地味で体力が必要な仕事
病理学というのは、医学部の教育のなかで、比較的早期に病気に触れる学問だ。
病理とは文字通り病気の理(ことわり)、なぜ、どのように病気が起こるのかを学ぶ。だいたい2年生くらいに時間を取って学ぶ大学が多い。生理学や組織学、解剖学などの基礎医学と、内科、外科などの臨床医学の間にあって、両者をつなぐ役割を果たす。
病理診断を生業とする病理医が、基礎医学をやっている人からは臨床だと言われ、臨床医学をやっている人から見たら基礎だといわれるゆえんでもある。
ただ、近年はその位置づけが変わっているようにも思う。
かつて近畿大学医学部の教員だったころ、カリキュラムは毎年のように変わり、病理学の位置づけは揺れていた。
あらゆる臨床医学の基礎的な学問というより、内科、外科が主体で、それをサポートする一つのパーツというように、その役割は限定的になっていった。
私が去る直前は学生が病理学を学ぶ時間は、2年生のときのわずか一週間と、3年生の2週間のみ。のちに5年生のときのクリクラ(クリニカルクラークシップ)で2日ほど学ぶが、6年間のカリキュラムで病理学を学ぶの期間は一ヶ月もない。
その後もカリキュラム改革が行われており、今どうなっているのかは分からない。
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