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愛に染まる赤、ではないみたいです。

先日久しぶりに京都に行ってきました。
高野山でもそうですが、京都もだいぶ人出が
戻ってきましたね。

とはいえ一時期のとんでもない混雑っぷりからすると
夢のような状態です。

嵐山とか、伏見稲荷とか、
一時は何事かというくらい人がいて
お参りや観光どころではないみたいな時もありましたけど、
お店の方からしたらそっちの方が懐かしいのかも。

神護寺の紅葉にはまだ早いです。

今日は愛染明王のご縁日。
ということで例によって修法してご供養しましたよ。

愛染明王は好きな仏さまなのですが、なかなか
わかりにくい方でもあります。

一般的にはやはり敬愛のために拝まれることが多いのですが、
その名前から染め物屋さんが崇敬しているという一面もあります。

縁結びや恋愛成就のご利益は人気があるので
愛染明王をお祀りしているお寺ではけっこうそれを
打ち出していますね。

弓矢を持っていたり、体が赤いところから
キューピッドみたいに恋に落とす力があるのかな?
と思われる方も多いのですが。

愛染明王のお姿のモデルの一つと考えられている
インドの愛の神カーマはサトウキビの弓と花の矢を
持っており、この弓矢もキューピッドと同じく
人や神を恋に落とすことのできる力を持っています。

ですが、愛染明王の弓矢は衆生の煩悩や星の災いを射落とす
というものですので、これに射られたら恋には落ちないで
菩提心に目覚めるか流れ星になります。

星回りが悪い時は愛染明王にお願いすると
星の災いを除いてくださいますよ。

お体の色が赤いのは、太陽の色と同じだから。
愛染明王のお力が太陽に似て圧倒的であることを示しています。

昼間の太陽の光が星の光を消してしまうように、そのお力で星だけでなく
いろいろな災いを消し去ることができます。

また、赤は敬愛の色。そして慈悲の色でもあります。
慈悲を以って衆生を導く蓮華部の諸尊は
赤い衣を着ておられることが多いですが、
その中でも阿弥陀さまは愛染明王のように
全身真っ赤なお姿で表されることもありますよ。

通常明王さま方というのは、お体は青黒色であるとされています。
これは青黒色が怒りを示す色であり、忿怒によって衆生を導く
明王さまの働きを表現しているから。


愛染明王も忿怒のお顔をされており
厳しく衆生を導くことでは同じですが、
この方の渇愛、愛欲、煩悩を焼き尽くして
大きな境地の愛や欲に変えるという働きを特に示すのが
この赤い色なのですね。

愛染明王も不動明王と同じく
お大師さまによっておそらく初めて日本に請来された仏さま。

どちらも非常に霊験の著しい尊格として、
国家的な祈願の折に拝まれてきた方です。

ですので、やはり大きめな願意の方が通りやすいようです。

愛染明王は耳の前に飾り布を垂らしているのですが、
これはちまちましたことは聞かん!という王さまのような
境地にいることを示してたりします。

なので個人の恋愛成就よりは、国家同士の友好や
さとりを求める心からくる縁結び(ご本尊との縁を深めたいとか)
の方がやっぱり聞いていただきやすい印象。

ただ、実は愛染明王は女尊なのではないかという
説があって、これもあながちそうではないとは言えない
感触があるような気がします。

縁結びや恋愛成就、家庭和合などのご利益があると
されるようになったのは中世以降で、
女性に良縁をもたらし出産の苦しみを和らげる
とも言われるようになります。
愛欲を否定しないということから遊女や水商売の人の
崇敬も集めました。

こういうお願いもやっぱり確かに聞いてくださるのですよ。

女性に愛の幸せをもたらしてくださるのですが、
いろんなことを観察してみると
「自分で気づけるように導く」というのが基本姿勢。

神仏は大抵そうですが、この導き方がなんかすごく
女尊っぽい感じがあるんですよね…。
弁天さまみたいな。

ただやはり、愛染明王さまはかなり強烈な方。
お心に叶うかどうか、いろいろがんばってみようと思います!

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