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困っている人が「不足しているもの」を想像しろ【キンコン西野】

このnoteは2022年11月26日のvoicyの音源、『CHIMNEY TOWN 公式BLOG』の内容をもとに作成したものです。

 
 

人の痛みを想像できない人が、善意で人を苦しめる「ありがた迷惑」
 

今日は『応援される人が立場上言いにくい本音』をお話ししたいと思います。
 
誰かを応援する時は、このあたりを踏まえて応援されるといいかもしれません。
 
「ここ、地雷ですよ」という話です。
 
話をゴチャゴチャにしたくないので、まずは、ここを整理しておきたいのですが、「困っている人を助けよう」という考えは、本当に尊いものだと思っています。
 
その気持ちを否定するつもりは一切ございません。
 
ただ、「ありがた迷惑」は確実にあるじゃないですか?
 
有名なところでいうと『被災地に千羽鶴を贈る』とか。
 
僕、ちょっと被災者なので経験済みなのですが、全国から贈られてきた千羽鶴を片付けたり、あるいは処分しなきゃいけないのは、今日着るもの、今日食うものに困っている被災者なんですね。
 
あるいは、瓦礫をどけたり、土砂をかきだしたりしてくださる被災地のボランティアの方です。
 
そういった方々の手を塞いでしまうのが『千羽鶴』です。
 
こういう感じで、人の痛みを想像できない人が、善意で人を苦しめるアクションのことを『ありがた迷惑』と呼びます。
 
こういうのは本人は無意識にやってしまっているし、ありがた迷惑をくらっている人は、善意でやられている以上、「困ります」とは言えないんですね。
 
「困ります」というSOSを出そうものなら、場合によっては「何様だ」と逆上する人がいるので。
 
皆さんも一度や二度は見たことありますよね?
 
頭の悪い正義って、本当にタチが悪いんです。
 
 
そんな調子なので、「ありがた迷惑」がリスト化されていない。
 
「その手助けは地雷ですよ」が世間で共有されていないんですね。
 
なので、今日は、そのあたりの話をしようと思うのですが…
 
 

面識のない人間が言う「私にできることがあれば」は相手の時間を奪うだけ
 

たとえば、僕ら、何年か前に『リベンジ成人式』というのをやったんです。
 
晴れ着レンタルの会社が成人式前日に夜逃げをしたせいで、多くの新成人が成人式に出席できなくて可哀想だったので、成人式の1ヶ月後に、会場を確保して、着物も確保して、ヘアメイクも確保して、フォトスポットも確保して、なんなら二次会のクルーザーも確保して、被害に遭った新成人にプレゼントしたんです。
 
大急ぎで予算を用意しなきゃいけなかったし、スタッフ(数百名)を確保しなきゃいけなかったし、各所に許可取りをしなきゃいけなかったし、メディアの対応もしなきゃいけなかったし、もう大変だったんです。
 
陣頭指揮をとったのは僕の前のマネージャーの田村ゆき子という女性なんですけど、もう、「朝から翌朝まで電話が鳴りっぱなし」みたいな状態で、大変だったんです。
 
その時の田村ゆき子が一番怒っていたのは何かというと、「アンチの声」とかじゃないんです。
 
彼女が怒っていたのは、リベンジ成人式を応援してくれる一般の方からの「何か私に手伝えることがあったら言ってください」というDMです。
 
捌かなきゃいけない連絡に混じって、この「何か私に手伝えることがあったら言ってください」というDMが毎日何十件もくるんです。
 
まず、「『何か私に手伝えることがあったら言ってください』というDMが毎日何十件も届いて、仕事を止めてしまっているかも…ということを想像しろよ」という話ですよね。
 
あなたが思いついたことは、当然、他の人も思いついているわけだから。
 
普通に考えたら分かるじゃん。
 
でも、勢いで、そういう連絡をいれちゃう人っているんですね。
 
そして!
 
