪だ

このことは定期的にキチンと話しておきたいなぁと思ったので、今日、キチンと話してみます。

数日前の放送で、「革命のファンファーレ」という本についてお話しさせていただきました。

これは、どういった本かというと、「えんとつ町のプペル」をどうやってヒットさせたか?という話を軸に書いたのですが……うまくいったプロジェクトの後出しジャンケンみたいになるのも嫌なので、「この本に書いてある売り方の再現性の高さを、この本の売り上げで証明してみせます」と言って出した本なんです。

「マーケティング」って一般的には興味を持たれない題材かもしれませんが、とはいえ、マーケティングの本の一番の説得力は、その本自体をヒットさせることだと思うので、「革命のファンファーレ」は20万部以上売ってみました。

余談ですが、3年前に出した本なんですけども、実は今もアマゾンの「広告・宣伝」カテゴリーでランキングが1位なんです。

コロナで定番になりました「クラウドファンディング」や「無料公開」などの動きは、3年前に出した、この本に書いてある通りになっているので、その辺の答えあわせも含めて面白いかもしれません。

結構、オススメです。

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ところで、こんな本を出してしまったばっかりに、今、僕のもとには「広告戦略」に関する相談が、たくさん来るんですね。

大きな企業さんから広告を頼まれる時もあれば、サロンメンバーさんのコンサルをさせていただくこともあったりします。

このラジオや、オンラインサロンの記事とかでも、「マーケティング」の話をさせてもらっているので、そのことも拍車をかけているのだと思います。

そして、こんなことを自分でいうのもアレですが、広告で結果を出すのは僕、結構、得意だったりします。

ただ、日々、様々な相談を受ける中で、「おやおや?」と思うことがあります。

もしかしたら、これは「マーケティング」というものをカジュアルにしちゃったシワ寄せなのかもしれませんが、相談者の多くが、マーケティングを隠れ蓑にして、商品開発から逃げているんです。

これは、ちょっとクリエイターさんにとっては耳の痛い話かもしれませんが、これが現実なので、お付き合いください。

「勝ち」がある以上、そこには「負ける人」が絶対に存在します。

業界によって、勝つ人と負ける人の比率は違ってくると思うのですが、たとえば、「吉本興業」の芸人で言うと、毎年、芸人になることを目指して、毎年、各学校、各地域のお笑い番長がたくさん養成所に入ってくるのですが、その中で食っていける芸人は200人に一人ぐらいです。

これが年収1000万円オーバーとなると、もっともっとです。

500人に一人とか?

つまり、仲良しこよしで皆が成功するわけではなくて、99%の人間の夢が叶わない実力社会なんですね。

自分の話をした方が話の説得力が出ると思うので、(イヤミっぽく聞こえてしまうから)気持ちは乗りませんが、自分の話をします。

僕は、そういった実力社会で生まれ育った人間でして、「マーケティングだナンダ」と鼻につくことをやっておりますが、漫才をしたら1年目で関西の賞レースを総ナメして、M1にエントリーしても最低でも決勝に出れるぐらいの強度は持ち合わせていて、近畿大学の卒業スピーチを任せられたら、一応、8000人を掌握する程度の話術はあって、絵を描いたら、皆を黙らせる程度の画力はあって、毎朝オンラインサロンで文章(メルマガ)を書いておりますが、文章を書かせたら、それなりにね……まぁ、要するに、確かな腕力があるんです(笑)

そして、ここもハッキリしておいた方がいいですね。

文章や音声で毎日お届けしている内容が「マーケティング」のことが多めなので、僕のスケジュールもその割合かと思われがちですが、まさか、そんなことはありません。

一日19時間働いているとしたら、「マーケティング」に割いている時間は1時間か…せいぜい2時間程度。

残りの17〜18時間は、ずっとアトリエにこもって、作品を作っているんです。

作品やパフォーマンスのクオリティーなんて高くて当たり前の世界だから、いちいち議論していないだけの話で、「作品やパフォーマンスのクオリティーは、どうだっていい」という話じゃないんです。

最新のマーケティングを学んで、どれだけイイ売り方を知っていても、商品がクソだったらクソなんです。売れるわけないんです。

もともと特別なオンリーワンなのかもしれないけれど、「人から求められていないオンリーワンなんて、何の価値も無い」という世界なので、やっぱり僕は、そこに対しては「いいよね。いつかは報われるよ」といった無責任なことは言いたくありません。

「お前の文章、言葉、声の出し方、ツカミ、間、トーク構成、空間支配力、作品力、商品力、サービス設計、コミュニケーション設計……まだまだ全部クソだよ。何の価値も無い。マーケティングを学んでウンコを売っているのと同じだよ」というのが僕の本音です。

ウンコに広告費をかけて、「広告効果が無かった!」とか愚痴っている場合じゃないんです。

いっちょ前にSNSで夢を語っているけど、お前、その夢に対して、昨日、何時間努力したよ? 今、ここで言ってみろ。と。

これを聞くと、だいたい9割以上の方が黙ります。

そこに命を賭けていない自分を知っているので。

そこで黙っちゃダメんです。

そこで黙っちゃう人が生き残れる世界じゃ無くて、言いたいのは、マーケティングなんかに逃げちゃダメだ。ということです。

マーケティングは絶対に必要だけれど、それは確かな商品があってのことで、まずは商品です。

クリエイターを名乗るのならばゴタゴタ言ってないで、「まずは日本で10本の指に入れよ」と。

話はそれからです。

頑張ってください。

生意気に言ってしまった手前、僕も頑張ります。

無礼をお許しください。

というわけで、
「『売り方』に問題があるわけじゃない」
というテーマでお話しさせていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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