見出し画像

オーディション発のアイドルを推した記憶

日プ女子を見るか否か悩んでいる。

今まで全くそんな記事を書いてこなかったので突然何なんだという感じなのですが…。

PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS(通称は日プ3・日プ女子・日プガールズ等々)というオーディション番組が10月5日から配信開始している。
簡単に説明すると韓国で一大ムーブメントを巻き起こしたアイドルオーディション番組の日本版第3弾。
シーズン1ではJO1が、シーズン2ではINIがデビューした。更にオーディションに落ちてしまった練習生(オーディション出演者)も各自グループを組んだり事務所に所属したりで色んな活動をしている。
ちなみにどちらも男子なので女子は今回が初。

何故それを見ようと悩んでいるのか。
何を隠そう、私は過去シリーズに爆ハマりしていたのだ。

私はこれまで男性アイドルのファンになったことも興味を持ったこともなく、どちらかといえば女性アイドルのほうが好きだった。今時なんの音楽系サブスクに入っていないくらいに音楽を聞く習慣もない。
なのに死ぬほどハマってしまった。


きっかけは本当に偶然だった。
当時は何もかもがうまくいかず、これから将来どうなっていくんだろう…という人生のどん底だった。そんな時たまたまTwitterでとある練習生への投票呼びかけツイートを見たのだ。

この番組の最大の特長は"結果が全て視聴者投票で決まる"ということ。どんなにスキルがあろうと人望が厚かろうと、人気がなければ脱落してしまう。
なのでファンは必死で投票を呼びかける。ツイートはもちろん、街中やインスタに広告を出したり、布教動画を作ったり…。その中の1つが目にとまった。

彼の番組内でのエピソードや立ち位置ををまとめた物だったのだが、あまりにも人間が出来ていて、しかもドラマティックすぎる軌跡を辿っていた。にわかには信じられず、半信半疑で配信を見てみた。
…事実は小説よりも奇なり。番組内ではフィクションと見紛うような青春ドラマが繰り広げられていた。
そして人間不信になりかけていた自分に、彼の人間性は深く突き刺さった。自分のためのオーディションなのに、仲間のためにばかり動いている彼。この人の夢を叶えてあげたいと強く思った。そんなことは初めてだった。

そこからは狂乱の日々だった。
配信を楽しみにしつつ、次自分の推し(この番組での呼び名は"1PICK")が落ちてしまったらどうしよう…という不安で仕事中もグルグル考えてしまった。もっと前半から見ていれば…という後悔。安泰だと言われていた練習生のファンを見て唇を噛み締めたり。
そして何より、壮絶な足の引っ張り合い。
嘘か本当か分からない過去の噂や写真がばらまかれ、番組内のほんの一瞬を切り取られ、憶測で叩かれた練習生がたくさんいた。実際そのせいで順位を落としたり、辞退してしまった練習生もいた。見ないようにしていても、どうしても目に入ってきてしまう。

ファイナルステージは地上波生放送。
これから先どんなことがあってもこのメンバーで集まることはない最初で最後のステージ。夢が叶うか全てを失うかの瀬戸際にいる彼らは凄絶な美しさで、全員紛れもなくアイドルだった。

私の推しはデビューできなかった。夢を叶えてあげたいというあの日の思いは儚く散ってしまった。

番組終了後からが本当の地獄だった。
このオーディションの条件は無所属であることなので、合格者以外は全員一般人に戻る。
そこからまた芸能界を目指すのか、表舞台から姿を消すのか。芸能人を目指すとしても、入れる事務所があるのか、ちゃんとした活動ができるのか。はたまた別のオーディションを受けるのか。
番組中よりも更に仕事が手に付かなくなり、テレビから流れるデビューグループの話題に耳をふさいだ。他の脱落した練習生が進路を決めていく度に、嫌な想像ばかりが膨らんだ。狭いライブハウスに客は自分含め数人、その中央で踊る推しを見つめるという夢を見たりもした。数日に1度のSNS投稿だけが心の支え。


紆余曲折はあったものの、結果的に私の推しは事務所に所属しグループを結成した。
CDデビューも出来たし、タイアップのコラボキャンペーンがあったりライブツアーをしたり、あの頃からは信じられないほど恵まれている。
ここだけの話、デビューシングルは2桁枚数購入した。コラボキャンペーンの対象商品は万札が飛ぶ程度に買ったし、ツアーはほぼ全通した。メディア出演は網羅し雑誌も全て買ってアンケートハガキを出し、宣伝広告にもそこそこの金額を出した。
推しにお金を落とせるようになったことが嬉しかった。オーディションのプレッシャーから解き放たれた推しはイキイキとしていて、番組中見れなかった一面もたくさん知ることができた。その場所を守りたかった。
楽しかったけれど、とにかく必死だった。


今でも彼らを応援している。推しはもちろん、他のメンバーもみんな大好きだ。発足日から今までFC会員も継続中。
ただ、最近はCDも1、2枚に留め、ライブやイベントは行ける範囲で行っている。決して応援する気持ちがなくなった訳ではない。推し始めてから今まで推しに嫌な部分なんか1つもなくて、何かキッカケがあった訳でもない。それでも、部屋の片隅にうず高く積まれたCDの山を見ると考えてしまうことがある。

推し始めた事自体にもお金を費やしたことにも後悔はない。アイドルオタクをやりつつ実生活をきちんと送っている人なんてごまんといる。
ただ、少し疲れてしまった。

一方で仕事が辛かったりプライベートで悲しいことがあっても、彼らがいたから頑張れた。初めて行ったライブで味わった感動はこの先も忘れることはないと思う。
今はお笑いライブを月に数回行っているけれど、さすがにそんな感情になったことはない(自分にとって目的も種類も違いすぎるから)。

これから先、何かアクシデントが起きない限り彼らのファンを降りることはない。ただ、自分は絶望的にアイドルオタクに向いてなかったんだと思う。
それでも、会ったこともない人を必死で応援したり幸せを祈ったりするのはすごくキラキラしていた。
その感情をもう一度手にしたい気持ちと、辛い思いをまたするのかという気持ちとで揺れ動いている。
…そんなこと言っても結局見てしまいそうだけど。


※番組を見ていた人なら推しが分かってしまうかもしれませんが一応ボカしてあります。