サンクコストと辞め時
職業研究者を目指すことに見切りをつけたのは、2度目の「研究室追放」のときだった。
25年前のちょうど今頃(10月初旬)に博士課程2年で研究室を出入り禁止になったときは、いったんはほかの大学院の博士課程に入ろうと思ったが、受け入れ先がなかったので、医学部に入って研究者を目指しなおそうと思った。まだ意欲があったのだ。
しかし、2度目の「研究室追放」のときは、さすがに潮時だと感じた。
30歳。もう一度一からやり直す気力がなくなっていた。これからは臨床医として働いていこう。そう決意して今に至る。その過程で病理医になって診断を中心に働いているが、基本路線は変わらない。ベーシックサイエンスには関わらない。
何かをあきらめるのは結構難しい。
私は指導教員から、(基礎科学)研究者としてやっていけないと引導を渡されたのだけれど、それでもあきらめきれず、一度は再び目指した。2度目の「研究室追放」でようやく諦めがついた。
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