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インプラントについて知ろう

こんにちは。歯科衛生士EMIKAです。
今日はこちらのテーマです。
専門的な内容になりますが、歯科衛生士さんだけでなくその他の方にもわかりやすい内容で書いてます。ここではインプラントの基本的なことが理解できます。

インプラントは近年の医療の進歩や発展に伴って、患者さんの需要も高まり最近では多くの医院で行われています。今もなお発展を続けインプラント世界は日進月歩です。

インプラントの歴史

インプラントが主流になったのは1960年代以降のことです。ですが歴史は意外と古く、実は紀元前前から試みられてきました。紀元前3世紀ごろのエジプトにはの抜けたところに象牙や宝石を埋める試みがあったりしたと報告されていたり。西暦700年頃にはマヤ文明において顎の骨に歯根と一体化した貝殻が埋められていたという報告がされています。そのほかにも世界各地で同様の記録が残っているんです。このようなことからインプラントはかなり前から永久歯が抜けた後の治療の一つとして存在していたと考えられています。
以降、近代になり、ステンレス・コバルトクロム・金・サファイア・エメラルド・鉄などの材料を用いたインプラントが作られてきましたが、その結果は良好なものではありませんでした。

そして近年ではようやくインプラントが一般的な治療として普及してきました。それはスウェーデンのブローネマルク博士がチタンがインプラントとしての特性を発見したことがターニングポイントとなりました。

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オッセオインテグレーションによるインプラント治療

スウェーデンの整形外科医のブローネマルクは骨の治癒の研究のために動物の体内に埋入した純チタン製の実験装置が骨組織と強固に結合することを発見しました。
これをオッセオインテグレーション(骨結合)といいます。
それから長期間にわたる研究を経て、1965年に初めて歯科分野でインプラントの治療がスタートしました。始めは、下顎総義歯の為のものでしたが次第に適応範囲が広がりました。以来、世界中に広がり全世界で数千万人の患者に使用され、様々な症例に用いられています。

インプラントの基本的知識

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インプラントは英語で植え付けるという意味があります。歯科においては歯の欠如した歯槽骨や顎骨内に人工的な歯根部を植立することをいいます。インプラントは3つの構造で成り立ちます。
フィクスチャー・アバットメント・上部構造、この3つを組み合わせて上図のように歯を失った部分を補います。
アバットメントの素材は多くの歯科メーカーでチタン、もしくはチタン合金が採用されています。生体親和性が高く、金属アレルギーが起こりにくいです。

インプラントの種類

現在インプラントシステムは全世界で100種類を超えています。日本国内でも販売が認可されたメーカーは国内外で30社を超えていると言われています。

歴史と実績、品質と信頼度が高いメーカーをいくつか紹介します。

・ストローマン(スイス)
・ノーベルバイオケア(スウェーデン)
・アストラテック(スウェーデン)
・ジンマーデンタル(アメリカ)
・京セラメディカル(日本)

医院によって使用されるインプラントは様々です。使用しているものの基本的な知識や特徴は理解しておきましょう。

インプラント治療の流れ

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最近のインプラント治療は、咀嚼の回復だけでなく審美性の回復や治療期間の回復も求められるようになってきました。
インプラント治療を成功させるためには、しっかりと術前診査・診断を行い、患者の同意を得ることが大切です。

1.術前診査・診断 

患者の全身状態、口腔内の状態を十分に把握するために問診・診査を行います。

・問診
・口腔内診査(虫歯・歯周病・咬合状態)
・デンタルX線やパノラマX線、CT撮影 
・口腔内写真
・スタディモデル

2.治療計画

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資料採得した情報をもとに口腔内を総合的に診断し、インプラントのみでなく残存歯も含めた治療計画を立てます。
治療計画は、治療内容、費用や期間あらゆることに患者さんに十分に説明をし同意を得なくてはいけません。この時に、歯科医師だけでなく、歯科衛生士も患者さんの不安や疑問に対応できることが望ましいです。

必要に合わせて術前処置を行うこともあります。
インプラント手術前は口腔内を清潔にするために、虫歯や歯周病の治療を行い細菌感染の内容に努めます。また患者さん自身がきれいにセルフケアが行えるようブラッシング指導も行います。

すぐに治療をできない場合もあります。

・全身疾患があり、感染しやすい、治癒しにくい方
・糖尿病のコントロールがされていない方
・骨量が不足している方


3.インプラント埋入手術

術前処置が終了したら局所麻酔のもと、インプラント手術を行います。
インプラントを顎骨に埋入後、口腔内に露出させる1回法と、粘膜で完全に多い治癒を待つ2回法があります。二回法で行った場合再度外科処置を必要とします。
インプラント埋入手術に比べて身体的負担は少なく短時間で終わります。

十分なオッセオインテグレーションが獲得されるまでの期間は2〜3ヶ月から6ヶ月程度かかる場合があります。インプラント手術の際に骨造成治療を行った場合は治癒期間が長くなることがあります。

4.印象採得

十分なオッセオインテグレーションが獲得された時、上部構造作製の為、印象採得を行います。術前に選択した補綴システムに合わせたパーツ、器具を準備します。インプラントの状態によって同じインプラントでも印象方法が異なる場合もあるので、歯科医師や歯科技工士に事前に確認を取りましょう。

スナップオン印象とスクリュー固定印象があります。

印象採得後はテンポラリークラウンを作製するか保護キャップを取り付けます。
インプラント体を直接印象する場合は術前の状態に戻すことが可能です。

5.上部構造の作製

ここで歯科衛生士が関わることはありませんが、術前にアバットメンてを装着する方法では、必ず使用したパーツを技工指示書に記載しましょう。

6.上部構造の装着

セメント合着とスクリー固定の2種類があります。
それぞれの特徴があるの症例により選択されます。
セメント合着の場合は、余剰セメントの除去に注意が必要です。天然歯よりもセメントの除去が難しいケースも多いです。
レントゲン撮影を行い、適合状態の確認に加、余剰セメントの有無を確認する場合もあります。

7.メンテナンス

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上部構造装着後はセルフケアの方法、定期検診の必要性をしっかりと患者さんに伝えます。インプラントを健康な状態で長持ちさせるためには、インプラントだけでなく残存歯も清潔に保ち、定期的なメンテナンスを必ず受けるよう理解してもらいましょう。


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