カルトに捕まりかけた時の話
Twitterでは何度か呟いているが、私は大学生時代、カルトに入りかけたことがある
今回はその時のことを詳しく書いてみたい。
時は1991年3月、1年間の(仮面)浪人生活の末、なんとか合格した東京大学(理科2類)。心ウキウキワクワクしながらやってきた入学手続き会場の駒場キャンパス。
手続きを終えてキャンパス内に出たら、新入生を勧誘するサークル多数。雑踏をかき分けてなんとか進もうとしたら、ある学生に声をかけられた。
「話だけでも聞いていかない?」
軽い気持ちで連れていかれたのは、校内の古い建物。柏蔭舎だったか。
そこで活動内容の話を聞いた。いまいち何をやるサークルかはっきりしなかったが、「人生の目的を考える」などという言葉が飛び出し、ちょっと怪しさを感じた。
そこで立ち去ろうとしたところ、「名前だけでも書いてくれない?」と言われ、気軽な気持ちで名前を書いた。
すると、「じゃあ、入会金五千円ね。」
え、そんなお金持っていません、というと、
「僕が貸すから。必ず返してね。これ約束カード。約束は守るものだよ。」
カード一枚渡されて、なんとか解放された。
今ならそんなカード一枚破り捨てるかもしれないけれど、19歳の私は、ああ、お金を借りてしまった。せめて返さないと、という気分になり、指定された学外の部屋に。
そこでOBと称する中年男性が、講義を始めた。約束を守ることは大事だよ、などといった常識的な内容だったと思う。
それを小一時間聞いて、解放されたのだが、次回の会合の日時を指定され、確かまた約束カードを渡されたのだったと思う。
そういう会合に何度か行ったのだが、一向に「人生の目的」を話してくれない。説教?が続く。
ある日、「人生の目的とは?」という話がようやく出たのだけれど、「ゴールデンウィークの山中湖の合宿で話す。必ず出てね」ということになった。
流石にこれはヤバいと思い、次回以降約束カードを無視し、会合にはいかなかった。
部員と称する人から自宅に電話がかかってきて、「なんで約束を破った」と詰問される。
「親が反対しているから」と言ったら、「親から独立すべき、バイトなら紹介する」などと説得してくる。
それでも意を決して、ちょっと無理なんです、と言い続けたら、キツイ言葉を言われたものの、なんとか解放してくれた。
以降、その団体の部室には行っていない。
翌年、クラスの「オリター」になって、下のクラスになる人たちを合宿に連れて行ったりする係になった。「オリター」というのは、東大独自の制度(多分)で、1つ下の学年の、教養学部の科類の語学が同じクラスに対して、入学直後のあれこれをお世話するという制度だ。
その時、自治会か何かから、くれぐれもカルトに注意するように伝えてほしいというお達しがあった。注意すべきサークルに、昨年私が入りかけた団体の名前があった。
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