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東京大空襲を考える

3月11日は5年前の東北大震災の日として記銘されているわけですが、その前日、3月10日は71年前に東京が焼け野原になった東京大空襲の日です。
終戦1年前頃からの日本本土や沖縄おける戦争被害は、おそらく空前絶後と言ってよいものでしょう。
日本の戦争被害といえば、広島、長崎の原爆投下による被害が真っ先に思い浮かぶし、世界的にも核兵器開発、使用をストップさせるためにも、この2か所の投下が常にクローズアップされます。
その次は、沖縄戦でしょう。ここにおける戦争被害も軍人が民間人を巻き込み大量の死者を出したという酷い面も含めてよく語られることです。
それに比べると、東京大空襲は、やや世界的にも影が薄いのではないでしょうか?

断腸亭日乗であるとか、様々な作家や著名人の日記にも東京大空襲の記録はのこっているわりに、という気はします。というか、日本本土の空襲被害自体がけっこう忘れられつつあるといってもよいかもしれません。
そもそも日本の大都市、中都市はそれこそ、北海道から沖縄まで空襲にあったところがほとんどで、数百人規模の被害が出たところは何十カ所もあるわけだけれど、そのこと自体もけっこう忘れられているように感じます。
東京への空襲は1945年3月10日のものが最大規模ですが、1944年の秋以降1945年にかけて8回ほど大規模な空襲が行われています。

ざっと、日本本土と沖縄の大規模な戦争被害を死者数で見ておくと、
本土の空襲 30万人程度
(そのうち 東京が12万人、3月10日のみで10万人
広島原爆 15万人(投下後数ヶ月内死者数)
長崎原爆 7万人
沖縄戦 19万人(民間人が半数)

単純に数字で比較していいものか、というのはあるにせよ、広島原爆に次ぐ死者を1日で出したのが3月10日の東京大空襲なわけですね。
これに次ぐといわれるドレスデン爆撃が現在では3万人程度の死者数と言われているのをみても、ずっと多い。考えてみれば、世界でもっとも人口が多い都市が絨毯爆撃されて燃えたんだから、そのくらいの被害にはなるわけですが。

で、最初の話に戻りますが、この歴史上空前の都市に対する爆撃がそれほど語られないのか、海外にもアピールされてないのか、、、やはり不思議なんですよ。
原爆の陰に隠れるようなものなのか?
別にだからアメリカにもっと責任追及しろとかいってるわけでなく、このバランスの悪さ、東京大空襲の認知度が低いことが、実は戦争自体の手段において空襲や空爆を行うことへの抑止力になりそこなってる部分がないか、と思っちゃうわけ。
核爆弾といった手段はやめても、これ以降も、ベトナム戦争、アフガニスタン、湾岸戦争にしろ、空爆はやまないわけで、標的に対する精密化が進んでいるとかいいわけはしてるけれど、空襲でこのくらいひどい目にあった事例ってのが、隠されて、いまだに有効な手段であるかのように使いつづけられてるような気がする。今のISへの空爆もそうですが、コストや労力の割に効果がないし、民間人は巻き込むし、ということを学習してないというか。。。

アメリカでは今でも原爆投下の正当性として、戦争を早期に終わらせられた、ということをいいますけれど、それ以前に、日本の民間人に対してあんだけ空襲して、あんだけ被害を出しておいて、その後の原爆のおかげで、なんていえるのかも私には不思議に思えてます。少なくとも一晩で10万人以上が死ぬ空襲、それも首都に対してしても戦争は終わらなかったんですけどね。。。その面でも、なんだか東京大空襲って、隠された存在なんじゃないかという気がしてしまう。

多分、世界の人にたずねて、長崎の原爆よりも死者が多い空襲が1日であったなんて知っている人はとっても少ないんじゃないでしょうかね、、、
それでいいんですかね、と、3月10日は思ってしまうわけですよ。。。

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