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エンジニアと生成AI№11(生成AIへの質問のポイント)

 今回は、生成AIの誤動作原因のなかで、厄介な電源ノイズについて生成AIがどのような回答を示すか見てみたいと思います。生成AIはChatGPTを利用します。以下の回答内容になります。

「装置の誤動作原因である電源供給  「装置の誤動作原因である電源供給
の不安定性要因である電源ノイズに  の不安定性要因である直流電源ノイ
ついて何が考えられるか」      について何が考えられるか」

回答A               回答B
1.ラインノイズ           1.リップル(波紋)電流
2.スイッチング・ノイズ       2.キャパシタンスカップリング
3.地絡ノイズ            3.負荷変動
4.電源波形の歪み          4.電源回路の劣化
5.電源の電圧変動          5.外部からの影響
6.共振と誘導

 電源には、「交流」と「直流」があり、電源ノイズとして区別しないで質問すると、「交流」と「直流」のor条件で回答される傾向があり、原因追及に手間取る可能性があります。
 前回、電子回路の電源として「直流電源」と限定しましたので、その条件で質問すると、直流電源の要素に絞り込んだ回答が得られるようです。

 エンジニアとしてトラブルシューティングとして生成AIを利用するヒントになりそうです。質問の要素を考えてみます。
対象:対象の機器については、機器の使用目的を明確にすることです。例えば「制御目的」「加工目的」「運搬(移動)目的」などが考えられます。加工については範囲が広すぎますので、切削、切断、曲げ、研磨、プレスなどがあり、更に絞り込む必要があるでしょう。
事象(現象):原因を追究するためには、トラブル内容を明確にする必要があります。原因追及の重要なキーワードにになりますので的確な表記が求められるでしょう。「誤動作」「精度不良」「性能低下」「異音」「振動」などが考えられます。
原因:原因については、最初の質問で複数の候補を挙げ、そこから絞り込むことになります。経験知から絞り込むことがベストと思いますが、判断がつかなければ、生成AIが挙げた順を優先順位として見なしても良いと思います。生成AIがどのような基準で優先順位をつけているのか分かりませんが、おそらく学習した膨大なデータベースから件数の多いのもを優先させているものと思われます。実際に生成AIの回答を見ても妥当な線を突いていると思います。一部、疑問を感じる点がないわけではありませんが、判断がつかなければ生成AIの回答をそのまま適用しても構わないと思います。

次回は、他の条件でトライして見ます。


 両者の回答の全文を以下に記載します。
 まず、「電源ノイズ」での質問です。

質問
「装置の誤動作原因である電源供給の不安定性要因である電源ノイズについて何が考えられるか」

回答
電源ノイズは、電源供給の不安定性を引き起こす原因の一つとなります。以下は、電源ノイズの主な原因と考えられる要因です。」

1.ラインノイズ: 電力線上を流れる外部の電磁波やノイズが、電源に影響を与えることがあります。これは主に他の電子機器やラジオ周波数の干渉から発生します。
2.スイッチングノイズ: スイッチング電源や変換装置によって発生する高周波ノイズ。これは電源の切り替えや変換のプロセスによって生じるもので、周辺の回路に影響を与える可能性があります。
3.地絡ノイズ: 端末機器の地に起因するノイズ。適切な接地が行われていないと、地絡ノイズが回路に影響を与え、装置の誤動作を引き起こす可能性があります。
4.電源波形の歪み: 電源供給の波形が理想的な正弦波でない場合、歪みが発生し、これが電子機器の安定性に影響を与えることがあります。
5.電源の電圧変動: 電源の電圧が急激に変動すると、装置が安定して動作するのを妨げる可能性があります。電圧の安定性が重要であり、適切な電圧レベルを維持することが求められます。
6.共振と誘導: 周囲の機器や配線の共振や誘導によって、電源に不安定性が生じることがあります。これは特に高周波帯域で発生することがあります。

「これらの要因が電源ノイズを引き起こし、それが装置の誤動作や不安定性につながる可能性があります。電源ノイズを最小限に抑え、安定した電源供給を確保することは、電子機器の正常な動作と信頼性を確保する上で重要です。対策としては、適切なフィルタリング、適切な接地、電源安定化装置の使用などが考えられます。」

 次は、「直流電源ノイズ」での質問です。

質問
「装置の誤動作原因である電源供給の不安定性要因である直流電源ノイズについて何が考えられるか」

回答
「直流電源ノイズは、電源供給の不安定性の一因として問題となります。以下は、直流電源ノイズの主な原因と考えられる要因です。」

1.リップル(波紋)電流: 直流電源回路内でのスイッチングや整流の際に発生する変動電流が、電源回路にリップル電流として影響を与えることがあります。これは、電源電圧が一定でなく、波形に変動が生じることを指します。
2.キャパシタンスカップリング: 直流電源回路内でのキャパシタンス効果により、直流電源ラインに高周波ノイズが混入することがあります。これによって、直流電源に対して不安定な要素が導入される可能性があります。
3.負荷変動: 負荷の変動により、直流電源の電圧が変動することがあります。これは、負荷の急激な変動があると、電源の不安定性を引き起こす可能性があります。
4.電源回路の劣化: 電源回路内のコンポーネントや結合部分の劣化が直流電源ノイズを引き起こすことがあります。例えば、コンデンサや抵抗の老化、接触の悪化などが挙げられます。
5.外部からの影響: 外部の電磁波や放射電磁妨害(EMI)が直流電源ラインに影響を与え、ノイズを引き起こすことがあります。これは、周囲の電子機器や高周波機器からの影響が考えられます。

「これらの要因が組み合わさり、直流電源ノイズが発生する可能性があります。このノイズが装置に影響を与え、誤動作を引き起こすことがあるため、電源回路の設計や取り扱いには慎重な注意が必要です。対策としては、適切なフィルタリング、キャパシタンスの適切な選定、電源安定化回路の使用などが考えられます。」


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