イギリスが死ぬほど好きだった

そして2010年にイギリスで職を得た

2010年~ひょんなことからCoventryに子会社を置く日本の機械メーカーで、部品の営業ウーマンとして働くことになりました。イギリスだけでなく、ヨーロッパ全土の販売代理店に出向き商談をまとめる仕事をしていました。

文系の私が機械部品を扱う仕事をするなんて、夢にも思っていなかったけれど死ぬ気でやればなんとかなるものなんだと分かりました。そしてやっているうちに天職とさえ思えるようになってくるのですから不思議なものです。

業務内容に満足し、会社からマンションも車も貸与してもらい、給与面も良く、至れり尽せりの待遇だったのに日本本社から、部品の営業に加えて全く専門外のERPシステム導入のマネージャーに任命されてしまい、その重圧に負けてたった2年で辞めてしまいました。

折角5年の就労VISAも発給されてたのに、振り返るとなんと勿体ないことをしたんだろう?と思うことが良くあります。でも苦手分野でも自己ベストを尽くしたので良くやった、と自分を褒めてあげたい気持ちもあります。

もし今、同じ環境に置かれたとしたらやはり辞めるだろうか?とよく自問自答します。何度も同じ場面を想像しては「あの時は仕方なかったんだ」と自分に言い聞かせてきました。精神的に大打撃を受けたので帰国後、東京のメンタルクリニックに診てもらうほどでした。

もう、金輪際進んでイギリスに行くこともないだろうとさえ思うほどのダメージでした。が、最近 猛烈にイギリスの歴史に魅了されており、あの時これほど歴史に興味があれば、休日に歴史散策して気分転換できたんじゃないかなぁ? と少し前向きに考えられるようになってきました。

恥ずかしいことに当時はほとんど歴史に興味が無かったんですよね。それよりも、British Rock Musicに興味がありました。でもその興味も年齢と共に薄らいでしまい、20代の時ならどれほど楽しめただろうか?と残念な気持ちもありつつPubで飲んでました。

そもそも英語好きになったきっかけは、マイケルジャクソンの Beat It! という曲でした。中学1年生の時に、ラジオでたまたまこの曲が聴こえてきた時に雷に打たれたような衝撃が走りました。

別の部屋に居たんですが、曲が終わる前に録音したくて猛ダッシュでラジオの前に駆け寄りました。よく考えてみるとその時に私の洋楽好きに火が付いたんですね。

こんな曲を作って歌えるマイケルは神だと思いました。その後、MTVなどでスリラーを観た時の衝撃も凄かったですけど、続々とマドンナやシンディローパーが登場しウキウキしてましたね!

その流れでワム!に出会い、ジョージマイケルに夢中になりました。デュランデュラン、クイーン、カルチャークラブとイギリス勢が続々と続きました。ビジュアル系という言葉もこのころから出てきたんでしょうね。

中学生の頃は外人はみんなアメリカ人だと思っていたのでジョージマイケル含むイギリス系ミュージシャンを、アメリカ人だと思い込んでたんです(^◇^;)

でもある日、え? ワム!もクイーンもデュランデュランもイギリス人なんだー! と分かり、それまでのアメリカへの想いがイギリスへとシフトしていったんです。そしてイギリスは遠い国で中学や高校の頃は自分には手の届かない場所だと思い込んでいました。実際に遠いですしね。。。

洋楽への入れ込み用はハンパではなく、当時コピー機もなかったのでカセットテープをレンタルして歌詞をノートに書き写してたんです!しかも全曲。∑(゚Д゚) そしてお気に入りの曲は歌詞に、いちいち辞書で調べて意味を書いて歌詞カードと照合してました。

単語1つ1つの意味をとって自分で訳してもガクガクした和訳にしかならないのに、プロの和訳は滑らかで凄いなぁ、と思うとともにスラングやネイティブ的表現を知らなければ成立しないんだな、と薄々理解し始めたのもこのころです。

当時から歌うのが好きだった私はなんとかマイケルジャクソンのように歌おうとして頑張ったんですが、私が発音するとスペル通りに読んでしまいうまく歌えないことに気付いたんです。で、マイケルの発音を良く聴いて真似しました。その時に、発音記号の存在になんとなく気付いたように記憶しています。

それからも色んなミュージシャンの歌詞を手書きでノートに書き写す作業は続き、歌えるようになるまで真似をしていたのですが母親から「うるさい!」といつも怒られていました。いま思えば、これが最強の発音上達法だったと思います(笑) もちろん怒られても歌い続けたので今の私があるのです(^^♪

そんなことをしているうちにスペルと発音が乖離していることに嫌と言うほど気付かされて、この単語はどう発音するんだろう?と掘り下げて研究するようになりました。当時はネットもないし、今みたいに発音の詳細を分かり易く説明してくれている書籍もなかったんですよね。英語に詳しい人も周りに居なかったし手探りで大変でした。