「私にできることがあれば」も何も、あなたに何ができるかはコッチは知らないのよ。
 
じゃあ、「サイトの制作と、そのサイトにアクセスが集中した時にサイトがダウンしない設計をお願いできますか?」と言った時に、対応できます?
 
無理ですよね?
 
あなたのスキルが分からないかぎり、仕事が振れないわけだけれど、あなたの方からスキルを教えてもらえないとなると、まずは、こちらから連絡を差し上げて「あなたは、どんなことができますか?」というヒアリングを一人一人していくってこと?
 
しかも、ヒアリングした結果、「今回のプロジェクトではお願いできることはありません」という結果になる可能性が多分に含まれているわけで…その時間、何っ!?
 
ということが起こりうるから、対応に追われている人に、まったく面識のない人間が言う「私にできることがあれば言ってね」は、相手の時間を奪うだけなので、やめておいた方がいいと思います。
 
 

「アイデア不足」で困っているケースはほとんどない
 

そして…
 
これは今日、切に訴えたい内容なのですが、今、僕はミュージカル『えんとつ町のプペル』の大阪公演のフォローで走り回っているんですね。
 
そのことを発信しているので、ありがたいことに、救いの手を差しのべてくださる方がたくさんいるんです。
 
それに関しては、本当に感謝しているのですが…腹を割って喋ると「その救いは求めてない」というのがあったりします。
 
たとえば、僕は別に「アイデア」なんて1ミリも求めていないんです。
 
「こういう方法で予算が作れるんじゃないですか?」という主婦のアイデアや、
「こういう方法で集客できるんじゃないですか?」というオジサンのアイデア…
 
そんなものは一切求めてないんです。
 
というのも、主婦やオジサンがその場で思いついたような(ことエンタメに関する)アイデアは、僕はもう四千年ぐらい前には思いついて、とっくに会議にかけられているんですね。
 
それが「表に出ていない」ということは、「使えないよね」と判断されたからです。
 
思いついてないわけじゃないんです。
 
で、メチャクチャ鼻につく話をすると、エンタメの資金繰りと集客の打ち手に関して、キングコング西野に「こうするとイイよ」とアドバイスできる人って、ぶっちゃけ、あんまりいなくないですか?
 
これ「天狗」とかそういうことじゃなくて、お母さんが肉じゃがを作っている時に、隣から、料理なんて一度も作ったことがないお父さんが「砂糖を入れたらいいんじゃない?」とアドバイスしてきたら、「おい!」となりません?
 
あるいは、ダイエットに悩んでいる女子に、見知らぬオジサンがやってきて、「深夜のラーメンを控えるといいよ」とアドバイスしてきたら、「知ってるよ」となりません(笑)?
 
 
それと同じような感じです。
 
 
僕、朝7時から、翌朝3~4時ぐらいまでエンタメを作っているので、ことエンタメの打ち手に関しては、専門のスタッフさんが持っている専門知識を除いては、大体知ってるんです。
 
 
これ、結構あるあるだなぁと思っていて、困っている人に対して、「アイデアを出す人(アイデアを出して助けようとする人)」っていると思うんですけど、大切なのは、その困っている人が「今求めているのは何か?」を想像することだと思うんですね。
 
多くの場合、べつに、アイデア不足で困ってないと思います。
 
その最上級がキングコング西野で、キングコング西野はアイデアは足りてるんです。
 
本当に、今でも普通にあるんです。
 
「そういう時は、クラウドファンディングをやるといいですよ」とか、「今なら、NFTという手段があります」というアドバイスをされることが。
 
なんか口が悪くなっちゃいますが、「お前…むしろソレ、西野から仕入れた情報やろ!」という(笑)。
 
繰り返しになりますが、相手が困っている時って、「アイデア不足」で困っているケースって、ほとんどないので、「今、何が不足しているのかな?」と想像する優しさがあるとすごく喜ばれるかもです。

 
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