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熱く滾る椿の花を探して(椿屋探訪感想)

めちゃくちゃ今更ながら、椿屋探訪の感想。配信視聴後に書いたものをそのままなのであんまり読み返していないですが、今年のことは今年のうちに、ということで上げます。またちゃんと修正するかもしれません。ネタバレはふんだんですのでご了承ください。

1.トーキョー・イミテーション
AL「TOKYO CITY RHAPSODY(2008)」
椿屋四重奏メジャー1st 「TOKYO CITY RHAPSODY」の1曲目。
あの頃、東京にいながら東京に焦がれ、理想と幻を追い求めていた中田裕二はもういない。上京して20年酸いも甘いも知り尽くし、挫折と苦しみを越えた大人が「あの頃はこんな風に夢を抱いていたな」と少し自虐気味に振り返るようなセルフカバー。
間奏のベースがぎゃんぎゃんで最高。

2.手つかずの世界
AL「薔薇とダイヤモンド(2005)」
インディーズ時代の椿屋四重奏
あの頃より少し低くなった声と余裕がすごく良い。
「まだ見ぬ幸せなど野暮だと心得ていた」って今歌うのは円熟って感じ・・・・・。

3.硝子玉
AL「深紅なる肖像(2004)」
ドラムに効果的にかかるエコー?が凄まじく良かった。
少し時が止まるような、引き込まれるような。もともと少し現実味のない、浮世離れした曲だからこそ余計に。この曲の中田裕二はなんとなく椿屋四重奏の中田裕二っぽかった。
「血がたぎるのを抑えきれずに」というフレーズのせいなのか、なんだか熱く血がたぎりだしているような感じというか。ギターがあまり原曲とかわりなかったのかもしれん。音楽には明るくはないので細かい理論的なことはわからないです。

4.共犯
EP「トワ(2006)」/AL「RED BEST(2008)」
次の曲はうら若き頃に背伸びして書いた曲だが、いまのほうがしっくりくると言って始まった共犯。椿屋四重奏のセルフカバーとはいえ、コーラスは入らず。それがなんだか寂しいが、そこは中田裕二のフェイクが彩る。
曲前に今のほうがしっくりくると言っていたが、しっかりこういった形で聴かせる場となるとその通りだなと思わせられた。あの頃はこの背伸びして歌うアンバランスなさまがたまらなくさせたのだと思うが。そして若いぐちゃぐちゃの恋愛の曲のように思っているのでそれもいいと勿論思うのだが、きっとそれは歌う側の人間としての、歌詞を書いた人間としての思いなのかもしれない。Cメロ前のギターフレーズを大切そうに弾く中田が、この曲への彼の思い入れを表すかのよう。そこからの
「真実を語るよりもいつも秘密を明かすようにキスを」「秘密はあまりに無防備」の時の横顔があの頃の線の細い印象から、武骨なたくましさがあって今度はその「大人」としての印象とこの秘密を抱えた悩みとか苦悩の感じの繊細さ脆さとの不安定さが良かったように思う。

5.playroom
AL「TOKYO CITY RHAPSODY(2006)」
まさかこれが来るとは・・・・・!!!!!!
何だろう、正直若いから歌える曲だと思ってたのです。
「ありきたりなものを選んだ裏切らないから」この歌詞には当時の憂いとか懐かしみが、
「ありきたりな君を選んだそれがほしいから」この歌詞には葛藤とか、意外と普通であることを望んでいるような節のあると思っているのでそんなところが今にもいえるのかもしれないと思った。
あと、この曲で思ったのが、中田裕二自身は過去の曲に若いな~とかいうことあるけれど、よくよく考えるとこういう曲を今のタイミングで等身大の曲として書く同年代の人たちももちろんいて、それに反して10代~20代でその域に達してその時に言葉として曲として表すことのできる中田裕二はやっぱり天才じゃないかと思ったし、いろいろと考えて悩んで生きてこられたんだろうな、早熟だったんだろうなとふと思った。

6.ミス・アンダースタンド
AL「孤独のカンパネラを鳴らせ(2010)」
つい先日もTLで中田裕二の歌詞世界の女になりたいという話題を見たが、いっときの私はまさにこのミス・アンダースタンドの歌詞世界の女になりたかった。「あの子を夢見て肌も心も磨いた」―――そんな風に誰かのために自分を磨けるような恋にあこがれていたんだろうなと5年ほど前の自分を回顧する。
少し明るく軽い、そしてなんだか滑稽なアレンジになったこの曲は、当時の自分を少し若かったなと笑うような感じがして好きなアレンジだった。
突然螺旋階段のイントロを引き始める中田裕二、慌てて合わせ始めるメンバーにいいですいいですと止めて、謎のラテンフェイクから螺旋階段へ。ごめん、最初のまま行ってくれたほうがかっこよかった。中田裕二のラテンアレンジは大好物ですが、突然ご機嫌ご陽気なラテンテンションで曲を始めだす中田裕二とはいつまでも解釈違いです。そんなにむせ返りたくないです(Sanctuaryツアーを回顧)。

