えんむすび喫茶館 番外編


『ウメの手作り愛』

英輔が写真館の仕事を終えて
帰り道は必ずえんむすび喫茶館に立ち寄る。

いち早くウメに会いたいのだ。

ある秋の夜
英輔がえんむすび喫茶館に立ち寄り、
女学生の糸とすれ違い
糸が英輔に軽く会釈をして、
えんむすび喫茶館から出て行った。


「ウメ、ただいま。この空間はなぜ故にこんなに寛げるのだろう。
ウメの作る空間が癒しを与えるのだろうね。
しかし、あのお嬢さんは良くこの喫茶館が見えたね、とても情熱的な恋をしているね。

あのお嬢さんの恋話聞いてたんだね。色々変化しているね、お嬢さん。見かけはいいとこのお嬢さんだが、芯が強い。この恋は激しく情熱的な恋に発展するね。」


英輔がお茶を啜りながら語る。


「ふふっ、そうよ。今日はこの辺でと
帰って行ったわ。糸ちゃんの今後が楽しみなのよ。もう実りの秋だものね。」
ウメが何かを作りながら楽しそうに語る。


「おっ、新作かな?カラメルの香りもするね。ウメ、裏の畑で取れたかぼちゃで何か作っているのかな?」


「そうなのよ、プリン。かぼちゃのプリンを作っているのよ。恋する乙女にとって、
秋の夜長は切ないもの、このプリンを食べて
心が落ち着いて癒されるようにね。


さっき、糸ちゃんが帯留めを作って欲しいっていうから、デザイン考えなくちゃ、お任せとは言っていたけど。

はい、英輔さん、貴方が一番先に私の考えた
お菓子の新作を食べれる特権を永遠に持っているのよ、さあかぼちゃのプリンですよ。
召し上がれ」


「いただきます。」
英輔はゆっくり味わう。
一口食べた時、
パッと目を見開き微笑む、
自然に表情が笑顔になる。


「ウメ、僕は本当にウメと出会えて一緒になれた事が何よりもの宝物だ。優しい、温かい。明るい、太陽のようなウメのお菓子、料理、物作りに対しての研究への情熱を尊敬しているよ。


この愛と優しさが込められたかぼちゃのプリンを食べたら恋する切ない想いを抱えている乙女はこの美味しさにビックリして、
さぞかし安らげて、また恋に対して頑張ろうと前向きな気持ちになるだろう。」


「フフフ、英輔さん、私は貴方のおかげで愛という掛け替えのない事を感じる事が出来たのよ。原点は英輔さんなの。愛する家族に美味しいご飯を食べさせたい、愛情に溢れた素敵で快適な空間で生活させたい、だから、このように恋する乙女を助けたくて、憩いの場を」


「英輔さん、いつもどうもありがとう、そして」

「•••」

「愛してるわ」

「ウメ、僕もだよ、いや、僕の方がだね」

「あらあら、英輔さんたらー」


2人、目を合わせて微笑む

長年積み重なった愛の結晶
毎日繰り返される、宝物のような平和な恋物語が
えんむすび喫茶館の中でも存在するのです。



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