2023/07/05 二元論という思考停止と行動停止

二元論で厄介なのは「思考停止」だ。
思考停止は必ず「行動停止」を伴う。人間は考えることも行動することも大嫌いな怠け者だから、当然の帰結とも言える。

二元論で代表的なものの一つとして、「持ち家か賃貸か」がある。
もちろん、正解なんてあるわけがなく、そんなのは価値観や結果論だ。

経済合理性(金銭的利益)だけで考えても、30年先の損益なんて誰もわからるはずがない。
30年後も不動産の資産価値があまり下がっていなければ、持ち家が得だということになるけど、そんなことは誰がわかるのか?

不動産を消費と考えるか投資と考えるかにもよっても異なるだろう。
消費と割り切る人は賃貸でもいいし、投資と考える人は持ち家しかない。

個人的には今は賃貸だけど、今後は持ち家に変更する予定だ。
物価が上がっている状況にしては、まあまあ割安で底値と思える価格で買ったと思っている。もちろん、そんなのは分からないけど。
日本を本拠地とするつもりだから、持ち家の方がいいという判断もあった。
その時の状況に応じて臨機応変に行動すればいいと思っている。
どちらかというと、自分が投資寄りの価値観だからだろう。

勧善懲悪も危険な二元論の一つだ。
多くの人にとって、勧善懲悪ほどわかりやすくて、スッキリして気持ちよいものはない。
しかし残念なことに、池波正太郎の卓越した人間観察が示す通り、人間は良いこともすれば、悪いこともする不思議な生き物だ。
特に自分を善人だと思い込む人ほど危険な人はいないから、あまり近づかない方がいい。

選択問題ばかりの受験勉強で脳がやられたのも大きいかもしれない。
世の中のほとんどは正解がないのに、正解がないと不安になるのだろう。
今は不安を煽るマーケティング商売がとても多い。
人生の多くは自分で決断して、失敗したら自分で責任を取るしかない。
安易に正解を求めたがるのは、自分で考えることができず、決断もできず、責任も取れない人の甘えだ。

二元論はリスクを回避したがる人間の本能とも言える。
でも、生きること自体が選択の連続で、全てリスクを避けられないことだから、リスクを避ける思考や行動がとてもハイリスクな結末になる。
おじさんの鬱陶しい説教だけど、大人になったら、この真実を理解できないとダメだと思うよ。