7.螺旋階段
AL「薔薇とダイヤモンド(2005)」/AL「RED BEST(2008)」/AL「BEST MATERIALS(2011)※acoustic versionが収録」
ラテンアレンジになった螺旋階段。私はラテン中田裕二が大好物ですので最高でしかないです優勝!!!!!!解散!!!!!意見の相違は仕方ない!!!!!!!
この曲は40歳の中田裕二がフィクションの「螺旋階段」の世界を歌っているような雰囲気で、砂漠をさまよう少女とそのエンドロールに流れるこのアレンジの螺旋階段が私には見えました!!!!!だれかタイアップを!!!!

一転、ピアノの前に座った中田裕二。「ここからは椿屋四重奏名曲メドレー」へ。
もう22年ぐらい前の曲になりますねとギターの八橋さんにだけ(ピアノの位置関係上)話はじめ、隅倉さんに突っ込まれ、そしてド天然をぶちかまして、メンバー紹介に。
今回のメンバーはあえて4人で行ったそう。リハーサルはさながら部活のようという八橋さんと大変な状況に大変な椿屋の曲を・・とお礼を言うとお世話になりますと返す張替さん、そして椿屋四重奏結成のきっかけ?というより小寺良太を連れてきた恩人(ファンにとっては)隅倉さん「すみません変な人いれちゃって」と一笑。まだ椿屋が作務衣を着ていた時代に、椿屋四重奏当時のドラマーが脱退、そして小寺さんが当時所属していたメロディオンズを脱退、同バンドを先に脱退していた隅倉さんが椿屋に小寺さんを紹介したという。その後隅倉さんは初恋の嵐に、小寺さんは椿屋四重奏という伝説のバンドに。付き合いが長いだけあって、昔のガリガリ不健康な中田裕二の話も。

8.春雨よ
「深紅なる肖像(2004)」
こういう時間ほんと大切だから、音楽聞いて心ほぐして
と言って始まる「春雨よ」
たぶん前回はCIVILIANとの対バンの際に披露されたはず。
この被披露された中ではかなり初期の曲で、硝子玉と同じくらいか?というところ。椿屋四重奏のもつ、和心がストレートに存分に発揮されているこの曲。今のなんだか心が荒みがちな日々にこそ癒してくれるような曲だと思う。励ましてくれるとかではなくって、自然の中でぼんやりしているときとか、猫を見ているだけの時とかのじんわりと癒してくれる感じ。

9.紫陽花
AL「薔薇とダイヤモンド(2005)」
そして、「紫陽花」。やっぱり名曲だ。いつまでも名曲は色あせないというがその通りでしかないのだなとしみじみ。そして、良い曲だからこそ、中田さんがいつまでも歌い継いでくれていることに感謝。この曲はいわゆる失恋を歌った曲ではあるが、そういう感情を指すような言葉が意外と出てこない。綺麗で悲しいという言葉はあるが、その言葉もなんだか理性的なのだ。君を形容する綺麗とかは出てくるが、この曲の主人公の心からの悲しみとかそういう言葉がない。涙が溢れたとかそういう言葉はあまりなく、恋人との別れの悲しみを恋人のいない世界で見える情景や思い出を語って静かに悲しみを伝えてくるような。理性的に淡々と失った悲しさを、喪失感をこぼすようなというか。そして「濡れた瞳の奥で君は何を見ていた」から始まる大サビでやっと主人公の感情が場景から見えるようで、それをこの20年を経て中田さんが歌うのがこの曲の正解のように思えた。やっとこの曲の主人公の等身大として聴こえたような気がする。

10.LOVE 2 HATE
AL「TOKYO CITY RHAPSODY(2008)」
ステージを動き回る中田裕二!!!
ソロの時より動きが挑発的だったような印象。そもそもこの曲
2番Bメロのドラムが最高すぎる。ドラムのアレンジが解釈一致すぎる。
ギターが軽めの音だからこそ、低音が重めに聞いてくるのが最高だった。
この曲を語るに足りる語彙は持たないので敬愛するまっつーさんに任せたい。

