演人の夜 黄金のコメディフェスティバル2022参加作品「もしも生殺与奪の権を私が握ったら」振り返り

演人の夜
黄金のコメディフェスティバル2022参加作品
「もしも生殺与奪の権を私が握ったら」


終演から3日経ちました。

まだアーカイブ配信も残っていますが、鮮度のあるうちに振り返っていこうと思い今キーボードをカタカタしています(11月1日23:48時点)

作品のネタバレも含むので「これから配信で見るぜ」って方はブラウザバック推奨。

もう見たぜ、ネタバレ上等だぜって方はこのままGO!


ハジマリ

去年の11月辺りだっただろうか?

コメフェスプロデューサーの登紀子さんがTwitterで「黄金のコメディフェスティバル5年ぶり開催」とツイートされていたのを見つけ「これは出たい!」という一心で応募しました。

元々コメフェス自体は2014年と2015年に観に行っており、コメディで鎬を削っているその姿がかっこよかったし作品で大笑いさせていただいたので思い出深い演劇祭なのです。

2015年(だったかな?)のコメフェスに応募したのですが当時はまだ演人の夜を立ち上げて1年もしてない時だったので実績が足りなくて出場は叶わずでした。

なので今回は7年越しに念願叶っての出場だったんですよ。

出場決定のメールを見た時に「うわーお!!」って変な雄叫びを上げたのを覚えてます。
震える手で返信したなあ、あの時は。

ただ、一つ気がかりな事がありました。

「演人の夜ってコメディできるの?」

これ、色んな人にすごい言われたし僕自身もそう思ってました。

だけどまったくやってこなかったなんて事はないんです。
初期の頃は短編だけどコメディ作品もやってたし、ここ3年くらいの作品は再演も含めてコメディシーンを入れてたんですよ!(ウケたかどうかは別として)
今年製作した「金子賢太朗殺人事件」もどちらかといえばコメディだしね。

なので深く考えず「まあなんとかなるでしょ」と楽観的に考えていました。

そして数日後、参加する6団体が決まったと連絡が来る。

演人の夜
劇想からまわりえっちゃん
劇団ラパン雑貨ゝ
コヒツジズ
東京ハイビーム
放課後ビアタイム

…。

聞いた事ある団体さんばっかりやんけ!!

おいおいおい、この中に演人の夜が混ざっていいんか??

と思ったのは1分くらい。

そんな時でも「まあなんとかなるでしょ」と気楽に考えていました。


「もしも生殺与奪の権を私が握ったら」が生まれるまで

コメフェスで上演する作品は「劇団のカラーを出したコメディ作品」。

演人の夜のカラーといえば、

「誰かがふとしたきっかけで底なし沼に片足を突っ込む」
「底がないと気づいたが時すでに遅し」
「脱出を試みるがどうにもならず、やがて助かるために手段を択ばなくなる」
「それでもどんどんどんどん沈んでしまい、誰も幸せにならない終幕を迎える」

が基本構成で、その中に社会風刺や殺害シーン、血、切断された首や四肢、内臓が必ずといっていいほど出てくるのがいつもの演人の夜です。

だけどこれら全部入れたらどう考えてもコメディ作品にならないので、その中でもコメディにできそうな「社会風刺」を軸に描こうと決めました。ここ熟考したな。

コロナ禍でより一層情報の重要性が問われるようになった世の中で、間違った情報に踊らされる人々なんて面白いんじゃなかろうか、と思い、付けたタイトルが、

「情弱バトルロワイヤル」

なんらかの理由で殺害を認可された人間の情報がなんらかの理由で漏れて、情報弱者がその人間を好き放題揶揄したり真似したり…

「正子」「茂原」「万城目真」「万城目実」「馬川」「園子」はこの段階で生まれていました。

ちなみに万城目親子はこの時点ではまだ「宗教を作る」というくだりはありませんでした。

ただのマザコン息子とその母親で母親が自分の息子に構い過ぎる、といった設定だったんです。

なので真の「ママ」呼びはその名残でもあるんです。

ここから更に物語に深みを出すために「総理」「お兄ちゃん」「ゴキブリ」等のキャラクターもどんどん生まれていったのです。

「実はゴキブリは登場人物の中で比較的まともな考えを持っていて、最後にゴキブリがいい事言ってその様子をお兄ちゃんがツッコむ」というシーンは初期の段階で構想がありました。

