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国家試験の影響力

 私が医師国家試験を受けたのはちょうど20年前、2004年だ。

 2003年の暮れから正月は、とにかく国家試験の勉強をしていた。国家試験の過去問を必死に解いていたことを思い出す。

 学士編入で入った医学部のコースは、論文1本が少なくともアクセプト状態でなければ卒業できなかった。

 4年生の12月に研究室を追い出された影響で、卒業試験が終わる頃まで研究をしなければならない状態だった。

 当時の研究室の教授は、私をなんとか卒業させようと色々手を打ってくれた。いろいろな人のおかげで、12月末にアクセプトが決まり、何とか卒業でき、国家試験を受けられることになったのだ。

 しかし、国家試験は当時3月で、残された時間は2ヶ月半。ひたすら過去問を解きまくった。それしか道は残されていなかった。

 そんな国家試験の過去問は、今現在も私の医学的知識の土台になっている。もちろん医学は日進月歩なので、日々アップデートはしているが…。

 しかし、そうやって必死に学んだ国家試験の問題が間違っていたら…。実は今、ある問題の解答が不適切ではないかと取り沙汰されている。

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このマガジンでは、“めずらし医“である病理医の中でもレア中のレアなフリーランスの病理医からみた病理診断、医学界の話、研究者になることに挫折し学士編入学を経て医師になった者から見たキャリアの話、そして「科学ジャーナリスト賞」受賞者の視点から見た科学技術政策の話の3つの内容を中心に綴っていきます。

フリーランスの病理医兼科学ジャーナリストである榎木英介が、病理、医療業界や博士号取得者のキャリアパス、科学技術と社会に関する「機微」な話題…

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