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【音楽】ペニーレーンで観る2024年のザゼンボーイズ

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2024年6月8日(土)ペニーレーン24
ZAZEN BOYS MATSURI SESSION 2024
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毎年いくつかの音楽のライブに通い詰めて、早や30年近く。いろんな場所でいろんなライブを見て、その積み重ねが自分の中の豊かな気持ちを持続させてくれているけども、その中でも今回は、自分の状況もあいまって、上位に食い込む強い印象に残るライブたった。

2年前に野外で見たザゼンのライブも良かったけど、さらに研ぎ澄まされ、仕上がってきている感じがした。不規則なリズムの中での全員による鮮やかな拍の合せが同バンドの醍醐味のひとつであるが、一層容赦なく畳み掛ける怒涛のグルーヴ感といいますか、音に肩をつかまれてグラグラ揺らされ、ボコボコに殴られめちゃくちゃにされたような。ペニーレーンという最適なサイズの良質な音質のハコで、ダイナミックなリズムとデカイ音で身体が包まれたことによる効能。

ステージ傍らのスタッフから、クーラーBOX内のサッポロクラシックを催促する向井。Matsuri Studioからやって来たことを強調する向井。 武道館にも来てください、札幌にもまた来ますと言い添える向井。

向井の一挙手一投足を鋭い眼差しで見つめ、タイミングを計るメンバー。MIYAさんは松下さんと何度も目を合わせて、息を合わせる。超絶スラップベースの合間にニコリと笑う。素敵。
話は逸れるが、最近MIYAさんはSNSで、紅しょうが好きを公言してはばからない。「好きズキ聴いてるんだ…稲田さんフリークなんだ…」と思いながら聴く演奏はまたひとしお。

アンコールでは、永遠少女からのKIMOCHI。さいご「ケーアイエムオーシーエイチアーイ」とハンドクラップしつつ唱えながら楽器を置いたメンバーが、観客とシングアロングしながらハケてゆく。ツアー最終日、しっとりと名残惜しく終了。

それにしても、己の老いがひどくて悲しい。整列待ち→整列→開場→開演→終演まで4時間立ちっぱなし&デンスにより、腰が終わった。帰り道、咳き込んだら響くほどの痛さよ。しばらくスタンディングのライブに整列から待機することをしてなかったので、衰えに落ち込む。

向井氏も今日は目の充血があったらしく、曰く「井上陽水」または「タモリ」仕様のサングラスを着用していた。「目医者にいったら"老い"だと…」と吐露していた。

向井さん。あなたにとっての初めての石狩埠頭で出会って25年、お互い年をとりましたね…

思えば、このペニーレーン24で向井秀徳を見るのは2002年以来だ。と言っても、残念ながらあの解散ライブではない。最後のアルバム『NUM-HEAVYMETALLIC』が好きで、そういえばワンマンで見てないなと思って、同アルバムツアー2002年6月15日札幌のペニーレーンで見たのだ。その時点では予期しなかった、その年の11月に解散することになる。

サングラスのせいでパルック数が足りないと、照明さんに光量を上げてもらうよう催促する向井。客席の光量も上げるよう指示し、眺める向井。パルック…

ライブを見ている間、この人たちが健康でこうして目の前で演奏してくれてることに、心からありがとうという気持ちになった。だから、かけがえない貴重なこの場面を、身体に刻み込ませておこうと思った。こういう気持ちになったのは、初めてかもしれない。

同じペニーレーンで観た高橋幸宏さんのこと、RSR初期に向井と同様に欠かせないメンツであった、ミッシェルのアベフトシやチバのこと。今思えば頭の何処かにそれがあったからかもしれない。同じ時代に生きている人も次いつ会えるか、その保証はない。若い頃から長い時間を共有したアーティストには、身近な人への思い入れに近い情がある事に気づく。

この日のライブで、個人的にしんどいここ数年の抜けきっていた自分の魂が、ぐっと震わされたような気がした。少しだけ視界がクリアになって、帰り道の夜の空気がいつもより新鮮に感じた気もした。

いい薬です!!!


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