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カレーは最強の食べ物であり、概念。

カレーは最強の食べ物だ。

何を持って最強とするかは人によって判断が分かれるところであると思うが、食べる側と作る側の視点に立って考えてみる。

まず、食べる側。

いきなり個人的な話で恐縮だけど、僕の家では幼稚園だか小学生の頃だか忘れたが、毎週日曜日はカレーの日と決まっていて、20で実家を出るまで、日曜日はサザエさんを見ながらカレーを食べていた。

日曜日は父親が夕飯を作るというルールがあり、そんなに作るのが難しくないカレーが選ばれたのかもしれないし、僕が何かのきっかけでカレーにハマり、それをねだったのかもしれないが、とにかく15年近く週に1回はカレーを食べていた。そして、最近では自分でカレーを作り、週1と言わず、週に4くらいの割合で食べている。

これはすごいことだと思う。白米を除いて、こうも飽きずに食べ続けられる食べ物が他に存在するのだろうか。

その一つの理由は、カレーの懐の広さだろう。いや、逆にブラックホール的かもしれない。カレーという概念は広い。カレーと冠すれば、何と合わさっていてもカレーになる。米も、ナンも、うどんも、カレーと合わさった瞬間、カレーに飲まれる。カレーパンでさえも、パンがカレーを内包しているにもかかわらず、主役はカレーだ。

具材だってそうだろう。肉、魚、野菜、全て合う。唯一合わないのは果物くらいかもしれないが、それでもりんごの摺り下ろしとかは合う。カレーの元と合わせるだけで、全ての食材はカレーとい概念に取り込まれしまう。これは恐ろしい。他の食べ物の概念ではなかなかそうはいかない。

確かに、ピザとかは近いかもしれないが、流石に週4、5でピザは食べれない。少なくとも自分は。それに、ピザはライスと一緒になった時、ライスがどうしても馴染まない。そう考えてもカレーはやはりすごい。

あらゆるものをカレー化してしまうことだけがカレーの恐ろしさではない。食べる側に立った時、辛さの調節によって、同じカレーでも楽しみ方を変えられてしまう。彼女が甘口が好きでも、お兄ちゃんが辛口が好きでも、関係ない。同じものを頼んで、みんなで楽しめる。誰も喧嘩しない。ピースだ。全てを飲み込むと見せかけて、全てを許してしまう。

そして、僕はカレーが嫌いだという人に出会ったことがない。アレルギーで食べれない方はいるかもしれないが、カレー大嫌い!という人に出会ったことがない。所詮28年間生きてきた中の母数なので全く当てにならないが、それでも自分の観測範囲内ではいない。これはすごい。カレーは食べる人を愛しているだけでなく、むしろ食べる側からも愛される、、とまではいかなくても、嫌われていないのだ。こうした側面から見ても、カレーは最強である。

では、作り手側に立つとどうだろう。

僕は、カレー作りにハマってまだ半年くらいの超若輩者だが、完全にスパイスカレー沼にハマっている。在宅で働く機会が増えたことも相まって、毎週末に作り置きのカレーを作っているが、レパートリーが尽きないのはもちろん、スパイスの調合を変えるだけで味の変化が楽しめる。無限の編集可能性を秘めている。

完成形だけではない。作っている最中も楽しいのがカレーだ。油を引いて、そこにホールスパイスと呼ばれる固形のスパイスを混ぜて香りが沸き立つの嗅ぐだけでもテンションが上がる。マジでただの素人だけど、ちょっとプロの料理人ぽい気持ちになれる。カレーは自己肯定感すら上げてくれる。

スパイスカレーと聞くと、ちょっと難しいイメージを持つかもしれないが、そんなことはない。結構簡単に作れる。食材を尋常じゃなく焦がさない限りは、大体美味しいカレーが作れる。

もちろん、カレー作りにおいてスパイスカレーである必要は全くない。僕の父親はいつもバーモンドカレーで作っていた。しかし、それでも十分に美味しい。食材をカットできさえすれば、誰でもカレーを作れる。それくらいカレーは全ての人に開かれている。

それに、大勢でカレーを作るのもまた楽しい。以前、カレーパーティ的なものに読んでもらったことがあるのだが、もはや自分が作ってなくても味見だけでも楽しい。あと、普段はあまり自分では作る機会がないだろうナンも、大勢だとなんとなく作りたくなる。それも良い経験だ。

大勢でカレーを作る醍醐味は、複数の味のカレーを食べられることだろう。お店によってはそうしたカレー屋もあるが、みんなで作ったカレーを食べ比べするのも乙なものだ。カレーを共同で作るだけで、そこには絆が生まれる。作り手になれば、みんな友達になれる。

カレーとは、食べ物の皮を被った概念なのだ。あらゆるものを取り込み、一緒くたにし、そこに新しい関係を作り出す。普段出会うことのない具材同士が、カレーという概念を通じて出会い、新結合を果たし、価値を生み出す。カレーとは編集者でもある。

さて、ここまで読んで、意味がわからないと思った人もいるだろう。だが、それも良いのだ。カレーは最強の食べ物。それが伝われば、この記事を書いた価値が生まれる。是非、明日の昼ごはんはカレーを。


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