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SixTONESに学ぶ令和のファンベースマーケティング Vol.3

前回は、SixTONESのメンバーが「スター性」や「個性」に加えて、ストーリーと誠実さを兼ね備えている事が、"ファン"を生んでいる話をしました。

今日はアウトプットについて掘り下げたいと思います。

ジャニーズ事務所に所属している彼らは、TVや雑誌にも頻繁に登場し、大きな会場でライブもしていますが、そういった接点では刺さらなかった「ジャニーズ好きでない人たち」を"ファン"に引き込んだのは、YouTubeのアウトプットが最も大きい要因と考えられます。

ポイントを3つに分けて見ていきます。

受け取り手に委ねる

TVで活躍するアーティストやタレントのYouTubeと言うと、 YouTuberに寄せて「モーニングルーティーン」など流行りのテーマにトライしきっちり編集したものか、プライベート感を重視したゆるっと料理・トーク動画が多くあります。

TV発の人たちはどうしても「こう見て欲しい」「僕たち私たちはこういう人です。」というパッケージを崩せず、自宅からゆるっと配信していたとしても、TVで作られたイメージやキャラクターありきになってしまいます。

SixTONESの場合、YouTubeチャンネル立ち上げ時はジャニーズJr.だったということもあり、(Jr時代からのファンではない人からすると)キャラクターイメージはゼロスタート。

ただ男子がわちゃわちゃとゲームやドライブしている様子を見ていると、それぞれのキャラクターが分かってきて、視聴者が自分なりに好きなポイントを見つけることができます。

この「自分で」「好きなポイントを見つける」という能動的なアクションが起きやすいようになっているのがキーで、他のコンテンツでも好きなポイントが見られるかもという期待が生まれて、どんどん露出を追いかけるようになります。

そして追いかけている自分にハッと気がつき「これ私、もうファンでしょ」と自覚が芽生えてきます。

例えばメンバーの松村北斗は、TVに出ると「セクシー担当」や「国宝級イケメン」「演技派」という発信側の定義で紹介され、その後のトークでもそれを前提とした進行になってしまうのですが、YouTubeスタートの私からするとどれもピンと来ません。彼のちょっとシュールなボケや、個性的な私服のコーディネートがもっと見たい。

素の部分が出ることの多いYouTubeで、好きになってもらう所を受け取り手に委ねられるというのが、ファン化を加速させるポイントの一つです。

視聴者の声を程よく取り入れる

SixTONESのYouTubeチャンネルは意外にもコメント欄を解放しています。

そして時折「ツアーの行き先でおすすめの場所、コメント欄に書いて」「コメント欄読んでるよ」などと発言します。また動画のテロップにも、コメント欄を読んでいるんだろうなぁと思うメンバーの呼び方やツッコミが登場します。

参加している実感、自分の声が届く・反映されるというのはファンマーケティングにおいてとっても重要なポイント。

SixTONESの場合、視聴者の声を「取り入れない」バランスも絶妙で、内輪ノリになりすぎないギリギリのところで上手くかわしています。

ちょうどいいサイズ

これは彼らに限らずYouTubeのセオリーですが、動画は長くても20分以内。原則10〜15分です。

"オタ"でも"担当"でもない人からすると、長い動画を再生するのは躊躇してしまいますが、10分なら良いかな、と1つ再生すると次の動画も再生してしまう。どんどん見るうちに沼にハマっていく仕組みになっています。

SixTONESの動画編集は本当に上手で、ライブ配信のアーカイブ(1時間以上)にトライした際は全部見られなかったので、改めてグダグダな部分や内輪ノリはバサっとカットしているのが分かります。

日本で育った人なら友達に1人は「ジャニーズオタク」がいた経験があるのではないでしょうか。

私自身も中学の時「相葉担」の名刺を持った友人から、自分の担当を決めなければならないというルールを教えてもらったし、社会人になってキスマイにハマった友人が地方遠征やCD購入など多額の投資をしているのを目撃したし、ベストジーニスト賞や国宝級イケメンランキングがジャニーズファンの努力の積み重ねの成果だということにも気づいています。

そして私はそこまで全力でハマれない。またはジャニーズのガチ勢だと思われるのが恥ずかしいという人もいると思います。

YouTubeがあることで気軽に、自分の好きな熱量とタイミングで「ファン」になれる。「今までジャニーズは好きじゃなかったのですが...」「男性なんですが...」というコメントが散見されるのは、このアウトプットから来ていると言えそうです。

次回はこのYouTubeをはじめ、デジタル上のチャネルとフリークエンシーの最適解について書きたいと思います。

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