安定を求めると不安定になる【フェルデンクライス博士に学ぶ#03】
解説
人間の銅像をたてる時は、脚部に鉄の支柱を通して、土台にしっかりと固定しなければいけません。
そうでなければ風の強い日にはすぐに倒れてしまうでしょう。
しかし、もしもそれがワニの銅像だったらどうでしょう?
ライオンは?
キリンなんてどうでしょうか?
台風さえ来なければ、支柱がなくても大丈夫かも知れませんね。
人間はあらゆる動物の中でも非常に重心が高く、重力に対して不安定なデザインにもともとなっています。
しかし、それはさまざまな方向への自由な動きやすさでもあります。
生物の機能から見ると、安定しているのは安全を意味しません。
例えば、試合中のボクサーを思い浮かべて下さい。
ボクサーが重力に対して最も不安定で、色んな方向へ素早く移動し続けている場合、ノックアウトされる危険は最も低く、反対に相手をノックアウトできる可能性があります。
しかし倒れてしまって、重力に対して完全に安定した状態は、ルールによって守られていなければ、最も命が危ない状態です。
もちろんこれはリングの中だけの法則ではありません。
そういうわけで、安定しようとして自分を固めるほど、人間本来の機能が失われていきます。
人間は動きの中で、安定するよう造られています。
また、自由に動けるからこそ自由に止まれるのです。
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