でも、それが楽しかったんだと思います。ワム!だけではく好きなミュージシャンのアルバムはほとんどノートに手書きで歌詞を書いてたので何冊にもなっていきました。その頃からマニアな片鱗が見え隠れしてたんですね〜。

それから高校~大学生となり、気持ちはどんどんイギリスに向いていったけれど、物価の高いイギリスに留学するなんてとてもじゃないけど母子家庭の私には無理でして、夢のまた夢でした。

しかも当時は英語にもあまり自信もなかったし、気持ちばかり先行して苦しい時期を過ごしました。イギリスに住みたい!でも行けない、と堂々巡りでした。

それからかなり遠回りをしましたが念願叶って2010年に仕事で行くことができたんです‼︎ もう心底嬉しかったです。ヒースロー空港に着いてお迎えの車でコベントリーに移動する間に見えた田舎の景色、嬉し過ぎて涙出ました。

先ず最初に何がやりたい?とイギリス人の社長さんが聞いてくれたのでパブでギネスが飲みたい!ということで田舎の雰囲気あるパブで祝杯をあげました。これこそ夢にまでみたイギリスライフの始まり、始まり〜🎶 

だったはずなのにだった2年で日本に戻ってきてしまった。仕事のストレスもあったけれど、食事の不味さもかなり深刻でした。物価高いので不味いのに高くて田舎に住んでると日本食も手に入らないから更にストレスたまりました。

このようにして、あんなに好きだったイギリスが嫌いな国になってしまったのです。嫌なことは忘れたかったので、東京で就職した別の会社の仕事に没頭しましたが、たまたまその会社の取引先がイギリスにあったので3回も出張に行く事になったのです。

行先はニューキャッスルでした。特に思い入れもない場所だったので普通に仕事こなすだけでしたが、取引先の方々が連れていってくれた田舎のパブで久しぶりに飲んだギネスはイギリス大好きだった頃の気持ちを思い出させてくれました。

その時にパブの近くに Hadrian's Wall があるんだよ、と教えてくれたのですが単に低い塀みたいなのが延々と続いてるだけで、何の感動もありませんでした。



でも振り返ると、それはローマ帝国最北端の国境線で、2世紀に第14代ローマ皇帝ハドリアヌスにより建設された長城だと知り、その場で感動しなかった自分に嫌気がさしました。

何年か経過し、ある日弟から勧められた海外ドラマ Vikings を観始めたんです。ホーリーアイランドの修道院襲撃から物語は始まるのですが地図を見てみると、ニューキャッスルの近くじゃないですか!!

しかもイギリスの各地を襲撃するどころか、定住までしてしまったVikingの存在を私は殆ど知らなかったんです。だからイギリスに住んでた時もそんなことは微塵も考えたことなかったんです。

でも、今は違います。

Vikingsというドラマをきっかけに次々と歴史物のドラマを観たり、英語史専門の "The History of English Podcast" を聴いたりするうちに今まで知らなかったイギリスの別の顔が見えてきて、以前とは全く異質なワクワク感が湧き上がっているのを感じるんです。

2012年に、どんなに仕事の重圧があったとしても歴史に興味があれば、仕事とは別の楽しみを見出して息抜きしながら、ふんばれたかもしれないのになぁ、と思うと悔しいけれどあの頃の私は歴史に興味持てなかったと思います。

今の私がタイムマシンで2012年に戻って、イギリスの歴史の面白さを力説したとしても一蹴されるだろうと思います。あの時の私は仕事中毒で、休みの日にはバーミンガムのRock Pubで音楽聴きながら飲んだくれてましたから。
それはそれで良い体験ができたと思いますけれど。。。

今は少し落ち着いて広い視野でイギリスだけでなく、ヨーロッパ全体、そしてアメリカの歴史にも興味を持てるようになってきました。

私の英語好きは音楽から始まり、仕事に埋没し、海外ドラマや映画を介して歴史へとシフトしつつあります。英語に対する興味は尽きるどころか、英語を学ぶという枠を超えて、英語で世界を学び続けたいと思うようになりました。ローマ帝国やバイキングの侵略、ノルマンコンクエスト、興味は尽きません‼︎

イギリスから帰国した後2012年〜2018年は暗い気持ちで過ごしていましたが、10~20代に音楽に、30~40代には仕事に向けた情熱が今は世界史に向いてきたんですね。自分の全てを賭けて手に入れたイギリスライフをみすみす手放して以来、もう人生に対する興味が持てなくなっていましたが、ようやく生き生きとした気持ちになれそうです。

夢破れて8年くらいは投げやりになっていましたが生きてると良い事もあるんだな、って思えるようになってきてます。

Vikings を勧めてくれた弟に感謝ですね!






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?