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小4男児と休日を過ごしたら、子育てがグッと楽しみになった話

先日、北関東に住む友人のもとを子ども二人連れて訪れた。

その友人の自宅には広い庭があり、大人二人が寝そべれるくらい大きなプールがあるから子どもたちを連れておいでよ、と声をかけてもらったのだ。

その日友人宅は旦那さんが不在だというし、だったらうちも母子だけで行った方がいいかしら?との思いつきで子ども二人(5歳、1歳)連れて片道2時間の道のりをわたしひとりで行ってみることにした。日帰りとはいえ母子だけで遠出したことがないのでこれは大きな挑戦である。

休日朝の下り電車は空いており、ずっと座っていられたのはラッキーだった。電車好きの長男は初めて乗る路線に乗車中終始ご満悦。「ママ!あれは貨物列車だよね?」なんていいながらすれ違う列車や外の景色に夢中だ。このウキウキの長男を見るだけでここまで来てよかったと思う。いつも昼寝している時間帯に、普段とちがう環境でうまく寝られない次男(1歳)はずっとぐずぐず泣いていたけれど。

◇◇◇

前置きが長くなってしまったが、ここで書きたいのは友人の息子であるKくんのことだ。

Kくんは小学4年生。

以前会ったときはまだ4歳だった。わが家に遊びに来たKくんは、当時夫婦二人暮らしだったわたしの家がつまらなかったのか脱走した。玄関の鍵を開けてこっそりいなくなっており、あのときは肝を冷やした。幸いすぐに友人が気が付き追いかけて、非常階段に座ってあそぶKくんを捕獲した。わたしの記憶の中のKくんは、そんなやんちゃで目を離せない4歳の幼児のままだったが、当たり前だがすっかり成長していた。

友人宅の最寄駅に着くと、友人は車で迎えに来てくれていた。友人を車に残し、息子のKくんだけ改札までわたしたちを迎えにきてくれた。

「おひさしぶりです、Kです。あ、荷物持ちますよ」

サラリと挨拶を済まし、凶器になりそうなほどに重いわたしの荷物を持ち上げてくれたのだ!

想像いただけるだろうか?
ひとり親&幼児二人連れ&電車移動&プールの予定と聞けば、子育て経験のある方は既にピンと来ていることだろう。ベビーカーの車輪が軋んで変な音がなるほどのひくほどの大荷物なのだ。そんな荷物の一部を軽々と持ち上げるKくん!

おまけに長男がどうしても図鑑を2冊持って行きたいと出かけに駄々をこね、自分で持つとの約束でリュックに入れて持ってきていた。Kくんはそのリュックもひょいと肩にかけ颯爽と階段を駆け降りて行く。

わたしはこの二つの行動だけでもう感激が止まらない。「小学生男児ってこんなにしっかりしていて頼りになるの?」と。

5歳のわが長男は、しっかりしてきたとはいえまだまだ幼い。「ママ、お手伝いするよ!!!」と鼻息荒く登場しても「…ありがとう(自分でやって方が早いけど、まあ言ってくれるならば任せようか)」と、お手伝いが正真正銘100%助かるわ〜という事にはあまりならない。

その後も、立ち寄ったスーパーの駐車場で、車社会に慣れない長男がフラフラしていると「オレと手を繋いでいよう」とKくんが颯爽とフォロー。

買い物後には、2リットルペットボトルが数本入ったレジ袋を、「オレが持つよ」と会計終わりの友人からサッと取って軽々と車まで運んでいく。

友人宅に着いてからは、自分の昔のおもちゃを倉庫から取り出してきてくれ、わが家の5歳1歳を気にかけつつ上手に遊んでくれた。

かと思えば、母である友人に甘えて抱っこしてもらう姿もあり、そのギャップにやられる。
「やさしいー!」「頼もしいー!」「かわいいー!」とわたしの脳内が騒がしくてたまらない。

◇◇◇

小学校高学年の男の子をお持ちのみなさん、思春期前の男児ってこんな感じなんですか?可愛すぎて優し過ぎてやばくないですか?普段この年齢の子たちと接点がないためか、わたしはこの日は一日中Kくんに感動していた。

友人いわく、Kくんの幼少期の子育ては本当に大変だったのだという。落ち着きがなく、傷口を縫合するレベルの大怪我を何度も経験したらしい。発達面の検査で病院へ行くよう促されたこともあったというし、なかなかKくんの特性を理解してもらえずに保育園の転園を余儀なくされたこともあったという。

友人宅のリビングには、Kくんの描いた絵が額縁に入ってたくさん飾られている。額縁に入った絵はどれも色彩鮮やかで、Kくんの豊かな感性が感じられる。とても素敵、素直にその感想を口にすると、友人がたくさんの絵を飾った理由を話してくれた。

「昔からKは保育園や学校で否定されがちな子どもだったから。家の中だけは、自分って素敵ってKが思える空間にしようと、Kのいいところで埋め尽くそうと思ったの」

わたしが今回見たKくんの優しさや頼もしさは、友人が一生懸命守って、大事に大事に育んできたものなんだろうな。

Kくんを見ながら、わが家のボーイズも近い将来こんな素敵な少年になってくれたらいいなと夢を馳せる。友人のように、息子たちの素敵な芽を潰さないように大事に大事に育んでいかなければ。

◇◇◇

と、訪問した日のことを思い出し、そんなことを息子たちに挟まれて眠るベッドの上で思う。両腕で二人を腕枕して、寝返りひとつ打てないほどの窮屈だけど、世界一幸せなわたしの寝床で。

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