11.アンブレラ
EP「アンブレラ(2008)」/AL「CARNIVAL(2009)」/AL「BEST MATERIALS(2011)」
「アンブレラ」優しい、優しすぎる。あの頃も優しかったけど、包容力というか、歌詞を借りるならば「わが身でたくさん」じゃなくなったからこそ歌えるというか。
そして歌詞も改めて聴くと素晴らしいなと思う。「気づけば空が水たまりに映っていた」――明けない夜はないの隠喩のような。絶望してあきらめかけているけどあきらめていない歌なんだよな。希望が確かにこの曲には込められている。

12.マテリアル
AL「BEST MATERIALS(2011)」
そして始まるマテリアル。動悸が。
ここでこれを歌ってくれるとは。椿屋四重奏、終幕の歌。
中田裕二の理想を具現化しようと在った椿屋四重奏が、その現実と理想とに阻まれて(そこが「思い知らされてうつむくたび」なのだと思う)終わりを迎えて、この曲もそれと同時に
「旅立ちは速すぎて前触れもなく」、作中とそして永田さんから脱退を告げられた時を思うと。
そしてすべてが僕を作ってしまったよってもう最高の殺し文句だし、恋愛的な愛ではないが、至上の愛の歌であり別れの歌だと思うんですよ。そして懐かしそうに歌う中田裕二。
こんなに優しくっていとおしい別れの歌を他に知らない。
私はあえて、これを10周年で椿屋でやらなかったのだと思う。「次に会うときは聴いてくれよ 少しぐらい答えられるよ」次にステージという彼らの場所で会ったから、歌ったんじゃないかなって思わずにいられなかった。

13.CRZY ABOUT YOU
私の癖ぶち壊し曲。
ツイッターでもつぶやいたんだが、香水の部分が最高でな・・・・・。私が香水にあこがれを持つのはこれが理由だろうと思う。猫飼いゆえつけられないのだが。ちょっと倫理の狂った奴が色とりどりの花束ぶんまわしながら往来を他人の目も気にせずにずんずん歩いているんよきっと。幸福の象徴。最強にハッピーでちょっと狂った、頭がお花畑で、でも現実見ちゃっている曲。楽しいじゃん。最高じゃん。

14.君無しじゃいられない
そしてこのハッピー最強おめでたソング・・・・・。ありがたや。
これは若いときにしか作れない曲だと思うのですよ。
これは意外とシンプルに素直に愛をうたっていてこれはこれでいいんですよね。
このときばかりは会場にいたかった・・・・。
あとマジで歓声あげているフロアは許さん。
「天気と一緒でずーっと続く雨はないので、この状況も続かないと思うのでと。
僕はずっとそばにいるわけではないけど、そばにいます。」
きっとその通りで、中田裕二の曲も椿屋の曲も、私たちのそばに常にいるんだと思う。毎日聴かなくても、きっとなにかくじけそうな時とか、彼らの曲を必要とする場面でふと思い出して寄り添ってくれて優しく支えてくれるのです。ちなみに私にとっては「IT’S SO EASY」「不時着」がそうです。

次で最後、昔椿屋四重奏やってた初期の頃しめくくっていた曲。
15.小春日和。
穏やかで明るくっていいよね。椿屋って大人、色気、壊れそうという印象持たれがちなんですが、こういう明るい曲も最高ですよね。でもね、絶対明るいだけじゃないのが椿屋なんですよね。すこし暗くって、くるってて儚くって、傷ついているの。それが椿屋なんだと思うんです。だからそんな椿屋が好きなんです。


アンコール
1.恋わずらい
2.空中分解
大穴空中分解・・・・・・あぁってマジで声が出た。鉄板じゃん・・・でもここで来るととは思わへんやん?????
鋭さは減っても、なんというか重厚感が増してナイフから鉛玉に変わったような空中分解だった。家で手を挙げるしかできない。でも家だったから驚いた声が出てもとがめられないという。
私の魂はこのときキネマに飛び立った。やっぱりこういう激しい曲歌うときの中田裕二が好きなんじゃ・・・・・サビの照明が緑だったのがなんかよかった。赤とか青とかいつも似合うなって思うんだけど。なんか予定調和でないところがいいと思ったのかもしれない。あと空中分解のサビ終わりのフェイク大好き
空中分解のドラム物騒すぎてめちゃくちゃ好きなんだが。余裕ある感じでこういう激しい曲歌うのっていいんだよな。もてる力量と必要な力量がいい意味で超越している感じ。後自信のある楽曲だからこそのドヤリ感。

お次は最高の新曲持ってきますんでといういつも過ぎてもはや驚かないセリフナンバーワン。さすが中田裕二あっぱれ。

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