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フィンランドの学校で始まった「脱デジタル化」教育の現状

フィンランドは、教育改革の先進国として世界的に知られており、その教育システムは長い間、革新的で高い成果を挙げてきました。しかし、最近の動向として、教育現場でのデジタル機器の使用を制限する「脱デジタル化」が進められています。特に、ノートPCやタブレットを無償で配布してきた教育システムが、学習成果の低下という問題に直面したことから、この方針転換が行われました。

1. フィンランドの教育におけるデジタル機器の導入とその影響

フィンランドでは、過去数年間、11歳以上のすべての生徒にノートPCを無償で配布し、学習に活用することを推奨してきました。しかし、最近の調査によると、この取り組みが逆に学習成果の低下を招いていることが判明しました。多くの学校が教科書の使用を減らし、デジタル教材に依存するようになったことで、生徒たちは本来の学習から注意をそらされがちになったのです。

2. 脳に与えるマルチタスクの影響

臨床神経心理学者のミーナ・ペルトは、特に若い世代の脳はマルチタスクに非常に脆弱であると指摘しています。数学の課題をPCで行っている最中に、SNSの通知が来たり、別のウェブサイトに移動したりといった行動が頻発し、集中力が削がれることが多々あります。これにより、学習効率が低下し、結果的に成績の低下につながっているのです。

3. デジタル機器の長時間使用によるリスク

フィンランドの子供たちは、平均で1日に6時間も画面を見続けているというデータがあります。長時間のデジタル機器の使用は、視力への悪影響や不安感の増加といった、身体的・精神的リスクを伴います。このため、フィンランド政府は、授業中の個人デバイスの使用を禁止する新しい法律を検討しています。

4. 脱デジタル化の成果と展望

脱デジタル化を進める町の取り組みの一環として、再び紙とペンを使った教育方法が導入されています。英語教師のマヤ・カントネン氏は、この変化によって授業中の生徒の集中力が向上し、注意散漫になることが減少したと述べています。このような教育環境の見直しが、今後どのような成果をもたらすか注目されています。

結論

デジタル機器の教育への導入は、確かに便利で革新的な側面がありますが、その一方で、若者の学習態度や脳の発達に悪影響を与えることがわかってきました。フィンランドの「脱デジタル化」の取り組みは、教育現場におけるデジタル機器の使用について再考する重要な契機となっています。今後、他の国々でも同様の議論が進むことが予想されますが、最終的には、バランスの取れた教育環境の構築が求められるでしょう。



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