だからこのシーンで笑い取れたの本当に嬉しいんだよなぁ

一見熱いシーンなのに笑いにしたかったのはやっぱ「コメディフェスティバルだから」って理由なんですよね。

今回はとにかく遊び倒そうと思って好き放題書いてたら、
「情報弱者」というテーマがかなり薄れて「おかしな行動理念の基動く愚かな人々」にフォーカスが当たっている事に気付きました。

そして考えに考えて付いたタイトルが

「もしも生殺与奪の権を私が握ったら」

です。

これ結構長い時間悩んだなあ、タイトルを考えるのはいつだって難しい。

今回は執筆するにあたり、普段コメディ作品を手掛けている脚本家さんやコント作品を手掛けている作家さんにもアドバイスをいただき、たくさんの手法を用いりました。

それも含めてまだまだ作品については書きたい事があるのですがめちゃくちゃ長くなりそうなので別記事にて↓


個性豊かなキャスト達


普段の演人の夜じゃ見ないであろう格好をした方々が勢ぞろいしてますね(笑)

今回は今までご一緒した方々で「この人は面白い」と思った役者さんにオファーを出しました。

蓋を開けてみればまあコメディへの適応力が高いこと。

こちらの想像を遥かに超えるネタを提供してきて毎回の稽古が楽しかった。

稽古中に笑い過ぎて疲れるなんて演人の夜じゃなかなかできない経験だったな。

キャスト一人一人についての振り返りも別記事に書こうと思います↓


感謝のコメディフェスティバル


結論から言うと今回参加して本っっっ当によかった。

正直普段コメディをなかなかやらない身としては本当にどうなるか予測がつかなったのですがたくさんのお客様に笑っていただき、今回で初めて演人の夜を知った方々からもお褒めの言葉をもらえたのが本当に励みになりました。

審査員の方々からも褒めていただけたのがめちゃくちゃ嬉しかった。

何年も前に参加した演劇祭でその時の審査員の方からボロクソに酷評された経験があるので泣きそうなくらい嬉しかったです。

優秀脚本賞(金子賢太朗)
手塚宏二賞(仁科穂乃花)
市野監督賞(仁科穂乃花)
シャトナーofワンダー賞ノミネート(夢麻呂)
最優秀俳優賞(夢麻呂)

演人の夜を立ち上げて8年、色んな賞レースに出ては何も賞を獲れず酷評され、賞を獲る事さえも諦めていた時期もありましたが、

今回で初めて賞をいただけたのがとにかくとにかく嬉しい!!しかも5つも!!

脚本で何か賞を獲りたいとずっと思ってたので優秀脚本賞は優勝と同じくらい嬉しかった。

主演の仁科穂乃花の体当たり演技が審査員の方々に響いて賞を獲れたのもすっごく嬉しいし、

夢麻呂さんが「シャトナーofワンダー賞」という新設された賞にノミネートされたのもすっごく嬉しいし、

何より最優秀俳優賞を獲れたのがものっすごく嬉しい!!

ある時は「次の公演終わったらもう辞めよう。辞めて楽になりたい」と思ってたし、
ある時は「次こそは…!」と希望を持つもその炎も心許ない日々を送ってたけど、

今回賞を獲れたことでやっと「続けててよかった」と思いました。


おい!3年前に本気で辞めようと思ってた金子よ!!

お前辞めなくていいんだぞ!!

ちゃんとお前の頑張りは誰かが見てくれてるんだぞ!!

諦めちゃダメだ!!なあ、3年前の金子よ!!


諦めなきゃこんな未来が待ってんだからよ!!



コメフェスにかかわった全ての方々、

劇団員の仁科穂乃花、西藤東生、斉藤京之介、荏原汐里、
今回出演していただいたキャストの方々、
作品のアドバイスをくださった方々、
一部衣装の製作をしてくださった板谷さん、
各参加団体の方々、
スタッフの皆様、
審査員の皆様、

劇場まで足を運んでくださったお客様、
配信をご視聴いただいたお客様、
応援してくださった方々、

そして、
今回参加させていただいたプロデューサーの登紀子さん、

本当に本当に…

ありがとうございました!!!

これからもどうか、よろしくお願いいたします!!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?