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アパレル業界からメディアのあり方を考えた話

僕は服が好きで、大学生の頃はバイト代のほとんどを服につぎ込むような生活を送っていました。服を買う時に意識していたのが、大量生産されたモノは出来るだけ買わないこと。安価な労働力で雇われた人が海外の工場で作られた服を買うことは、そこで働く人を搾取することに加担すると考えていたからです。

一見華やかに見えるファッション業界の裏側に迫ったドキュメンタリー映画「ザ・トゥルー・コスト」では、インドやバングラデシュなどの過酷な労働環境が浮き彫りになりました。厳しい暑さの中、長時間働かされたり、ずさんな化学薬品の管理のせいで皮膚がただれたり、頭痛などの体調不良を起こす人もいるにも関わらず、賃金はありえないくらい低い。

アパレル産業が引き起こしているのは労働問題だけではありません。当然、環境にも深刻な影響を与えてきました。よく話題に上がるのがコットンの栽培です。コットン栽培に使われている農薬の多くは、第二次世界大戦中に有毒ガスを作るために開発された薬剤を利用しており、長期的な使用は土地を痩せ細らせます。

こうした労働や環境問題に待ったをかけるため、年々アパレル業界のエシカルファッションへの取り組みが増えてきています。エシカルファッションとは「エシカル(倫理上の)」という意味の通り、良識にかなって生産、流通されているファッションを指します。例えば、ビートルズのポールマッカートニーの娘が立ち上げた「Stella McCartney」は、一切動物素材を使わず服を作っています。

環境に負荷をかけない素材の研究も進んでおり、今年の6月には株式会社ゴールドウィンとSpiber株式会社が構造タンパク質素材を使ったTシャツをアウトドアブランド「THE NORTH FACE」から発売しました。構造タンパク質(ブリュード・プロテイン)素材とは、微生物を使った発酵プロセスによって生成されたタンパク質を独自の技術により加工した繊維。アウトドアウェアやスポーツウェアの多くには、石油由来のポリエステルやナイロンが素材として使われています。今後はスポーツアパレルに求められる素材のニーズに合わせてタンパク質素材の開発を進めていくそうです。

新素材の開発だけでなく、売上金の寄付を通じた環境保全も進んでいます。個人的に特に目を引いたのは、イギリスのブランド「NINETY PERCENT(なぜかリンクを貼れなかった)」。このブランドはなんと売り上げの90%を購買者が寄付に回す権利を与えています。

オシャレが好きな人でエシカルに関心のある人はまだまだ少ないのではないかと肌感覚ですが思っています。僕の場合、たまたま海外の労働状況についての知識を知る機会があり、服を買う時にどこで作られているのかを意識するようになりましたが、もしそういった情報がなければ何も気にせずファストファッションを買っていたでしょう。

アパレル業界に限らない話ですが、ただ消費されるようなわかりやすいコンテンツばかりアテンションをとるのではなく、人に考えるきっかけや行動を振り返る瞬間を与えるような情報がもっと流通しやすいような仕組みを作っていかなければならないと思うのでした。

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