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適職診断では本当の自分はわからない

適職診断。

学生の頃から適職診断の類を受けてきました。「自分に向いている仕事ってなんだろう」と興味本位で受けたこともありますし、入社試験に適性検査が組み込まれていることもありました。

みなさんは適職診断を受けたことはありますか。
適職診断を受けて、しっくりきたでしょうか。

私はあんまりしっくりきませんでした。

というのも、「あてはまる?」「あてはまらない?」

どう答えればいいのかわからないのです。各設問がどのようなシチュエーションの話をしているのかがわからないので、結果がしっくりこないというより、質問に答える時点で戸惑いが多すぎるという感じです。

深く考えずに直感で答えてください、と書いてありますが、うーん。

例えば、「人と過ごすより一人でいたい」という設問があったとします。私は、人と過ごす時間も好きだし、一人で過ごす時間も好き。どちらか一方だけなのがイヤな人間です。どちらもほしい人間です。

人と一緒に過ごした後にこの設問に答えれば「はい」になるし、一人の時間を過ごした後にこの設問に答えれば「いいえ」になります。

ようは、バランスよね。

となると、この設問の答えはどちらになるんでしょう。どう答えると正確に判定してもらえるんでしょうか。「どちらともいえない」・・・でしょうか。

ほかにも「直感で判断する方だ」という設問。これも悩ましい設問です。直感で判断するときもあれば、熟考するときもあるからです。だって、好きな服やデザインは直感で決めるけど、スペックや機能が重要なものを買うときは、情報を集めて口コミを見て入念に調べてから買います。

これはどんなシチュエーションの話をしているんだろう。どんな回答をしても私の人間性は正確に反映されない気がする。そんな風に思ってきました。

もちろん、「繰り返しの作業は苦にならない」「正確さが重要な細かい作業が得意だ」など、どのようなシチュエーションを想像しても答えが変わらない設問もありますけどね。

エニアグラムにも記述式のタイプ診断があります。しかし、エニアグラムでも記述式には限界があり、その正解率は70%とも10%とも言われています。開きがありすぎるな。

なぜあたらないかというと、ずばり、自分のことがわかっていない人が多いからです。そもそも自分のことを知りたい(=わからない)からこそタイプ診断を受けようと思うんだしね。無理もないわ。

エニアグラムでは生まれ持った気質をもとにタイプ診断するので、他人の目を意識する前の、ナチュラルな自分だったらどう答えるか、という観点で答えるとうまくいきやすいのですが、これがなかなか難しいです。

元々の気質なのか、「~すべき」という思い込みや努力から身に着けた賜物なのか。

昔のことは忘れていたり、努力してるうちに超ナチュラルにできるようになって、むしろ得意になっていたりして、分けて考えにくくなっているんですね。

例えば、もともとは大人しく、一人遊びを好むような子どもであっても、親にもっと積極的に人と関わりなさい、社交的になりなさい、愛想をよくしなさい、と言われれば、仕方なく社交的になろうとするかもしれません。

もしくは、誰かに言われずとも、どこかのタイミングで人気があるのは社交的なタイプだと気づき、ネアカへのキャラ変を決意したかもしれません。

はじめは自分から話しかけることにすごく勇気が必要だったとしても、繰り返しやっていたら慣れて、板についてきて、むしろ得意になっちゃったりして。そんな頃合いに「道端で知り合いにあったら声をかける」という質問に答えたら、「はい」と答えるでしょう。

それはそれでひとつの解ではありますが、生まれ持った気質ではありません。でも、本人の中ではごっちゃになっているし、そもそもそこを分けて考えようという発想がないんじゃないかな。

社交的なタイプは生まれつき社交的です。何の努力もしなくても、4、5歳でも抵抗なく知らないひとにもぽんぽん話しかけます。

そんな生まれ持った社交性と努力して身に着けた社交性では、どちらも社交性があったとしても、エニアグラムのタイプは違います。でも、そこを本人が認識できてないことには区別ができない。そのあたりに、記述式の限界があるような気がします。

また、エニアグラムのタイプ診断のポイントになるのは、目に見える結果や行動よりも、その動機です。

あるハイブランドを着ている人がいるとして、そのブランドのデザインが好きな人なのか、それとも、それを着ていると周りの人にリッチだと思われるから、そう思われたいから身に着けている人なのか。動機によってタイプは変わります。

そういう深いところまでを記述式で完全に拾い上げるのには無理があります。だからこそ、エニアグラムでは直接お話をしながらタイプ診断していきます。

ある人は自分のタイプを正確に理解するまでに3ヶ月かかったと言っていました。これは極端な例ですが、それだけ人は成長の過程で自分の元の気質のうえにいろんな考え方や思考をまとってきているんですね。さながら十二単のようで、けなげというか、愛らしいというか。

つらつらと書いてきましたが、書いていて思ったのが、適職診断で本当の自分がわからないのは、無理もないですね(笑)記述式というスタイルの限界なのでしょう。


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