シアターコクーン配信「プレイタイム」で使用された岸田國士作品
2020/7/12(日)19:30~ シアターコクーンによる有料配信の演劇があった。
「プレイタイム」
構成・演出:梅田哲也
演出・美術:杉原邦生
出演:森山未來 黒木華 北尾亘
原作:岸田國士『恋愛恐怖病』ほか
もう配信期間は終了してしまったが、7/31日からオンデマンド配信が決定した。
私はリアルタイム配信ではなく、配信後のアーカイブ期間に観ることができた。その時の感想はこちら↓
コンセプトも演出も演技も素晴らしい作品だったので、原作に使われている岸田作品が気になって調べて読んだ。クレジットに記載されているのはメインの『恋愛恐怖病』のみだが、他にも随筆から引用されている。
岸田國士作品は青空文庫で読むことができる。どの作品が使われているかは、青空文庫内の検索窓にセリフを入れるなどして調べた。下記、作品タイトルに青空文庫のリンクを貼った。
導入。演者のウォームアップのような場面。
岸田國士の随筆『妻の日記』で引用している妻、岸田秋子(当時旧姓村川秋子19歳)の日記より。
大正10年9月16日 十五夜の日の日記から、満月の描写、祈りたい気持ち、さびしさについて
開演前、黒木華が白いドレスを着て控室から舞台に上がるまでのモノローグ。
随筆『幕間』の冒頭、劇場の空気について
開演前のアナウンス、黒木がひとり客前に立って呼びかける。
随筆『チロルの旅』から数行抜粋して。
(山が好きか、水が好きか、森が好きか。etc
本編
戯曲『恋愛恐怖病』
前半、男女の会話はほぼそのまま。
後半、男二人の会話はかなり短縮して。
※もし漏れがあれば知りたいので、コメント欄やツイッターアカウントから是非教えてもらえると嬉しいです※
原作を読んでいると、また演者の声が聴こえてくるようだ。
今回「プレイタイム」を観ていちばん心惹かれたセリフ(シーン)は、導入の『妻の日記』からの引用を読みあうところだ。戯曲『恋愛恐怖病』を読んでみて、ここのセリフ(シーン)が出てこなかったので、どの作品からの引用なのかを知りたくて調べた。そしてせっかくなら...と他のセリフも調べた。(なので自分用の備忘録でもある。)
「プレイタイム」全体を通して私が一番心惹かれたシーンは、意外にも岸田國士が書いた言葉ではなく、妻の秋子が若いころに書いた日記の文章だった。「プレイタイム」で引用されたのは『妻の日記』の中の一部分で、亡くなる前、病に伏せているときの日記もあった。結婚し子を産んで家庭の中にいても、創作欲とさびしさを抱えたまま生きた人のようだった。こうなると秋子さんに俄然興味が出てくる。少し調べただけでは、あまり情報が無い。英文学を学んで翻訳の仕事をしていた秋子さん。亡くなった後に追悼誌が作成されていて、そこには彼女の書簡や日記も収録されているようだ。なので次はこの追悼誌を読んでみたい。手に入りにくい資料だから、いつになるかはわからないけれど。
にっこにこ